爪もみ、紅茶キノコ、酢大豆……。健康情報誌は、私たちにいろいろな健康法を紹介してきました。今週号の『週刊ポスト』(4月4日、11日号)では、「長寿大国・日本を築いた健康雑誌ヒット企画」というタイトルで、『わかさ』『健康』『壮快』などのおなじみ健康雑誌がヒットさせた健康法を振り返っています。雑誌が他誌を振り返る企画は珍しいのですが、総合誌と健康情報誌ということで競合誌ではないからできたのでしょう。
記事はPART-1とPART-2に分かれています。
PART-1では、『わかさ』『健康』『壮快』など健康情報雑誌の特徴や編集方針、そして、過去にヒットさせた健康法を振り返っています。具体的には、
紅茶キノコ
酢大豆
カスピ海ヨーグルト
浪越徳治郎の指圧
尿療法
コラーゲン
ヨーグルトきのこ
アロエ
など14の健康法のほか、肛門すぼめ、赤パンツ健康法など7つの「思わず笑っちゃう珍健康法」も紹介されています。
さらに、「PART-2」として、7つの「健康雑誌各誌が今最も注目しているのはコレ!ブーム必至の最新健康法」というタイトルで、いくつかの健康法が出ています。
熟成黒ニンニク
アルミホイル指輪
爪もみ
キクイモ 等々……。
私は健康雑誌を毎月熟読しているわけではありませんが、それらについては、「ブーム必至」と書かれているものの、おそらくは過去に出たものばかりではないかと思います。
要するに、こういう雑誌が取り上げる健康法というのは、似たようなものがローテーションで手を変え品を変えお色直しして出てくるのかもしれませんね。
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爪もみ、こと自律神経免疫療法とは?
少なくとも「爪もみ」というのは、10年前には注目されていました。
薬指をのぞく4本の指の爪の生え際を押すことで末梢神経を刺激し、副交感神経を優位にする。それによって、白血球の中のリンパ球の割合を増やして免疫力を高め、がんやパーキンソン病など「免疫の病」を治そうというものです。
私は「爪もみ」用の電子鍼を買いましたし、今も忘れた頃、使っています。
これで、もむかわりに末梢神経を刺激するのです。
これは、福田ー安保理論による自律神経免疫治療法なんていわれていますよね。
新潟の温泉病院の外科部長だった福田稔医師が臨床を、新潟大学大学院の安保徹教授が理論面を担当したという治療法です。
一応、他の民間療法とは違い、現役医師と医学者の合作理論なんですね。
人間は、交感神経と副交感神経という2つの役割の神経から成り立っている自律神経で、自らの体の状態を調節しています。
そのうち交感神経は、活動しているときや興奮しているとき、ストレスを感じるときなど、体内が激しい活動を行う時に活性化し、副交感神経は、休息や睡眠、怠惰な気持ちになるときに優位になるといわれています。
免疫力は、交感神経が活発なときは、ウイルスなど外敵とたたかう免疫が活発に働き、副交感神経が優位の時は、体内を守る免疫が活発になる。
そこで、福田ー安保理論は、副交感神経を優位にすることで、がんもアトピーも治そうといって、指先の末梢神経に針を刺す「自律神経免疫療法」を発表しました。
福田稔医師が、患者の背中や頭の抹消神経のツボに針をさして、「(私をインチキ呼ばわりするんだったら)大きな病院の先生方はがん患者を治せるのかっていうんですよ」と気色ばんでインタビューに答えていたのが、当時の『報道特集』(TBS)で放送されて一時話題になりました。
その後、とくに自律神経免疫療法がインチキだという話はなく、その治療法を導入している病院も関連学会も現在あります。
かといって、有名な(学術的評価の高い)雑誌にその効果を考察する論文が出たこともありません。
要するに、通常治療(いわゆるがんの三大療法)と交代できるほどの、効果実績も根拠も現在のところ存在しないということです。
で、効くの?
10年前、私は、母の重篤な病気で、福田稔医師も治療を担当していた東京・文京区の医院に相談したところ、そこの院長から、まずは通常治療を行ってからいらっしゃいと言われたことがあります。
施術者も医師ですから、エビデンスとして通常治療にかなうものではない、という認識はあるのでしょうね。
で、母は通常治療で治ったので、結局自律神経免疫治療法は受けずじまいでした。
健康雑誌には、緩やかですが、爪もみによってリンパ球が増えるという「疫学調査」のグラフが紹介されたことはあります。長く続けることで結果を出せるということでしょうか。
まあ、これでがんを治すというよりも、健康な人ががんにならないように生体防御反応が高まる……といいな、という感じではないかと思います。
侵襲性はなくお金もかからない健康法ですし、何よりこうした健康法を実践するのは、それだけ自分の健康増進に対して関心を持っているということになりますから、決して悪いことではないでしょう。
健康情報特集。関心のある方は同誌をご覧ください。
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