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田中邦衛の引退報道、『北の国から』だけではない実績を思い出す

田中邦衛の引退報道が話題になっています。一昨日発売の『週刊女性』(12月3日号)に、「田中邦衛(80)ほうき片手の隠居生活『俳優引退』を直撃撮!」というタイトルの記事が掲載されました。文字通り、田中邦衛がホウキとチリトリを持ち、にこやかに挨拶しているところと、夫人に促されて歩いているところが撮られています。

週刊女性・田中邦衛.png

記事は、田中邦衛が「セリフが入らないから引退」と仕事を断っているというので、同誌が確認のため田中邦衛宅を訪ねたところ、自動車も処分され、田中邦衛もすっかり痩せていたが、夫人は引退を否定した、という内容です。
そこで記者が“引退発言”の真偽について聞こうと邦衛に話しかけようとすると、すかさず妻が、
「すみませんが、困ります」
 と、遮られてしまった。それでも、記者のほうを向いて、「どうも……あの……」と、何か話し始めようとする邦衛だったが、彼の右手を握り、自宅へと誘導する妻が代わって、
「引退はしません。元気でおります。また、別の機会にお話ししますので……」
 と、答えるばかりだった。
 再度、“ファンも心配していますが?”と、問いかけてみると、邦衛はゆっくりとこちらを振り向き、何かを伝えようと口元が動くも、下りてくる駐車場のシャツターに小さな声は閉ざされてしまった。
本人にコメントする気があるのに、夫人が必死に遮る……。

はっきり書けば、脳卒中のような病気をしたか、もしくは谷啓さんが亡くなる前と同じ状態なのかもしれません。

最後の出演作品が3年前だそうですが、昨年地井武男さんの葬儀に出席した時、青島幸男さんの葬儀に出席した植木等さんほどではありませんが、衰えがあるなと感じました。

同誌は、「長い台詞はなくとも、もう1度、寡黙な男の名演技を見たいものだ」と結んでいます。

演じることはセリフを覚えるだけでなく、いろいろなことを感じたり考えたりしなければならないので、ちょっとむずかしいかもしれませんが、これまでたくさんはたらいたのですから、引退後は少しでも長く静かな余生を送ってほしいと思います。

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北の国からだけではない実績


俳優田中邦衛というと、すぐ『北の国から』となるんですね。

たぶん若くて、ドラマや映画をあまりみない人だと思うのですが、「北の国からだけの一発屋」なんて、俳優座ビルの半分を作ったとまで言われている大俳優に対して失笑を禁じ得ない書き込みもあります。

>>田中邦衛引退報道

もちろん、それだけでなく、「青大将時代が好き あの『北の国』からの暗いオヤジが最悪だった」という書き込みもありますから、わかっちゃいない人ばかりではないと思うのですが、とにかく『北の国から』だけが田中邦衛を語る作品ではありません。

『北の国から』はいいドラマだとは思いますけどね。

歳を取ると、ひょうひょうとした芸達者とか、円熟味をました演技とか、好々爺や重厚さなどを求められる役になるのですが、『渡る世間は鬼ばかり』の藤岡琢也が実はちょい悪オヤジだったように、田中邦衛ももともと『北の国から』の温厚な役におさまる人だったわけではありません。

『北の国から』以前の田中邦衛の印象深い作品を独断で選んでみます。

『長崎犯科帳』(1975年、ユニオン映画・日本テレビ)




上記掲示板でも名前の上がった、萬屋錦之介主演の娯楽時代劇。

私はここで演じた小暮良順という蘭方医のおっちょこちょい、単細胞、殺気、庶民目線なキャラクターこそが、田中邦衛の演技の幅を十二分に表現していると思います。その意味でこれは代表作のひとつではないかと思います。

『若者たち』(1965年、フジテレビ、俳優座・新星映画社)




両親を亡くした5人兄弟、田中邦衛(長男)、橋本功(次男)、佐藤オリエ(長女)、山本圭(三男)、松山省ニ(四男)による青春ドラマ。

私は俳優座が作った映画版しか観ていませんが、ガテン系の田中邦衛と橋本功がいつも喧嘩していて、インテリ組の山本圭と松山省ニが弱ってるという賑やかな兄弟でした。

『仁義なき戦い』(1973年、東映)




広島二大暴力団による抗争を描いた実録群衆活劇。ステレオタイプの任侠ではなく、人間としての弱さ、理屈を超えて発する感情、はかなさなどを正直に活写したこの作品が、映画史的に評価されるのは当然だと私は思います。

某俳優が「広島ロケが怖い」といって降板した逸話もありますが、実録映画のために、何をどこまで演じるべきかというギリギリの判断が、都度都度演者にもスタッフにも求められたのではないでしょうか。

その意味でこの作品は、出演者全員、単なる熱演という言葉では労えない価値ある仕事だったと思います。

田中邦衛は、その一方の組の幹部を演じました。

『男はつらいよ 奮闘篇』(1971年、松竹)




山形からはるばる出てきたヒロイン・榊原るみの先生役。『北の国から』に近いキャラクターに見られますが、こちらの方がより誠実で朴訥とした印象です。

作家の井上ひさし氏が山田洋次氏との対談で、この田中邦衛に泣けた、と言っていました。たしかに根っからの東北人をうまく演じています。

田中邦衛はトークショーを初めて行ったのが山形(天童)だそうですが、山形が合っているのでしょうか。

『エレキの若大将』(1965年、東宝)




私はあまり思い入れはないのですが、田中邦衛といったら、この若大将シリーズは一応入れておかなければならないでしょう。

田中邦衛と加山雄三とは10歳ぐらい離れていますから、“敵役”としてピンとこなかったのですが、自分を主張した上で主人公も引き立たせる役どころは、田中邦衛の原点といえるでしょう。

大田区縦断


田中邦衛さんというと、歩くのが趣味と聞いたことがあります。

移動は電車を使い、手前の駅で降りて歩いてくる、ということがよくあったそうですが、私も実際に見たことがあります。

もう20年以上前ですが、東急目蒲線(現多摩川線)の矢口渡駅から、東急池上線池上駅まで歩いていたことがあります。

散歩というより強歩という感じで、かなりはやめに歩いていました。

途中、商店街の人が気づいて声をかけると、手を降ったり会釈したりしていました。

私は何をしていたかというと、その間、ずっと後ろを歩いていました。

声かけてご一緒しても良かったのですが、せっかく一人で気持よく歩いているのだからと思い、ストーカーのようにずっと後ろをコソコソ歩きました。

でも、田中邦衛さんは別に気にもせず歩ききりましたね。

今回の引退報道を知り、あの時声をかけておくんだったなあと思いました。

週刊女性 2013年 12/3号 [雑誌]

週刊女性 2013年 12/3号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 主婦と生活社
  • 発売日: 2013/11/19
  • メディア: 雑誌


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