SSブログ

佐世保の事件、子の犯罪は本当に親が原因なのか [社会]

佐世保の事件。びっくりしました。当然ネットでも取り沙汰されていますが、一部では、加害者の父親の再婚が引き金になったという報道があり、夜遊びや女性関係が面白おかしく書き立てられています。また一部の人が、それを受けて、関連ニュースでは父親に対して、義憤コメントを書き込んでいるのが目立ちます。

たとえば、このニュースのコメントがそうです。
『6月、医師が「人を殺しかねない」』(毎日新聞 8月1日(金)6時0分配信)
このニュースは本来父親の話ではないのですが、父親を叩くコメントがあります。

そもそもマスコミ自体、父親を標的にしていますね。

『日刊ゲンダイ』(8月1日付)では、一面に大きく、「佐世保エリート父の罪」と見出しが出ています。

日刊ゲンダイ8-1

別に父親が罪を犯したわけじゃないでしょう。

どのような意図があろうが、こういう報道はいけません。

まあ、いずれにしても、私としては、「またはじまったな」という印象が強い。

何が始まったかって?

マスコミのミスリードと、一部のネット民の短絡的で感情的で無責任な大合唱書き込みです。

スポンサードリンク↓

夜の街に何百万もカネを落とす地元名士の父親が、デリケートな年頃の娘がいるのにすぐ身なりの派手な若い女性と再婚した。

けだし、この父親は、叩きどころがあり、マスコミも無責任大衆も美味しすぎる素材ですよね。

父親として思慮に欠ける面があるのも否定しません。

でも、成績優秀でプライドの高い子どもが、そんなことで犯罪に走るもんでしょうか。

抑えられない自分から発する欲望ならまだしも、再婚して軽蔑する父親へのあてつけや悔しさなんかのために、友達相手にあそこまでトンデモないことができますか。

そう考えると、父親の再婚に還元する罵倒は軽々にすべきではない、というふうに思いませんか。

どうも我が国では、“子ども性善説”といいますか、子どもに悪事の根源はない、というものの見方が「子の福祉」や人としての優しさであるかのように思っている人が多いんじゃないでしょうか。

子どもが大人に比べて、無権利で非力で社会で保護されるべき存在であることに異論はないし、何よりも子は親の背中を見て育つものですが、だからといって、子どもが起こした行為の真相究明にあたって最初から当事者である子どもの責任を見ないようにするのはおかしいでしょう。

私が何紙誌か目を通して、興味深かったのは、『東京スポーツ』(7月31日付)の北芝健氏のコメントです。

北芝健氏は、父親の再婚は今回の事件に関係なし、という立場をとっています。

私も、この推理が一番ひっかかりなく受け入れることが出来ました。引用します。

東京スポーツ・北芝健.png
「一般に学歴の高い人は、男性ホルモンのテストステロン値が異常に高く、競争力と攻撃性が強く、子供にも遺伝する。一部で前頭前野が未発達で残虐な衝動を抑えられず、子供のころから異常行動をとるケースが多い。子供に関心が高いエリート家庭で、親は小動物虐待などの異常行動を見逃すわけはないが、世間体から見て見ぬふりする傾向にある」というのだ。
 佐世保の事件については、父親の再婚など複雑な家庭環境は直接、犯行動機に関係ないとみている。
「逆上したとか、生育環境を恨んだということではない。『人を殺害してみたかった』と酒鬼薔薇と同じ供述をしており、ハンマーやノコギリを事前に揃えている。幼少期から残虐な遺伝子によって心の中で育ってしまった殺害衝動がはじけてしまった。密室(マンションの自室)で、殺害できる友人が目の前にいて、凶器もあり体力的にも問題なく、すべての要件が揃い『今がチャンス』との衝動が出現した。その後は一切考えていない。事件が発覚しないで留学することまで思い描いていたかもしれません」と加害少女の心理を推し量った。
父親が再婚しようがしまいがそんなこと関係なく、加害者は元来がなんかあるとすぐキレてトンデモないことをする人間だ、ということを北芝健氏は言っているわけです。

北芝健氏はあくまで元刑事であり、その分野の学者でも医療従事者でもありません。

ただ、「複雑な家庭環境は直接、犯行動機に関係ない」という推理は今回の事件に成りたつ根拠はあります。

報道で言われている、給食への漂白剤混入事件です。

別に父親が再婚しなくたって、“そういうこと”をしてるじゃないですか。

もし北芝健氏の推理が正しければ、今回、加害者の心の「闇」を父親の再婚と結びつけようと熱中しているマスコミの報道は、ミスリードということになるかもしれません。

ネットの義憤なんて道理があるとは限らない


何度か書きましたが、この手のマスコミの暴走と大衆の悪ふざけには、私も3年前に火災を経験した時、泣かされました。

ネット掲示板では、私が家族のために勇敢に火の中に飛び込まないから怪しいという結論になり、それを見たのかどうか、近所の連中が、私が家に火をつけて逃げたという話をマスコミにバラマキ、火災の直後は、マスコミが私の実家に押しかけるは、長男の級友の登下校につきまとうはで大変でした。

こっちは妻子3人が意識不明の重体で、それどころじゃないのに。

マスコミと大衆の残酷ないい加減さを身をもって知っている者とすれば、別に父親の肩を持つ義理はありませんが、今回もそういういい加減さを感じます。

たかが数行のニュースでは、細かい経過などいくら頑張って深読みしてもわかりませんよ。

そんなことより、「学歴の高い人」が社会的な欠格者である可能性がある、という北芝健氏の話の方が私には考えさせられます。

それにしても、一部大衆は、マスコミが右で煙を起こせばそちらに走り、左で物音を立てればまたそちらに踵を返す。

それがデマだとわかると「マスゴミ」などとののしって八つ当りする。

でも、自分は何も悪くない。何も考えようとしなかったくせに。

やがて、そういう出来事も忘れてしまい、また新しい事件で同じことを繰り返す。

このようなネットで完結してしまう「理性」が私は心配です。

貧乏人が激怒する ブラック日本の真実  「情弱一人負けの時代」を生き抜くヒント

貧乏人が激怒する ブラック日本の真実 「情弱一人負けの時代」を生き抜くヒント

  • 作者: 午堂 登紀雄
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/10/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


nice!(355) 
共通テーマ:ニュース

nice! 355

Facebook コメント

Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます