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渡辺淳一氏亡くなり、ドラマ『氷紋』最終回の出演を思い出す [懐かし映画・ドラマ]

渡辺淳一氏が亡くなったというニュースが話題になっています。もともと医師でしたが、大学を去る原因になった心臓移植手術を小説にした『ダブル・ハート』(文藝春秋)で一躍注目を浴び、以来、倫理に埋没せずに男と女の関係について書き続けました。メディアでは『失楽園』が代表作のように取り沙汰されますが、個人的には『氷紋』を思い出します。

渡辺淳一さんの作品についてのイメージは、作品によって程度は様々ですが、いわゆる「女性の不貞」について寛容であることです。

男もいい思いしたいんだ、なら女だって好きにしたっていいじゃないか、という公平な人間観をそこに観ることができます。

渡辺淳一さんも男であるから、自分が大事にしている女の人がおかしなことをしたら、決して愉快ではないでしょう。一般的に見ても倫理的に許されないことです。

しかし、そのような感情や倫理に埋没せずに、「不貞な生き方」を書ききってしまうというのは、作家としてすごいことだなあと私は思います。

もし私だったら、たとえ創作でも、「不貞な女性」を書くことを途中で嫌になって筆を折ってしまうような気がします。

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思い出す渡辺淳一原作のドラマ・映画


渡辺淳一氏というと、小説そのものよりも、ドラマや映画化された作品を思い出します。やっぱり、実際の俳優が演じた方がリアリティがありますからね。

『ダブル・ハート』は、1975年に日本テレビ系で『冬の陽』という北大路欣也主演でドラマ化されました。これはヒロインとして出演予定だった大原麗子が病気のため、急遽金沢碧が抜擢されたものです。

交通事故にあった夫(石立鉄男)の担当医が昔の恋人(北大路欣也)という設定で、結局金沢碧演じる役は昔の恋人と結ばれることになっていて、なんとも夫が気の毒になる話でした。

金沢碧にとっては大変なチャンスだったかもしれませんが、新人に等しかった彼女には荷が重かったかもしれません。

以来、彼女には薄幸のイメージがつきまとい、彼女自身もその壁をぶち破って女優として大成するまでのパワーにかけていたのは残念です。

『別れぬ理由』(新潮社)は、津川雅彦と三田佳子の夫婦が、それぞれ深い関係にある異性がいるのに、離婚をしない話です。それも、不倫が見つかりそうになってハラハラ・ドキドキというシーンは一切なし。堂々とお互いが好きなことをやっています(笑)

私はさすがに、当時はそんな夫婦を理解できませんでした。

が、今や喜多嶋舞騒動で、夫ではない人との子供を作って涼しい顔して「家族」でいる家庭が公然としています。

その意味で渡辺淳一さんは、男と女の20年先を見ていたのかもしれません。

『氷紋』で刑事役に


個人的に最も印象に残るのは『氷紋』です。

1986年11月3日~12月31日まで、TBS系列「花王 愛の劇場」枠にて放送されました。いわゆる昼メロ枠です。

なぜ印象に残るかというと、ストーリーではなく、私が最終回に出演しているからです。

ホントの話です。

以前「エキストラ、いわゆる“仕出し”の醍醐味とは?」で書いたように、私は若い頃に体を壊し、先行きに絶望して学校もやめて就職もせずブラブラしていた時期があったのですが、その頃、折込チラシなどのモデル事務所をふり出しに、いくつか芸能家斡旋所(要するにエキストラのマネジメントをするところ)を移り、白鳥座という事務所の仕事で、このドラマの最終回、サイコーの山場で刑事の役で出ているのです。

どういう話かというと、大病院の令嬢(高橋恵子)と医師(田村亮)が愛し合っていたのですが、田村亮が良心的な医師で、高橋恵子がそこに不満を感じて、野心家の医師(村井国夫)と結婚してしまったのです。

それで、この野心家の医師が悪い奴で、愛人(円浄順子)を持つのはもちろん、妻が良心的医師と浮気することを心配して勝手に不妊手術をしてしまったり(原作のみ)、病院の看護師(城戸真亜子)に手を付けたりしていたのです。

で、最後に、村井国夫が何らかの容疑で、刑事が逮捕状もって病院に訪ねてくるのですが、城戸真亜子が「お待ちになりますか」と応対して、老刑事と若い刑事(私)が「そうしてください」と返事をして、そうとは知らずに村井国夫が診察をしているシーンが写ってドラマが終わります。

刑事だからということでドーラン塗って顔を黒くして、髪をオールバックにして撮影にのぞみました。

場所は緑山スタジオ。田園都市線青葉台駅から少し歩いた某所より送迎バスが出ていました。

私はコンタクトレンズをするとまばたきが多くなるのですが、ADに瞬きを我慢してくれと注意されて、私が「えっ」と戸惑いの表情をしながらもじっとまばたきを我慢していたら、城戸真亜子さんがクスっと笑ってましたね。

CSでぜひ追悼番組として放送してほしいものです。

渡辺淳一さんのご遺徳をお偲び申し上げます。

氷紋 (講談社文庫)

氷紋 (講談社文庫)

  • 作者: 渡辺 淳一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/11/15
  • メディア: 文庫


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