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大橋巨泉、中咽頭がん告白で興味深かったこと [健康]

大橋巨泉が扁桃腺(中咽頭)のがんである。今週号の『週刊現代』(12月7日号)を読んでいたら、本人の連載コラム「今週の遺言」にそう書かれていたのでびっくりしました。ワイドショーではとりあげられたでしょうか。ネットを見ると、いくつかのサイトで書かれていますね。私はいつも後手後手に回るのですが、今日はこの大橋巨泉のコラムについて書いてみたいと思います。



ネットのニュース(zakzak2013.11.26)から引用します。
タレント、大橋巨泉(79)が、25日に発売された「週刊現代」の連載コラム「今週の遺言」で、中いん頭がんを患っていると告白した。
 今月2日、右耳に妙な膨らみを感じ、がんセンターで検査すると、扁桃腺にできた腫瘍がリンパ節に転移していると診断された。腫瘍の大きさは4段階で3、ステージは4Aで治療可能という。
大橋巨泉は2005年に早期の胃がん(開腹手術)を経験しており、闘病記(『がんー大橋巨泉の場合』講談社)を上梓しています。

その本は以前持っていたものの、現在は手元にないので正確な引用ができないのですが、人生は100%いいことばかりではないので、悪いことも経験してバランスをとるんだというようなことが書かれていました。

今回のコラムでは、ステージ4であることにショックを受けながらも前向きに治療方法を求めたこと。

今年は85歳の姉と76歳の妹を亡くしているので、「天中殺」と言いたい、といったことが書かれています。

「天中殺」というのは算命占星学の「天が味方しない時期」とされていますが、現在算命占星学が流行しているわけでもなく、占いの信奉者でもない大橋巨泉がそう書いたのは理由があります。

「天中殺」は1980年頃、流行語でしたが、はやらせたのは、大橋巨泉が司会をつとめていた『11PM』という深夜番組でした。

ジャズ評論家や競馬の予想屋から易者に転向した和泉宗章という人が、天中殺に監督を引き受けた長嶋茂雄は監督業を79年のシーズン限りで辞めると占ったことで世の中が騒然としたのです。

易者はそれまで、どちらともとれるような曖昧な答えにとどめることが多かったため、影響力のあるメディアで、人気者のプロ野球監督を、時期まで定めて「辞める」と断言したのはセンセーショナルだったのです。

結局、その年に長嶋茂雄監督はやめなかったので、和泉宗章氏は事前に公言したとおり算命占星学の易者をやめましたが、80年限りで長嶋茂雄監督は「辞任」。時期が外れたけど、あたったのではないかとまたブーム再燃したのです。

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たばこと病気の関係


それはともかく、大橋巨泉のコラムには、私たちに考えさせてくれる話も書いています。

大橋巨泉の病気は、タバコが原因の場合とウイルス性とがある。

ところが、大橋巨泉は37年前の42歳でタバコをやめているそうです。

それでもタバコが原因ということはあるのか、という問いに、医師はあるとの答え。

ショートホープを1日20本吸っていた生活は、たとえ37年前に縁を切っても加齢とともにそのツケが回ってくる。禁煙反対を標榜する医師たちは「心して」おけと警告しています。

禁煙化が進むことへの反動か、たばことがんの関係については、一部の科学者や医師が、その因果関係を否定しています。

たばこには、何種類もの発がん物質が含まれているのは事実なのに……。

彼らの主張は総じて、関係を否定することまではしないが因果関係は証明できない、というもの。

しかし、その論理は、肉骨粉とBSE、アスベストと中皮腫の関係にも当てはまってしまいます。

原因として考えられるものと結果があるときに、その関係を推理することをやめてしまうこと。

たしかに、疫学調査は交絡因子も見なければなりませんし、統計というのは都合の良い考察を導き出すトリックのようなところもあります。その関係を考察することに慎重であるべきなのは当然です。

もとより科学(医学)は相対的真理の長い体系にあるものですから、異論を頭から否定したり排除したりするものでもありません。

だからとって、発がん物質を体に入れるということと、実際の発がんを全く切り離してしまうのは不可知論ではないでしょうか。

大橋巨泉は結局、治療が奏功しやすいウイルス性だったそうですが、「たばこはがんと関係ない」論。きちんと議論する必要のあるテーマだなと思いました。

がんとたたかうな、は正しいのか


大橋巨泉はコラムで、一部の医師が言う「がんとたたかうな」という主張に異を唱えています。

がんとたたかうかどうかは患者本人の価値観の問題だろう、と大橋巨泉はいうのです。

私も全くそのとおりだと思います。

大橋巨泉は79歳。たたかわなくても十分生きたからいいじゃないか、という声があることをあらかじめ見越してそう述べているのかもしれません。

79歳だからがん治療なんかするな、なんて思う人は、自分の親がその年齢で同じ病気になっても親にそう言えるのか考えてみたらいいです。

以前もこのブログで書きましたが、今回のような話題になると、必ず、病院の治療は受けるべきではない、健康診断は受けない方がいい、というコメントがドサドサッと入ってきます。

メディアでそう言ってる医師がいるから、鵜呑みにしてるんでしょうね。

自分の人生は自分の価値観で決める。

命と健康はその基本です。

他人の話を鵜呑みにした価値観などにロクなものはありません。

たしかに、病気の中には、早期発見しても治せない場合もあります。

だからとって、治療といわれるものはおしなべて無駄、健康診断でやってることのすべてに意味がない、わけではないでしょう。

人によって立場も事情も考え方も体力も経済力も病変部も病気の進行具合も様々ですから、どうするかは結局自分で考えるしかないのです。正解は自分自身が出すものです。



「みのもんたは本当に不謹慎?島倉千代子さん葬儀「復帰」発言」で書いたように、私は作文が面白いと言われて就職試験を通ったことがあるのですが、作文の内容は、大橋巨泉がテレビで話していたことを聞き書きしたものでした。

ビートたけしが、自分のテレビ番組で、巨泉さんの話は誰かの受け売りだとコバカにしていましたが、自分だって受け売りなのに、よく言うよ、と思います。

少なくとも、今回の大橋巨泉の話は、がんという重篤な病気と向き合って述べているものです。

喫煙者ならたばこと病気のリスクとの兼ね合いにどう折り合いをつけているのか、がんになったらたたかうべきか。

今病気でなくても、考えておいた方がいいテーマかもしれません。

週刊現代 2013年 12/7号 [雑誌]

週刊現代 2013年 12/7号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/11/25
  • メディア: 雑誌



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