『あさひが丘の大統領』日テレプラスHD放送中、最後の古き良き学園ドラマ [芸能]
『あさひが丘の大統領』というテレビドラマが、毎週日曜日午前5時から日テレプラスHDで放送中です。出身校でもある朝日丘学園に、英語教師として赴任してきた通称「ハンソク」こと大西元(宮内淳)。生徒と同じレベルのトラブルを引き起こしていたが、真面目な女性教師通称「タックル」こと今井涼子(片平なぎさ)よりも生徒の心をつかんでいた、という日本テレビ伝統の青春学園ドラマです。
3日前、『われら青春!』を、映画会社が制作する青春学園ドラマのシリーズ最終作と書きましたが、その後、青春学園ドラマは、日本テレビが出資する制作会社であるユニオン映画が引き継ぎ、3作品制作しています。
その3作品目、つまり青春学園ドラマの本当の最終作が、この『あさひが丘の大統領』(1979年10月17日~1980年9月17日)です。
ちょっとマニアックなレベルまで踏み込むと、この作品は評価が難しいです。
青春学園ドラマシリーズを有終の美で……、と評しているサイトもありますし、『太陽にほえろ!』の田口刑事(ボン)以来の宮内淳ファンは絶賛しています。
が、一方で、駄作の評価をする人も少なくありません。
生徒と同じレベルでトラブルを起こすハンソクが、後半教師らしくなったのがつまらないとか、後半は出演者も少なく、低予算で消化試合のような作り方だったという手厳しい批評も聞いたことがありますが、どちらも否定はできない見方だと思います。
この作品はテレビ史的にも、脚本の鎌田敏夫氏にとっても難しい時期だったのだろうと思います。
80年代は、ダレ場を作ってストーリーの緩急をつける長丁場の連続ドラマから、単発2時間ドラマが主流になりました。
また、教育現場が徐々に締め付けが厳しくなり、個性ある先生が姿を消していった現実もあります。
そして何より、鎌田敏夫氏が、この作品の1年前に青春学園ドラマを卒業して、恋愛小説にシフトしていました。
それが『金曜日の妻たちへ』(1984年)や、『男女七人夏秋物語』(1986年、1987年)へとつながっているのですが、この『あさひが丘の大統領』は、そうした新しい時代を直前に控えた時期の作品です。
よくいえば新しいものを創る過渡期、厳しく述べるなら、昭和の古き良き青春学園ドラマが潮時だったことを伺わせる作品です。
そうした時代背景を予め頭に入れた上で作品を鑑賞されると、たんなる「駄作」とはまた違った味わいがあると思います。
カニエくんなりすまし事件も
このブログの2012年10月10日の記事「青春ドラマ夢伝説―あるプロデューサーのテレビ青春日誌、ヒーローは体制内野党!」でも書きましたが、 このドラマがらみでエピソードがあります。
この作品には、大村波彦演じる蟹江吾郎という生徒が出てくるのですが、ある日、ドラマを見終わってパソコンをつけると、差出人が「大村波彦」でメールが。
まだドラマの余韻に浸っていた私は、あまりのタイミングの良さに、自分も蟹江吾郎の同級生になりきって「どうしたの、カニエ」とひとりごとを呟きながら、メールを開けようとしました(笑)
が、ふと我に返って、「何で“カニエくん”がいまさら一視聴者にメールよこすんだ」と気付き、確認すると、大村波彦さんが「アカウントを乗っ取られました」というのです。
あぶなかった。あやうく大村波彦さんをかたったフィッシングにひっかかるかもしれないところでした。
もし、ドラマの放送日に合わせて、視聴者を対象にそういうメールをばらまいていたとしたら、こりゃ、犯人は濃い個人情報を持っているかなり高度な手口だなあ、と変な感心をしてしまいました。
ま、偶然だと思うんですけどね。
一応、大村波彦さんにお知らせすると、「ご迷惑おかけしました」と謝罪メッセージをいただきました。
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