SSブログ

第2回蒲田映画祭、蒲田から始まった戦後邦画界を振り返る [大田区散歩]

第2回蒲田映画祭(シネパラ蒲田)が10日から19日まで、かつての松竹蒲田撮影所の跡地にある文化施設「アプリコ」などで開催されています。各種展示と名画上映会、さらに俳優の加藤武(文学座代表)のスペシャルトークショーを大田区の蒲田地区の複数会場で行っています。私も今日アプリコに行ってきました。

第2回蒲田映画祭、シネパラ蒲田

どういう催しかといいますと、簡単に述べると展示と上映会です。

第1回蒲田映画祭については以前このブログでも書きましたが、今回のテーマは「蒲田行進曲は永遠に」です。

パンフレットには、「映像技術は進化しているが、いつの時代にも『蒲田行進曲』の魂を受け継いだ映画人、それぞれの青春があった」と書かれています。

同作は京都・太秦の話ですが、その原点は蒲田撮影所にあるということで、JR蒲田駅も発車メロディに『蒲田行進曲』が使われています。

各社の名画ポスターが展示


syoumen.png

主会場のアプリコでは、上映映画が『蒲田行進曲』。



展示物は、「1.始まりは蒲田から…近代映画に挑んだ青春群像」「2.続・小沢昭一的こころの部屋…戦争っていやだ。平和で行こうよ」の二部構成になっています。

残念ながら撮影禁止のため、以下は文章のみです。

「1.始まりは蒲田から…近代映画に挑んだ青春群像」は、パネルで、松竹キネマ蒲田撮影所、蒲田撮影所で活躍した監督・俳優と作品集、松竹で育ち日本映画を支えた監督の作品集など、当時の作品ポスター、メディアの記事などが展示されています。

監督は、他社でも撮っている豊田四郎、吉村公三郎、渋谷実、大庭秀雄、木下恵介、野村芳太郎、小林正樹、川島雄三、家城己代治、山本薩夫など、昔の映画ではお馴染みの人びとのため、松竹に限らず、大映、東宝、日活など、各社の懐かしの名画ポスターが飾られています。

今と昔では、映画に対する価値観がかわってしまったので、とくに若い世代にはピンと来ないかもしれませんが、タイムマシンで昔にいったつもりになって考えると、なるほどその時代の夢と希望を与えてくれたんだろうなあという気がしてきます。

スポンサードリンク↓

戦争っていやだ。平和でいこうよ。


「2.続・小沢昭一的こころの部屋…戦争っていやだ。平和で行こうよ」は、蒲田出身の俳優・小沢昭一さんに関する資料が展示されています。

19日には、小沢昭一さんの友人であった文学座代表の俳優・加藤武がトークショーを行います。

石坂浩二の金田一耕助シリーズで、早合点する警官の人です。

『仁義なき戦い』で、金子信雄と広島の跡目を争ったタクシー会社の社長役の人です。

そういえば、小沢昭一、やはり文学座だった北村和夫、加藤武、たぶん接点は早稲田大学の同窓ですね。

村野武範、長塚京三、久米宏、そして田中真紀子前衆議院議員も早稲田の演劇で一緒だったといいますし、古くは森繁久彌、谷口千吉(八千草薫の夫)、山本薩夫もそうですね。

モラトリアムとか馬鹿にしていますが、学生時代のつながりって大事ですね。

私は学生時代、すぐにサークルをやめて何もしていなかったので、そういうのがありません。なんかやっておけばよかったといまさら後悔していますけど。

それはともかくとして、トークショーのテーマは

「戦争っていやだ。平和でいこうよ。」

だそうです。映画と戦後について話が聞けそうです。

tenjibutsu.png
会場の外壁に飾られたパネル

銭湯や居酒屋でも上映会


上映会は、期間中蒲田界隈の複数の会場で有料ないしは無料で行われます。

アプリコ以外では、「まちなか上映」として、普段は映画館や公演・展示会場ではないところで、アニメや8ミリホームムービーなどの上映会を行っています。

たとえば、「はすぬま温泉」という銭湯や、「あすと」という京急蒲田西口商店街ではアニメ上映会が行われます。

大田区立蒲田図書館では8ミリホームムービー上映が行われ、「居酒屋串幸」というところでは飲みながら名作映画を観る「シネマ ナイト&デイ」という催しが行われます。

蒲田の現在


蒲田は、松竹の撮影所があっただけでなく、映画館が多かったことでも知られていたそうです。

かつては映画雑誌で特集されていたほどで、その数19館。

東海道線も停車しない田舎駅なのに、それだけ映画館が多いって考えてみたらスゴイですよ。

数えられるのはミスタウン系の蒲田松竹、蒲田大映、蒲田日活、蒲田東宝、蒲田東映劇場、蒲田国際劇場、蒲田文化など封切り館。

それ以外に名画座、二等館の蒲田富士館、テアトルカマタ、蒲田宝塚、蒲田パレス座 帝都座、南星座、ヒカリ座など。

私が子供の頃は、ミスタウン系の映画館に日曜日になると父親に連れて行ってもらいました。

南星座やヒカリ座は、私が成人する頃まで残っていたと思いますが、たしか最後は成人系上映館だったと思います。

今はミスタウン系は全滅。わずかに、蒲田西口駅前商店街(サンライズ通り)に、テアトルカマタ(東映系)、蒲田宝塚(松竹と東宝)が残るだけになりました。

現在の映画業界が、大都市集中型ロードショーの興行形態をとり、時間が経つとDVDやテレビ放送されるシステムであるとはいえ、19館が2館というのは寂しいですね。

近隣の方、映画ファンは1度覗かれてはいかがでしょうか。

大田区本 (エイムック 2780)

大田区本 (エイムック 2780)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: エイ出版社
  • 発売日: 2014/02/27
  • メディア: ムック


nice!(326) 
共通テーマ:映画

nice! 326

Facebook コメント

Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます