『カックン超特急』(富士映画/新東宝)『脱線三銃士』(日本テレビ映画/新東宝)という作品を観ました。タイトルで主演が分かる人は50代後半、いや60代じゃないでしょうか。1961年まで脱線トリオというユニットでこの当時売れっ子だったと言われる由利徹、南利明、八波むと志(『脱線三銃士』のみ)が出演しています。
この作品とであえたのは、いつもSo-netブログで名作の理解を助けて頂いている
青山実花さんのご紹介です。ありがとうございます。
私は脱線トリオの全盛時を知らないので、ぜひ見たいと思っていました。
『カックン超特急』が65分、『脱線三銃士』が44分。喜劇俳優の作品は60分ぐらいがベストと思うので、時間的にもいいんじゃないかと思います。
2つの作品をセットにしたDVDが発売されています……が、楽天は売り切れですね。
配給は新東宝。いろいろ紆余曲折のある会社です。東宝から一部の俳優がわかれて設立された、今の国際放映の前身です。国際放映というと、私の世代では宮脇健の『○○ケンちゃん』シリーズが有名です。
『カックン超特急』
トラック運転手と助手の、平助(由利徹)と信吉(南利明)は、映画の撮影所まで荷を届ける東京行き特急便の乗務を命じられます。ところが、信吉の恋人・邦枝(池内淳子)を実家に送ったり、思いつめた顔で崖下をのぞいている女性(山村邦子)に頼まれてハンドバッグを取ってあげたり、ヒッチ・ハイク娘たち(大空真弓など)を乗せた上に食事を食い逃げされたりして大幅に遅れてしまいます。
一方、撮影は、配役でへそを曲げた由利徹(二役)が、書生(人見明)を相手にさんざん駄々をこねた挙句結局サボタージュ。撮影所で平助は、助監督(平凡太郎、谷村昌彦ら)に由利徹に間違えられ、監督(藤村有弘)を毒づきながらもぶっつけ本番で役をこなします。
帰り道では、銀行強盗にいったんはトラックを奪われてしまいますが、折よく通り合せた車で追いかけ、なんとか取り返して新聞にも「お手柄」が報じられます。いろいろあったが終わりよければ全てよし、というストーリーです。
主な配役も書きましたが、50代以上の人ならおなじみの俳優ばかりで、それだけで「おもしろいかも」と思わせてしまいます。
ストーリーはたんたんと、ずっこけの連続ですが大きな波乱もなく続きます。由利徹と南利明、由利徹と人見明という2人の掛け合いも長い(笑)。
由利徹の個性だけで脚本の半分ぐらい作っているような感じです。
2月3日の
『花山大吉』 でも書いたように、こういうストーリーは60分ぐらいですと意外と飽きが来ないものなのです。制作費もそんなにかからないでしょう。
『脱線三銃士』
タクシー運転手(八波むと志)、サンドウィッチマン(南利明)、ペンキ職人(由利徹)は、みな食堂の娘・咲(観崎きよ子)に入れあげています
3人はそれぞれの事情で仕事をクビになり、いったんは食堂の店員として雇ってもらいますが、咲が「自衛隊の隊長さんが好き」という話を聞いて、抜け駆けしたつもりで結局3人とも自衛隊に入隊。
大飯を食らって諌められたり、訓練で失敗したりの日々を過ごしていますが、あることがきっかけで闇ドル団を逮捕。金一封を中隊長(丹波哲郎)から授与されると、そこにやってきたのは咲。実は中隊長と咲は婚約してたとさ、というストーリーです。
『カックン超特急』は由利徹が主役とハッキリわかりますが、こちらは脱線トリオの3人、とくに八波むと志を強調したいのかな、という感じがします。
やはりこちらも、大きな波乱がなく安心してみていられます。
3人はズッコケてばかりですが、中隊長はそんなに厳しくないですね(笑)
咲が「自衛隊は戦争をしないから素敵」というような台詞がありますが、自衛隊のイメージアップをねらったのかもしれません。
それにしても、由利徹はこの当時も、70年代も、80年代もあまりかわらないように見えます。渥美清も晩年患ってからは衰えが目立ちましたが、それまではずっとあの顔でした。
喜劇俳優は、案外、今の美魔女よりもアンチ・エイジングに気を使っているのかもしれませんね。
そういえば、南利明の懐かしいCM『オリエンタル スナックカレー』の動画がまだyoutubeに残ってるんですね。
たった3分温めるだけ、といわずに「ぬくとめるだけ」と言っています。私は子供の頃、これはいい間違えたのかなと思いましたが、ネイティブな方言だそうですね。
2つの作品で楽しい時間を過ごせました。
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