『ヒートショックプロテイン 加温健康法』で美容・治療はどう変わる [ヒートショックプロテイン]
『ヒートショックプロテイン 加温健康法』(法研)という書籍を読みました。ヒートショックプロテイン(HSP)の研究者、伊藤要子修文大教授が、昨年11月に上梓した4冊目の啓蒙と報告の書籍です。このブログでも何度か記事にしましたが、また今回もご紹介したいと思います。
ヒートショックプロテイン(HSP)とは、生物がもっている細胞修復のタンパク質。人間の場合、体温が38.5℃になると、その産生能力が1.5~2倍になるというものです。ケガや病気の対策、日常的な健康法として普及させたいと研究を続けているのが、伊藤要子修文大教授。
伊藤要子先生の持論は、少し熱めのお風呂に入って(42℃に10分)体温を温めてヒートショックプロテインを増やしましょうという名づけて「マイルド加温療法」。これまで著したヒートショックプロテイン関連の書籍は、
『HSPが病気を必ず治す』(ビジネス社、2005年)
『からだを温めるとなぜ病気が治るか-HSPが元気をつくる』石原結實氏との共著(ビジネス社、2006年)
『加温生活「ヒートショックプロテイン」があなたを健康にする』(マガジンハウス、2002年)
などがあります。
『HSPが病気を必ず治す』には、ヒートショックプロテインの概論、主に動物実験やヒトの臨床試験、さらにヒートショックプロテインのどの分子が熱ショックで作用するのかといった、化学的な話が多く書かれています。
『からだを温めるとなぜ病気が治るか-HSPが元気をつくる』には、臨床医として3年先まで診察予約が埋まっているという石原結實氏の持論、「体を温めて免疫力を高める」とヒートショックプロテインの話を組み合わせて、体温を高くすることの大切さを述べています。
『加温生活「ヒートショックプロテイン」があなたを健康にする』は、基本的な原理とともにどのような健康効果が期待できるかという話をわかりやすく展開しています。
そして今回。さらにわかりやすく、ショートストーリーのマンガやイラストも使いながら「マイルド加温」を行う風呂の入り方を説明したり、スポーツによるHSPの増加を紹介したり、HSPと美容、食材管理の関係を説いたり、さらにがん治療への導入を医師や患者の寄稿も入れて紹介したりした構成になっています。
いずれも読み応えがあり役に立つものなので、この書籍はもちろんのこと、関心のある方は4冊すべて揃えてもいいと思います。
今回は、現代人の低体温から話が始まっています。運動不足、睡眠不足、エアコンによる冷え性、朝食を食べない、食事を減らすダイエットなどで、総じて体温は下がっているが、人間の体内の酵素や免疫にとって理想の体温は37℃。ダイエットも、食べないで体重を減らすのではなく、お風呂に入って熱量を消費する方法で痩せましょうと説いています。
私はダイエットの必要がない体格なので他人ごとですが、確かに「食べないダイエット」というのは消極的な響きがあり、あまり共鳴できませんでした。
人間が食べるのは、活動するために必要な栄養を摂取するためなのですから、食べるのを減らすのではなく、運動でエネルギーを消費する方が前向きで理にかなっているのではないかと思うわけです。
会社だって、冗費節減だのリストラだのばかりやっていたら、会社そのものの機動力がなくなってしまうでしょう。「使わない」より「稼ぐ」方向に進まなければ明日は見えてこないですよね。
それはともかく、同書では、ヒートショックプロテインの産生を1.5~2倍にする「マイルド加温」の入浴法をイラストで説明しています。
たとえば、風呂は42℃で10分、40℃で20分。入る前は風呂の蓋を開けて浴室全体を温めておき、入るときはフタをしめて首までとっぷり浸かる。上がった後に体を拭くタオルはすぐ手の届くところにおく。フタの上には、飲み物、防水時計、音楽を聞くプレーヤー(もちろん防水)などをおく。
私はもう40℃ではヌルイので42℃で入ります。

入っている最中は、じっと頑張ってないで、歯を磨いたり、マッサージしたり、顔を洗ったりしていればいいそうです。
入浴以外にHSPを上げる方法として、「スポーツによるHSPの増加」が紹介されています。
42度のお湯で3分洗顔するか、42度のお湯で温めたタオルで約2分保温するといいそうです。
また、レタスなど野菜を50℃で90秒洗うと酸化による褐変が防御されるというニュースが以前ありましたが、あれもヒートショックプロテイン効果だそうです。
ヒートショックプロテインの記事では何度か書いていますが、ハイパーサーミアという局所温熱療法が、保険適用のがん治療として医療には存在します。ただ、コストパフォーマンスがよくないのでイマイチ普及せず施術者も育っていないようですが。
それは、43℃の熱でがん細胞を殺すものですが、ヒートショックプロテインは体温を38.5℃に上げるだけなので、それだけでがん細胞はやっつけるわけではなく、正常細胞の生体防御反応を高めるものです。
では、ヒートショックプロテインはがん治療とは無関係かというと、そうではないというのです。
膀胱がん細胞へのシスプラチン、アドリアマイシン、白血病細胞へのアドリアマイシン、ビンクリスチンという抗がん剤についての実験を同書では紹介しています。
41℃の加温ではがん細胞は死にません。抗癌剤も10分の1の量では効き目がありません。ところが、そのふたつをあわせて41℃の加温で10分の1の量の抗がん剤を使うとがん細胞が死滅する、というシャーレ実験の結果があるというのです。
もちろん、ヒトの体内はシャーレよりも複雑です。が、副作用がほとんど出ない量での抗がん剤治療を探究できる道筋にはなったでしょう。
本が出るたびに、ヒートショックプロテインの可能性が広がっているようで、読んでいて楽しくなります。もちろん、知識だけでなく実践(入浴)はこれからも続けたいと思います。
【ヒートショックプロテイン(HSP)関連記事】
>>ヒートショックプロテイン(HSP)の42度入浴で病気予防できる?
>>ヒートショックプロテイン(HSP)入浴法の真相
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>>温泉や銭湯でより活性化する!?ヒートショックプロテイン
>>ヒートショックプロテイン(HSP)、マイルド加温療法年末年始を過ごしましょう
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ヒートショックプロテイン(HSP)とは、生物がもっている細胞修復のタンパク質。人間の場合、体温が38.5℃になると、その産生能力が1.5~2倍になるというものです。ケガや病気の対策、日常的な健康法として普及させたいと研究を続けているのが、伊藤要子修文大教授。
伊藤要子先生の持論は、少し熱めのお風呂に入って(42℃に10分)体温を温めてヒートショックプロテインを増やしましょうという名づけて「マイルド加温療法」。これまで著したヒートショックプロテイン関連の書籍は、
『HSPが病気を必ず治す』(ビジネス社、2005年)
『からだを温めるとなぜ病気が治るか-HSPが元気をつくる』石原結實氏との共著(ビジネス社、2006年)
『加温生活「ヒートショックプロテイン」があなたを健康にする』(マガジンハウス、2002年)
などがあります。
『HSPが病気を必ず治す』には、ヒートショックプロテインの概論、主に動物実験やヒトの臨床試験、さらにヒートショックプロテインのどの分子が熱ショックで作用するのかといった、化学的な話が多く書かれています。
『からだを温めるとなぜ病気が治るか-HSPが元気をつくる』には、臨床医として3年先まで診察予約が埋まっているという石原結實氏の持論、「体を温めて免疫力を高める」とヒートショックプロテインの話を組み合わせて、体温を高くすることの大切さを述べています。
『加温生活「ヒートショックプロテイン」があなたを健康にする』は、基本的な原理とともにどのような健康効果が期待できるかという話をわかりやすく展開しています。
そして今回。さらにわかりやすく、ショートストーリーのマンガやイラストも使いながら「マイルド加温」を行う風呂の入り方を説明したり、スポーツによるHSPの増加を紹介したり、HSPと美容、食材管理の関係を説いたり、さらにがん治療への導入を医師や患者の寄稿も入れて紹介したりした構成になっています。
いずれも読み応えがあり役に立つものなので、この書籍はもちろんのこと、関心のある方は4冊すべて揃えてもいいと思います。
マイルド加温による入浴法
今回は、現代人の低体温から話が始まっています。運動不足、睡眠不足、エアコンによる冷え性、朝食を食べない、食事を減らすダイエットなどで、総じて体温は下がっているが、人間の体内の酵素や免疫にとって理想の体温は37℃。ダイエットも、食べないで体重を減らすのではなく、お風呂に入って熱量を消費する方法で痩せましょうと説いています。
私はダイエットの必要がない体格なので他人ごとですが、確かに「食べないダイエット」というのは消極的な響きがあり、あまり共鳴できませんでした。
人間が食べるのは、活動するために必要な栄養を摂取するためなのですから、食べるのを減らすのではなく、運動でエネルギーを消費する方が前向きで理にかなっているのではないかと思うわけです。
会社だって、冗費節減だのリストラだのばかりやっていたら、会社そのものの機動力がなくなってしまうでしょう。「使わない」より「稼ぐ」方向に進まなければ明日は見えてこないですよね。
それはともかく、同書では、ヒートショックプロテインの産生を1.5~2倍にする「マイルド加温」の入浴法をイラストで説明しています。
たとえば、風呂は42℃で10分、40℃で20分。入る前は風呂の蓋を開けて浴室全体を温めておき、入るときはフタをしめて首までとっぷり浸かる。上がった後に体を拭くタオルはすぐ手の届くところにおく。フタの上には、飲み物、防水時計、音楽を聞くプレーヤー(もちろん防水)などをおく。
私はもう40℃ではヌルイので42℃で入ります。

入っている最中は、じっと頑張ってないで、歯を磨いたり、マッサージしたり、顔を洗ったりしていればいいそうです。
ヒートショックプロテインのあれこれ
入浴以外にHSPを上げる方法として、「スポーツによるHSPの増加」が紹介されています。
NHKの“ためしてガツテン”に出演した際の実験では、番組おすすめのスロージョギング(心拍数に変化がないくらいのゆっくりとしたジョギング)と、60%の負荷を加えたジョギング(心拍数が毎分40~70回程度増えるジョギング)を毎日30分間、2週間続けて実施した場合のHSPを比較した。美容との関連では、「42度洗顔」を紹介。
その結果、スロージョギングではHSPは全く増加しなかったが、60%負荷ジョギングでは明らかにHSPが増加した。
スロージョギングは脂肪の燃焼には効果的だが、心臓に負担をかけないジョギングのため、ストレス負荷がなくHSPは増加しなかった。
よって、ストレス負荷のない運動ではHSPは増加せず、ストレス負荷が加わる運動、ちょっとつらいなと感じるような運動を行うとHSPが増加するのである。
42度のお湯で3分洗顔するか、42度のお湯で温めたタオルで約2分保温するといいそうです。
また、レタスなど野菜を50℃で90秒洗うと酸化による褐変が防御されるというニュースが以前ありましたが、あれもヒートショックプロテイン効果だそうです。
HSPが野菜の寿命を伸ばす実験では、2000年にトマトを42℃で24時間加温すると熟ストレスでHSPが増加し、トマトの完熟が5~7日遅れ長持ちする(長寿)という報告もある。野菜だけでなく、刺し身や果物などにも使われていますね。
がん治療への利用
ヒートショックプロテインの記事では何度か書いていますが、ハイパーサーミアという局所温熱療法が、保険適用のがん治療として医療には存在します。ただ、コストパフォーマンスがよくないのでイマイチ普及せず施術者も育っていないようですが。
それは、43℃の熱でがん細胞を殺すものですが、ヒートショックプロテインは体温を38.5℃に上げるだけなので、それだけでがん細胞はやっつけるわけではなく、正常細胞の生体防御反応を高めるものです。
では、ヒートショックプロテインはがん治療とは無関係かというと、そうではないというのです。
膀胱がん細胞へのシスプラチン、アドリアマイシン、白血病細胞へのアドリアマイシン、ビンクリスチンという抗がん剤についての実験を同書では紹介しています。
41℃の加温ではがん細胞は死にません。抗癌剤も10分の1の量では効き目がありません。ところが、そのふたつをあわせて41℃の加温で10分の1の量の抗がん剤を使うとがん細胞が死滅する、というシャーレ実験の結果があるというのです。
もちろん、ヒトの体内はシャーレよりも複雑です。が、副作用がほとんど出ない量での抗がん剤治療を探究できる道筋にはなったでしょう。
本が出るたびに、ヒートショックプロテインの可能性が広がっているようで、読んでいて楽しくなります。もちろん、知識だけでなく実践(入浴)はこれからも続けたいと思います。
【ヒートショックプロテイン(HSP)関連記事】
>>ヒートショックプロテイン(HSP)の42度入浴で病気予防できる?
>>ヒートショックプロテイン(HSP)入浴法の真相
>>ヒートショックプロテイン、マイルド加温療法実践してますか?
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>>ヒートショックプロテイン(HSP)、マイルド加温療法年末年始を過ごしましょう
>>ヒートショックプロテインでインフルエンザの季節を乗りきれるか!?
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