SSブログ

高倉健、『新幹線大爆破』出演の真相 [懐かし映画・ドラマ]

高倉健さんの訃報以来、緊急連載を掲載している『アサヒ芸能』。今週号では、『新幹線大爆破』出演時の様々なエピソードが、関係者の談話とともに明らかにされています。高倉健という俳優とともに、上映されてから今年でまる40年になる同作も今なお注目されている証左でしょう。(以下敬称略)

高倉健追悼記事が、49日もとっくに過ぎた現在でも出ています。

今週号の『女性自身』(2015年2月3日号)では、長年刑務所慰問を続けていたという記事。『週刊現代』(2015年1月31日号)では、生前に用意していた墓地の記事です。

江利チエミと、流産したお子さんの墓はすでにあるという話です。

もうひとつ、『アサヒ芸能』(2015年1.29特大号)では、『新幹線大爆破』(1950年、東映)に関する裏話が、関係者の談話とともにまとめられています。

アサヒ芸能・高倉健・新幹線大爆破
『アサヒ芸能』(2015年1.29特大号)より

速度を80キロに落とすと爆発する爆弾が新幹線に仕掛けられ、犯人からは莫大な身代金の要求が。

止められない状態で動揺する車内。爆弾の取り外しや方針の違いを巡って対立する国鉄(現JR)。犯人逮捕ばかりに熱中して逆に事件を混乱させる警察などが見どころのパニック映画です。

『新幹線大爆破』

私は、『新幹線大爆破』は好きな作品で何度も観ていますが、その背景にあるエピソードはよく知りません。

ネットのマニアブログなどを見て、「へー、そうなんだ」なんてことばかりですが、ただ個人的な感想としては、「『新幹線大爆破』は高倉健主役となっているが、宇津井健が主役ではないだろうか」と思い、このブログでも書いたことがあります。

【新幹線大爆破関連記事】
『新幹線大爆破』を新幹線開通50周年を前に鑑賞
『昭和の肖像(町)』にじむ昭和の心から改めて暮らしを考える

実は、それがあたっていた、というのが同誌の記事の内容です。同誌から引用します。
東映としてはオールスター大作にしようという方針で一本化。当時は「赤いシリーズ」を中心にテレビで活躍していた宇津井健を招くなど、豪華なキャストが集結。さらに“予想外の大物”が名乗りを上げた。
「こんなにおもしろい映画なら、どんな役でもいいから参加したい。もちろん、犯人役でもかまわない。
誰あろう高倉健であった。

要するに、キャストはすでに固まっていたところを、高倉健が後から自分の意志で入り込んできた、というわけです。

しかし、そのような意気込みで出演する東映の大物を、ストーリー展開と関係ないカメオ出演というわけにはいきません。

そこで、高倉健は犯人役に。

本当は国鉄・警察の側から描く作品だったのですが、当初予定していなかった大物が犯人役になったので、脚本は大幅に修正されることになったそうです。

「なぜ、犯行に至ったのかという犯人側のそれぞれの背景を書き足して、そのぶん、映画の流れを寸断しないだろうかと思ったよ」と、脚本の小野竜之助は振り返っています。

私は、むしろ「寸断しない」ことに気を使いすぎて、まだ「それぞれの背景」は十分ではないように思いました。

それゆえ、この話は、犯人側からでなく、国鉄や警察の側から描きたかったのではないかと思ったわけです。

いずれにしても、途中からモチーフが変わるのは、作品作りとしてはあまり望ましいことではありません。

爆破犯の側の葛藤は大切ですが、あまりそこにウエイトを置くと、国鉄・警察側の狼狽を描いたパニック映画なのか、犯人側の人間ドラマなのか、作品としての見どころが拡散してしまうからです。

でも、押しかけ参加で犯人役を演じた、高倉健の側から映画をPRしなければならない。

結局、『新幹線大爆破』はそのへんがはっきりせず、また映画の完成も遅れたこともあって、配給時は不入りでした。

後に同作はフランスでヒットしましたが、こちらはそうした“ダブルスタンダード”ではなく、明快なパニック映画として上映されたので、受け入れられたのではないかと私は思います。

スポンサードリンク↓

高倉健のギャラは通常の半額だった


それ以外にも、いくつかのエピソードが出ていますが、それらはネットで読んだことあるかもしれません。

たとえば、国鉄が協力を拒んだという話。

そりゃそうですよね。『新幹線大爆破』なんて、そのものズバリのタイトルですから。

タイトルを変える妥協案も、当時の東映・岡田茂社長が譲らず、結局は車内シーンはおろか駅のシーンもセットに。

てっきり、新幹線爆破シーンで全部壊れたのかと思いましたが、セットは、その後放映された西郷輝彦主演のテレビドラマ『新幹線公安官』(1977年8月9日~10月25日、1978年4月3日~9月25日、東映/テレビ朝日)に流用されていました。

気になる高倉健のギャラですが、同作がオールスターキャストで特撮にもお金がかかるため、岡田茂社長の条件は通常の半分。

高倉健はギャラに厳しい俳優と言われていましたが、このときは「映画があたった時に成功報酬を支払う」ことで話がまとまったそうです。

当時は不入りで、成功報酬は入らなかったと思いますが、それまでギャングや任侠ヤクザばかり演じてきた高倉健が、町工場のオヤジで犯人役を演じたことで、「今までにない味わいが出た」(小野竜之助)ことが、その後フリーになってからの、いろいろな仕事につながっていったのではないでしょうか。

『新幹線大爆破』。まだご覧になったことのない方はぜひお勧めいたします。

アサヒ芸能 2015年 1/29号 [雑誌]

アサヒ芸能 2015年 1/29号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2015/01/20
  • メディア: 雑誌


nice!(334) 
共通テーマ:映画

nice! 334

Facebook コメント

Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます