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『赤い迷路』が10月から放送開始、シリーズの原点はシリアス作品 [懐かし映画・ドラマ]

『赤い迷路』(1974年、大映テレビ、TBS)というドラマが、10月1日からTBSチャンネル2で2話ずつ(月~金)放送されます。1970年代後半に劇画調(というより漫画チックか)のサスペンス・ドラマとして一世を風靡した『赤い』シリーズの第1弾です。宇津井健の真面目な人柄がうかがえる熱演が楽しみです。

赤い迷路
TBSチャンネル公式サイトより

『赤い』シリーズというのは、1970年代後半にTBS系で金曜21時から放送された、タイトルに『赤い』とついたサスペンス・ドラマ10作品のことをいいます。

その漫画チックな設定やセリフをコバカにしながらも、つい毎週見てしまう不思議な作品群でした。

現在、講談社からは『山口百恵「赤いシリーズ」DVDマガジン』という大映ドラマを振り返る分冊百科が隔週で出ています。



その中にも、『赤い迷路』は収録されているのですが、分冊百科を購入しない人や、はやく続きを見たい人にとって、今回の放送は時宜を得たものといえるかもしれません。

『赤い迷路』とは


『赤い』シリーズは、山口百恵の出世作のように扱われます。

が、実際には6作の出演にとどまっており、山口百恵自身が「もう『赤』は嫌だ」と『赤い絆(レッド・センセーション)』(1977年)を最後に降板したという話もあります。

もとより、最初は宇津井健を柱とする、もっとシリアスなドラマを作ろうとしていたのではないかと思います。

それが伺えるのが、第1弾である今回の『赤い迷路』です。

宇津井健(精神科の大学教授役)と山口百恵は親娘ですが、ワケありで本当の両親は別にいます。

そして、宇津井健の妻(小山明子)がラブ・ホテルで変死したことをきっかけに、山口百恵演じる娘は自分の出生の秘密を知り、父娘は人間心理の複雑さ、奇怪さに翻弄されるという重いストーリーです。

この時期、宇津井健は、職人役だった『たんぽぽ』(日本テレビ系)、署長役だった『夜明けの刑事』(TBS系)を掛け持ちしていました。

そこで、真面目な宇津井健は役作りも一考。

『たんぽぽ』ではザンバラ、『夜明けの刑事』ではいつもの七三分け、そして『赤い迷路』では、それまでなかったオールバックと、作品によってヘアスタイルを変えていました。

いつ見ても宇津井健、と視聴者に思わせないようなせめてもの工夫だったのでしょうか。

まじめに生きてた甲斐がある


それにしても、子供の頃観ていた番組ですが、もう放送されてから40年にもなるんですね。

ということは、この番組そのものはもちろん、放送されていた時代背景も全くわからない世代の方が今や多数派なのかもしれません。

当時はそのような言い方はありませんでしたが、今風にいうと、この『赤い迷路』は、「金9」とでもいうべき黄金枠で放送されていました。

『ザ・ガードマン』(1965年4月~1971年12月、大映・大映テレビ、TBS)という群像アクションドラマがヒットし、7年にわたって高い視聴率をとっていた枠だからです。

スポンサーはサントリー。サントリーの社長は面倒見のいい人だったんですね。

というか、よほど『ザ・ガードマン』が好きだったんですね。

長くこの枠をスポンサードするとともに、『ザ・ガードマン』の主要なメンバーだった宇津井健や神山繁をCMにも起用。

さらに、同作が終了して10年以上たってから、またメンバーをCMに使っていました。

そのときのコピーが、「まじめに生きてた甲斐がある」だったかな。

コピー通り、メンバーにはスキャンダルもなく、中条静夫のように、番組開始前は大映の大部屋俳優だったのに、終了後にブレイクした人もいました。

渡る世間は鬼ばかりSP2
『渡る世間は鬼ばかりSP2』より

同世代の他の人はわかりませんが、私はテレビっ子として、自我の形成について、梶原一騎原作の漫画や、『ザ・ガードマン』のような人気ドラマの影響を受けています。

ですから、今も宇津井健の真面目な人柄がうかがえるドラマを改めて鑑賞することで、気持ちを新たに頑張ろうという気持ちにさせられるのです。

隔週刊 山口百恵「赤いシリーズ」DVDマガジン 2014年 3/11号 [分冊百科]

隔週刊 山口百恵「赤いシリーズ」DVDマガジン 2014年 3/11号 [分冊百科]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/02/25
  • メディア: 雑誌


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