『なぜ僕は「炎上」を恐れないのか 年500万円稼ぐプロブロガーの仕事術』(光文社新書)について前回に引き続き書いていきます。
もともと他者とのコミュニケーションが苦手なイケダハヤト氏は、コミュニティから弾かれないようにするために、自分の知識やスキルを高めたり、有名大学に入ったりして、他者から一目置かれるという戦略で、自分の居場所をつくってきたことを前回書きました。
>>なぜ僕は「炎上」を恐れないのか(前)不器用さを逆手に取った“天職”
その際必要なのは、時間、情熱、環境、市場(ニッチなこと)、効率、ゲーム化にあるということも知ったといいます。そして、これらは、社会での成功にも通じるものだといいます。
まず、知識やノウハウの獲得や習熟には、たくさん時間をかけて取り組む者にかなわないということ。そして、たくさんの時間をかけられるだけの情熱が本人にあること。
情熱があればたくさんの時間を使ってそのことに打ち込めるが、頑張って打ち込もうとしても人間は続かないといいます。つまり、「頑張る」という精神主義では限界があると書いています。
そして、情熱を全面開花できる環境も大事だといいます。たとえば、イケダハヤト氏は、何時間でもゲームをできる家庭環境にあったので、ゲームの達人になり、クラスで自分の居場所を作れた。もし、ゲーム禁止とか、短時間しかできない厳しい家だったら、それはできなかった、というのです。
この件、親が子に対してベストの環境を用意するというのはどういうことだろうと考えさせられます。
塾に行かせて、テレビの時間を制限すればいいのか。それと正反対だったイケダハヤト家のような場合もありますが、どの子供もイケダハヤト氏のように考え行動するとは限りません。
管理か放任か。子育ての永遠のテーマですね。
話を戻すと、市場(ニッチなこと)とは、先人のいないところを狙うということ。先行者利益なんていいますが、そのことです。
効率は文字通り、より短い時間で多くの成果を得るようにすること。
ゲーム化というのは、勉強や作業をやりやすくするように、目標や「あそび」を入れることです。
この6つが噛みあう展開なら、成功できる、つまり前回の話に戻ると「圧倒的な地位」を獲得できる可能性があるといいます。そのようにして、自分の裏付けをもったとき、炎上に耐えられるだけの強い心ができるといいます。
しかし、ここまで成功のための道筋を読むと、素朴な疑問が生じます。
では、そうまでして、なぜ炎上しなければならないのか。
そこまで博学で高学歴になったのなら、教科書のような破綻のない論理と知識に満ちたコンテンツを発信すればいいわけで、わざわざ私立最難関の大学にまで入って、その挙句が炎上ブロガーなのか。
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なぜイケダハヤト氏は炎上を勧めるのか
しかし、彼は炎上についてむしろ積極的です。彼は、炎上の「良い点」を次のようにまとめています。
炎上とは新しい価値観の創出である
ブロガーはアーチストであり、新しい価値観を創出しなければならない、という信念をイケダハヤト氏は持っています。
既存の価値観に埋没するのではなく、嫌われても、理解されなくても「新しいこと」を主張することが大切だといいます。
曰く、Facebookでみんなが「いいね!」を押すような投稿は、しょせんみんなが理解できることであり、既存の価値観でしかない。だからつまらない。
価値意識を問うテーマであるなら、全面的に賛成です。
たしかに、やれ毒を吐くとか、やれ○○を斬るとか、勇ましく自分の視点を売りにしていながら、実際にはマスコミの受け売りや、閲覧者に嫌われない無難なことしか書いていないブログは少なくありません。
もちろん私は、「無難な」ブログそれ自体を悪いこととは思いません。
が、わざわざ勇ましい標榜をするのなら、炎上覚悟で今までにないことを書いてみる勇気があってもいいだろうなあと思います。
自分と合わない人たちが遠ざかっていく
八方美人ではなく、自分の意見をハッキリ主張することで旗幟鮮明となり、「仲良くなれそうもない人たち」を、うまく遠ざけることができるとイケダハヤト氏は書いています。
まあ、価値観が合わない人に読まれて、平行線のコメントを付けられてもお互い不幸ですからね。
炎上することで「一流の人」が声をかけてくれる
「一流の人」というのは、同書によると「尊敬していた経営者の方」「雲の上の人」だそうです。炎上することで、その人たちが声をかけてくれる、と書かれています。
想像するに、「一流」の人たちというのは、ネットかリアルかを問わず、自分自身も過去に大きな「炎上」を経験してきたのでしょう。他者との乱操を恐れず、出る杭となるはずの意見も恐れず口にして社会の殻を突き破り続けてきたからこそ、いま、一流の人間として存在していられるのだと思います。
そしてそういう人は、誰かが自分の意見を発信し炎上する姿を見ると、過去の自分を思い出し、優しさがこみ上げてくるのかもしれません。一流の人たちは(その意見に賛同するか否かはどうでもよくて)「炎上を覚悟して、自分の確固たる意見を発信している」という態度そのものを評価しているように感じます。
要するに、炎上することは「ガイブン悪い」と恥ずかしがらなくてもいいんだよ、ということですね。
もうひとつ、炎上経験者は他人にやさしい、ということも書いていますが、これだけはどうでしょうかね(笑)
自分が痛みを経験したから他者にも寛容になるということらしいですが、私自身はむしろ、炎上経験によって、他者に対して不寛容で神経質になりました。
ですから人それぞれということで、この点だけは無条件で賛同せず、留保をつけておきましょう。
もちろん、何でもいいから炎上すればいいということではありません。アルバイトが冷蔵庫に入ってツイッターに投稿する炎上は、投稿する方も、炎上させる閲覧者にもイケダハヤト氏は賛成していません。
ただの愚行と新しい価値観の創出は違うし、バカをバカと叩くだけでは建設的ではないからです。
……ということで、同書は全体を通して、正直に書かれているので、炎上どころか好感が持てます。
ブログに対する目的や価値観は様々と思いますが、ブロガーとは新しい価値観を創出するアーチストだ、という考え方に関心をもたれたら、ぜひ同書を読まれることをおすすめします。
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