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なぜ僕は「炎上」を恐れないのか(前)不器用さを逆手に取った“天職” [パソコン・ネット]

『なぜ僕は「炎上」を恐れないのか 年500万円稼ぐプロブロガーの仕事術』(光文社新書)を読みました。著者はイケダハヤト氏です。彼は上位0.01%に入るトップブロガー。彼の持論である「炎上を恐れない」理由と、それができるために必要な条件を、中学時代、高校時代、大学受験の成功体験も具体的にまじえて紹介しています。同書を2回に分けて、レビューを書いていきます。



イケダハヤト氏はプロブロガーです。ブログの広告や、ブログがきっかけとなって講演会や雑誌の執筆などを収入とする人です。

というと、万人に尊敬されるブログを書いているのだろうなあと思うかもしれませんが、イケダハヤト氏のブログの「見どころ」は炎上です。

何を書いてもツッコミが入ります。

同書では、タイトル通り、イケダハヤト氏が炎上を恐れない理由について述べています。

学校時代の成功体験をもとに、ブログでも成功した。ブログで書くことは新しい価値観を創出することなので、簡単に受け入れられるようなことではつまらない、だから炎上大いに結構という内容ですが、実際に好んで炎上したがる人はいないでしょう。

同書では、学生時代の成功体験とともに、炎上することの意義を述べています。

読み終えた感想。一口に言えば、実に面白く興味深い本です。

これまで書いた他のネット関連書籍のレビューがうそくさくなってしまいますが、これまで私が読んでいて、「うん、そうだな」と素直な気持ちで読めたのは、中川淳一郎氏とイケダハヤト氏の2人だけです。

これまでこのブログでは、中川淳一郎氏について、「『ネットのバカ』の中川淳一郎氏、ネットとスマホに警鐘を乱打!」「『ネットのバカ』が嘆く「Facebookは気持ち悪い」の真意は?」で書き、イケダハヤト氏については、「武器としての書く技術ー30万人に届けて月50万円稼げるか!?」「イケダハヤト氏の有料livedoorブログ押しでSo-netブログを思い浮かべた」で書きました。

ちなみに、中川淳一郎氏は、イケダハヤト氏を、すくなくとも一時期こてんぱんにヤッていましたが、私が見たところ、その2人には共通点があります。

それは、ネットの既存の“お行儀”だの、ユーザーの顔色だのよりも、自分の主張、提案を大切にする、ということです。

私はパソコン通信時代から、「ネチケット」なる“お行儀”が暗黙の了解のように存在することについてうんざりしていました。

いまだにFacebookでは、挨拶もなしに友だち申請するな、などと説教する奴がいますが、私はばっかじゃなかろうかと思っています。

いや、礼儀正しくされている方をどうこういうのではなく、それを「ねばならない」と、他人に強要する態度が迷惑で不毛だと言っているのです。(挨拶しない奴が嫌なら相手にしなければすむ話)

その「礼儀の強要」は結局、リアル社会の規範やしがらみをそのままネットに引きずり込もうとしている価値観であり、リアルにはないネットの自由な表現やコミュニケーションの可能性を制約するものにほかなりません。

ですから、どんなに丁寧な解説をする書籍でも、通り一遍のお行儀論や、相手の顔色に重きをおく件が入ったところで、私は読む意欲をいっぺんになくしてしまいます。

その点、中川淳一郎氏は、そもそもその大多数のネットユーザーを戒め、ネットの「友達」なるものを全く認めず、イケダハヤト氏は、炎上を恐れずに自分の意見を述べています。

要するに、彼らはネットユーザーにこびへつらっていないのです。

その限りでも私は快哉を叫びたい。

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炎上できる前提


ということで、『なぜ僕は「炎上」を恐れないのか 年500万円稼ぐプロブロガーの仕事術』の話です。

炎上の意義についての記述は次回書きますが、イケダハヤト氏のブログ記事では、毎回炎上を繰り返しています。空気を読まず、つまりネットユーザーの顔色お構いなしに自分の意見を書きます。

私から見ると、炎上商法に近いようなものもないとはいえないのですが、アブドーラ・ザ・ブッチャーの流血試合、水戸黄門の印籠と同じで、炎上は記事の“お約束”になっているのでしょう。

しかし、同書の中でも書いていますが、炎上というのは、実際に経験した者でないとわからない恐怖感があります。

私もその昔、ジャニーズ関連のブログを書いていて、内博貴が当時フジテレビの女子アナらと未成年としてあるまじきトラブルを起こした時、「内解雇」とトバシたことがあるのですが、そのときは反応がすごかったですね。

一人ひとりの悪意はわずかでも、それが大挙押し寄せることによる書き手のプレッシャーは相当なものです。

それでもイケダハヤト氏は炎上ブログをやめません。なぜ彼は炎上に耐えられるのか。彼が精神的に強いのか。秘策があるのか。どちらも違います。まえがきから一部引用します。
空気を読まずに自分の意見を語る「覚悟」を身につけるためには、「自分の心」だけを一方的に変えるだけではダメだということに、99パーセントの人が気づいていないのです。(中略)「いいたいことがいえる地位を築き、環境をまず変えること」ことこそが、「真の意味で自分を変える」ための第一歩になる、ということを本書では提示します。その上で、並行して、「強い心」を作っていきます。
炎上に耐えられるには精神だけではなく、客観的な前提が必要で、それは「いいたいことがいえる地位」だとイケダハヤト氏は言っています。

簡単にいうと、人を見下せる「すごい」ところに自分がいれば、安心して言いたいことが言えるようになるというのです。

そして、彼は、自分の少年時代、学生時代それを獲得した成功体験を、具体的に披露しています。

人とコミュニケーションが取れなかった少年時代は、ゲームの達人になって「先生」として一目置かれるようにした。中学時代は父親からパソコンを買ってもらい、サイトをたくさん作って多くのアクセスを得て自信をつけた。受験勉強は学校へ行かずに自分の試行錯誤におもいっきり時間を使って、二流の県立高校から偏差値55で私立最難関の早稲田大学政経学部に受かったなど。

成功したのは大変結構なことですが、このへん、「普通の人」から注文をつけると、ちょっとさびしい人だな、という気もしましたけどね。

つまり、イケダハヤトさんは、偏差値55のありのままの自分では友達を作れない人なんです。

彼はそもそも虚心坦懐で他人と仲良く出来る人ではないのです。博識や学歴で一目置いてもらわないと人と付き合えない。極端に言えば馬鹿にされるか自分がするか。泣くか笑うかだけで、「中間」の薄笑いができないのです。一歩間違ったら、ただの自己愛性パーソナリティ障害です。

でも、本来なら社会生活の落伍者になりかねない資質の逆手をとって、彼は炎上メーカーという“天職”を見つけたんでしょうね。

彼は、他者とは構えないと付き合いない人格や、ゲームを好き勝手にやらせてくれた家庭や、パソコンを買ってくれる父親や、受験勉強で休ませてくれた学校といった環境があってこそ、自分が成功できたことをわかっています。

ですから、同書は自分の成功について、環境を変えればいい、自分を変えればいい、などという安っぽい自己啓発セミナーの常套句でごまかすことはしません。

人間には環境と運がある、だから同じことをやっても全員が成功できるわけではない、ただ実践すればうまくいく確率は上がる、というスタンスで自分の経験や考えを紹介しています。

そう、人生というのは、“ほしのもと”と努力によって構成される複雑系なのです。

人生を「運命」だけで語ろうとするのはトンデモ、一方で、運不運などない!と言い張るのも傲慢な意見だと私は思います。

イケダハヤト氏は、成功体験を獲得するためのポイントは、

時間
情熱
環境
市場(ニッチなこと)
効率
ゲーム化

にあるといいます。

同書には、早稲田の政経に合格するために行った、それらをふまえた具体的な勉強方法が正直に書かれています。

受験生やその親御さんには、そのノウハウだけでも同書を読む意義があるかもしれません。

次回は、炎上ブログの意義について書きます。

【次回は……】
>>なぜ僕は「炎上」を恐れないのか(後)人に嫌われることを恐れない

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なぜ僕は「炎上」を恐れないのか 年500万円稼ぐプロブロガーの仕事術 (光文社新書)

なぜ僕は「炎上」を恐れないのか 年500万円稼ぐプロブロガーの仕事術 (光文社新書)

  • 作者: イケダハヤト
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/02/18
  • メディア: 新書


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