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『怪盗ラレロ』を横山あきおさんの訃報で思い出す [懐かし映画・ドラマ]

『怪盗ラレロ』。子どもの時に見た懐かしいドラマを思い出しました。今日のニュースで、お通夜の模様が報じられた横山あきおさんが出演していた作品です。当時は「青空はるお・あきお」の青空あきおを名乗っていましたが、コンビの芸風そっくりなキャラクターは、まさに横山あきおさんにとっての代表作だったのではないでしょうか。

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横山あきおさん(所属事務所・優企画プロフィールより)

私が『怪盗ラレロ』をはじめて知ったのは、『ぼくら』(講談社)という月刊漫画誌で、ジョージ秋山が描いた連載作品でした。

地元の図書館が同誌を購入して児童用の閲覧室においていました。『ぼくら』は、のちに週刊化するほど超人気雑誌だったので、順番がなかなかこなかったのを覚えています。

児童用のフロアが夕方5時までだったのですが、ぎりぎりまで粘って、閉館の音楽がなる頃、来館者が帰ってからやっと手に入れ、職員に「帰れ」と催促されながら急いで読んでいました。

『ぼくら』を読んでいた最大の目的は、梶原一騎先生が原作で、辻なおき先生が描く『タイガーマスク』がでていたから。

ですが、ジョージ秋山は同時期に『少年マガジン』で、『パットマンx』や『ほらふきドンドン』など、バカバカしいけど取っ付き易いナンセンス漫画を描いていて、私としては、『ぼくら』は『タイガーマスク』の次、『少年マガジン』は『天才バカボン』の次に楽しみにしていた漫画家でした。

それがテレビで放送されるというので楽しみにしていたら、アニメではなく実写。

子どもだったので最初はがっかりしましたが、作品は面白かったので毎週かかさず見ていました。

「~であられるよ」という特徴ある話し方で、決して気取らない子どもたちの人気者というキャラクターが、青空あきおにピッタリだったのだと思います。

ネットには、よく残っていたなあというオープニングの映像もアップされています。

まあたぶん、全話揃わず、今後再放送されることもないのでしょう。

怪盗ラレロ.png

>>怪盗ラレロ_OP

そして数年経って、書店で小説『怪盗ラレロ』(朝日ソノラマ)を見つけて購入。

作者はSF作家として有名な加納一朗でした。

怪盗ラレロ

wikiには、ノベライズ(ドラマの小説化)ではなく、こちらがマンガやドラマの原作ということですが、同書の表紙のデザインは、青空あきおのラレロと、青空はるおのポポポ刑事をイメージしているような気がしてなりません。

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『ルパン三世』のルパンと銭形警部のモデルか?


ストーリーは、「ブンドラ」の呪文でなんでも盗めるのに、役に立たないものを盗んでしまうズッコケ怪盗ラレロと、チャンスはいくらでもあるのに、これまたツメを誤って逮捕できないポポポ刑事の巻き起こす事件を描いています。

これは、世界中のあらゆるものを盗む力がありながら、1万ドルを盗むのに10万ドルをかける“不可解な怪盗”を描いた北杜夫の『怪盗ジバコ』がヒントになっているのかな、という気もします。

『怪盗ジバコ』については、このブログの「ひし美ゆり子と豊浦美子、『ウルトラセブン』と『怪盗ジバコ』」で書きました。



主人公の掛け合いでストーリーを進める構成は、同じ時期に放送されていた人気時代劇『花山大吉』が採り入れています。



『花山大吉』については、このブログの「『素浪人 花山大吉』を観て昨今の大河ドラマ不振を考える」で書きました。

掛け合いの展開は、ゆったりしたペースで飽きられにくいストーリーが作れるコミカル劇の王道なのです。

と書くと、同じような作品として、ルパンと銭形幸一警部の関係から、『ルパン三世』を思い浮かべる方がおられるかもしれません。

が、『ルパン三世』は『怪盗ラレロ』とほぼ同時期の1967年~1969年まで『漫画アクション』に連載されたものの、そのアニメ(1971年~1972年)も含めて、実はもっとハードボイルドでした。

『ルパン三世』は、TVアニメでは4回、劇場用アニメが9回公開されており、最初(1971年~1972年)のアニメ化以外は、全く異なるテイストで作られています。

そういう意味では、『怪盗ラレロ』が、80年代以降の『ルパン三世』のヒントになっているのかもしれません。

青空はるお・あきおはその後コンビ解消。あきおは横山あきおとして俳優の仕事に専念しましたが、青空はるお・あきおでコンビを組む前には、大学(日大芸術学部)の後輩のケーシー高峰とコンビを組んでいたこともあります(やはりコンビ解消)。

芸人よりも、俳優としてやっていきたいという気持ちが強かったのでしょうか。

横山あきおさんの生前のご遺徳をお偲び申し上げます。

怪盗ラレロ (ソノラマ文庫 14)

怪盗ラレロ (ソノラマ文庫 14)

  • 作者: 加納 一朗
  • 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
  • 発売日: 1975/12
  • メディア: 文庫


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