『新しい自分に生まれ変わる「やめる」習慣』(古川武士著、日本実業出版社)という書籍が話題になっているので読んでみました。先延ばし、ネットやスマホ、夜更かし、アルコールやタバコ依存、食べ過ぎなど、「やめたいのにやめられない』習慣をやめるためのコツを指南しています。
著者が引いているのは、デューク大学の学者が発表した論文。
「毎日の人の行動の、40%以上が意識的な行動ではなく、無意識的な習慣」。
そこで著者は、スイッチング、行動の見える変化、チャンクダウン、ベビーステップといったいろいろなテクニックによって無意識を変えていく方法を説いています。
そのメソッドの具体的な内容は同書をご覧いただくとして、著者が「やめよう」とする対象を挙げておきますと、先延ばし、ネット・スマホ、食べ過ぎ、飲み過ぎ、ムダ遣い、夜更かし、ダラダラ生活、イライラ、クヨクヨ、完璧主義といったものです。
まあたしかに、「つい……」というものが多いですね。
それ自体がその人の心身によくない影響を与えるだけでなく、周囲に迷惑をかけることもあり得ますから、やめられるものならやめたいものです。
誰でもあり得る「やめられないこと」
でもまあ、個人的には、やめられない人というのは、なんだかんだ言って
恵まれている人なんじゃないかな、と思いますね。
同書は、劇的に人は変わらない。毎日のちょっとした習慣、違いで先が分かれていくと書いていますが、私はそんなことはないと思います。
だって、お金がなかったらタバコも買えないでしょう。
時間がなかったらスマホもできないでしょう。
身体が悪かったら、食欲もなくなるし、お酒もまずくて飲みたくなくなります。
どん底に落ちた人は、やめたい、とか、やめよう、ではなく、やれる環境や心身の状態にはなくなります。
そういう意味では、どうしてもやめられないなら、無理にやめなくてもいいんじゃない、なんて私などは思いますけどね。
「どん底」じゃないという意味で、できるうちがハナじゃないのっていう考え方もありますから。
こういう考えは不まじめでしょうか。
結局、「ねばならない」と力んで取り組んでしまうと、目標が達成できなかった場合、ああ、自分はなんてダメな人間なんだ、と自分をスポイルすることになりかねません。
自分を律することに熱心な人っていますよね。
その志を否定はしません。
でも、できなかった場合の、自分自身に対するケアはどうするの?という心配もしてしまいます。
「やめなければならない」ことが、そんなに重要なのか。
重要なことだったらいいのです。
でも、とるに足らないことで、必要以上に自分を追い詰めて自分をスポイルして、自己の価値観や能力を全面開花する人生が送れるのか。
そんなプレッシャーばかり自分にかけて、楽しくやりがいのある日々になるのか、人生つまらなくなりませんか、ということです。
ちなみに、私はスマホはやっていましたが、今はやりません。
パソコンで十分だから。パソコンでやりたいことがたくさんあるから。
タバコは結核を経験しているので20年以上口にしていません。
命と引き換えにするほどタバコが素晴らしいものとは思わないから。
要するに、「どん底」にオチなくても、経験しなくても困らないものだ、もっと楽しいことがあるのだ、という認識を持てば、自然と“卒業”できます。
……なんて、エラソーなことを書いている私ですが、現在たったひとつだけ、「やめられないこと」がありましたーっ!
「
耳垢栓塞 治療、ホントの話」で書いたように、耳かきで気持ちよくなる「クセ」です。
その後も治らなかったのですが(何が何でも治そうとも思わなかったのですが)、この本を読んだら「やめてみようか」という気になり、今のところ3日間、“断掻き”中です。
大事に至って、「やれる環境や心身の状態にはなくな」ってからでは遅いので、これを機会に「耳かきキモチイイからやめられない」症候群とおさらばしたいと思っています。
何度やめようと決意しても挫折してきた方は、同書をきっかけにして「やめる」ことにチャレンジされてはいかがでしょうか。
Facebook コメント