『続・若い季節』(1964年、東宝)を収録した『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』(Vol.46)が年末に発売されたので、昨晩さっそく鑑賞しました。NHKで放送されて(1961年~1964年)好評だったドラマの映画化です。正編の『若い季節』(1962年、東宝)とは社長以外のメンバーを入れ替えています。(画像は『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』(Vol.46)より)
1960年代の人気東宝喜劇シリーズを収録した分冊百科の『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』も、いよいよ残すところ5作となりました。
今回収録された『続・若い季節』は、これまでリリースされた、クレージーキャッツや森繁久彌主演ではない作品です。
このブログでは、12月7日に『若い季節』について書きました。
⇒
『若い季節』1960年代前半を活き活き描く青春ミュージカル群像劇
プランタン化粧品会社を舞台にした、当時のスターたちの歌と踊りが随所にテンポよく入る青春ドラマの映画版です。
今回はタイトル通り、その続編です。
が、設定が同じというだけで、配役はガラッと変わっています。
同じなのは、社長役の淡路恵子と、商談に使う料亭の女将役の沢村貞子だけ。
谷啓やジェリー藤尾、特別出演の植木等などは前作も出演していますが、ストーリー展開にはあまり大きな影響を与えません。
ストーリーも、女性店員の園まり・中尾ミエ・伊東ゆかりのスパーク3人娘と、
『続・若い季節』より
当時日本では数少ないアクション俳優の一人だった三橋達也の出逢いを中心に描かれています。
『続・若い季節』より
スパーク三人娘と呼ばれていましたが、いつ頃からどうしてそう呼ばれるようになったのかは私は詳しくありません。ただ、時期的に、この作品あたりからそう呼ばれるようになったのではないでしょうか。
当時の東宝は、黒澤明と三船敏郎の国際的作品のほか、喜劇の人気シリーズ、さらに宝田明や三橋達也などを主演にした作品もずいぶん作られていました。
手短にあらすじを
プランタン化粧品は男性化粧品の売上が悪く、社長(淡路恵子)は、専務(十朱久雄)と宣伝部長(三木のり平)にテコ入れを要求。
社長の姉(沢村貞子)の発案で、営業課長(人見明)以下、男性社員は給料天引きで男性化粧品をつけて自ら宣伝することにしました。
さらに、ポスターのモデル(青島幸男)を交代させよう。「シブイいい男」を見つけてきたら賞金3万円(今の30万円ぐらい)出すと社長がハッパをかけます。
カメラマン(鈴木ヤスシ、古今亭志ん朝)は必死に探しますがなかなか見つかりません。
女性店員3人(園まり・中尾ミエ・伊東ゆかり)が考えたのは、かつてボーリング場で出会った“おじさま”(三橋達也)でした。
三橋達也は社内でも好評でモデルに採用が決定します。三橋達也は断りますが、3人娘に押されて結局撮影をしてしまいます。
しかし、三橋達也は、実はプランタンに融資をする話が進んでいたサン興業の社長です。
三橋達也は、3人娘に秘書(砂塚秀夫)の名前を借りて会っていたので、プランタン化粧品は大切な会社の社長と気が付かなかったのです。
それが原因か、サン興業は役員会でプランタンへの融資を断ることを決定。専務(藤田まこと)がプランタン化粧品に通告したことから事態が明らかになります。
すると3人娘は、三橋達也に直談判。融資の話すら知らなかった三橋達也は、鶴の一声で融資を決めるという、ハッピーエンドです。
スポンサードリンク↓
印象に残ったところは……
ひとつは、古澤憲吾監督のドハデでテンポの良い演出ですね。
メインタイトルは、何と後楽園競輪場(今の東京ドーム)に人文字で「若いきせつ」と描いているところを空撮しています。
『続・若い季節』より
これすごいですよね。まだ東京オリンピック前で、首都高も完成していない頃ですから。
目を引く出演者は、スパーク三人娘とともに、渡辺プロからは若き日の木の実ナナが出ています。
『続・若い季節』より
まだブレイクする前ですね。
そして、化粧品会社のTVコマーシャルに登場したモデルは、古澤憲吾監督の作品にしばしば出演する由利徹。
例によって、「『ピ』ランタンの男性化粧品」と発音する怪演ぶりです。
この芸は脱線トリオ以来半世紀に渡って一貫していますが、つい笑ってしまう貴重な存在です。
三人娘は、みんな蜂の巣ヘアです。
当時、これが流行っていたんでしょうね。
覚えています。あの、ザ・ピーナッツも、この映画が公開された前年の紅白歌合戦は蜂の巣ヘアでした。
私は最近、地上波の番組をあまり観なくなりましたが、今旬のタレントたちで、こういう作品を作ろうなんて話にはならないんでしょうかね。
歌も芝居もできない、瞬間芸やリアクション芸だけじゃあ、難しいのかな。
とにかく、出演者を覚えている世代にとっては、楽しい作品だと思います。
Facebook コメント