「マイカーを持つと、不条理な現実が待っている」と指摘しているのは『週刊大衆』(11月11日号)。同誌お得意の交通行政問題です。8種類の自動車関連の税金、高速道路料金改悪、アメリカの7倍以上の反則金などを挙げた記事のタイトルは、「ドライバーを襲うボッタクリ地獄 そのカラクリを全部暴く!」です。
同誌を見て改めて驚きました。自動車を持つだけで、8種類もの税金をとられるんですね。
しかも、その税金が二重徴収だったり、特例なる名目で上乗せされたりしているというのです。
自動車を所有する場合には、以下のような税金や費用が発生する場合があります。
自動車購入時に支払う消費税
自動車を購入する際には、購入価格に対して10%の消費税が課せられます。
自動車重量税
自動車の重量に応じて年に一度、自動車重量税が課せられます。自動車の重量によって税額が異なります。
自動車取得税
自動車を購入した場合、自動車購入税とも呼ばれる自動車取得税が課せられます。自動車の総額に対して3%の税率が適用されます。
自動車税
自動車を所有する場合、年に一度、自動車税が課せられます。自動車の排気量や自動車の形状によって税額が異なります。
自動車損害賠償責任保険料
自動車を所有する場合、自動車損害賠償責任保険に加入することが法律で義務付けられています。保険料は、自動車の所有者が負担する必要があります。
自動車重量税の精算金
自動車を手放す場合、自動車重量税の精算金が課せられる場合があります。車両登録の抹消や譲渡登録を行う際に、自動車重量税の精算金が発生します。
自動車取得税の還付金
自動車を手放す場合、自動車取得税の還付金が受け取れる場合があります。ただし、自動車の購入後3か月以内に手放した場合は、還付されません。
自動車維持費
自動車を所有する場合には、維持費として、ガソリン代、保険料、車検代、メンテナンス費などがかかります。
以上のように、自動車を所有することには、様々な税金や費用がかかります。
同誌がまず問題にするのは、消費税が5%から10%に引き上げられると廃止されることが示された自動車取得税です。
自動車取得税は、文字通り自動車を取得するときに発生する税金ですから、消費税との二重課税といわれても仕方ないものです。
それが、今年1月にやっと経産大臣が撤廃する方針を示しました。
では、それで購入者の負担は軽くなるのか。残念ながらそうはなりません。
新車価格の5%にあたる取得税ですから、消費税増税分と廃止双方5%なら差し引きゼロ……、のように思えますが、実際に課税されるのはシートカバーや備品などを除く車そのものに対する5%のため、新車購入全体の費用でみると4.5%に過ぎず、結局
購入者の負担は増える仕組みです。
また、取得税だけでなく、車にかかる税金の多くが、本来定めた税率に加え、道路整備のための特例なる上乗せがあることも同誌は指摘しています。
重量税については、同じ2000ccの排気量でも自家用車のほうが営業車より4倍の税金を取られます。しかし、交通の悪い地方では、通勤など自家用車が実質営業車のはたらきをすることもあります。
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なのに自家用車というだけで4倍も取るのは「取りやすいところから税金をぼったくろうとする政府の魂胆が見え見え」ではないかといいます。
それ以外にも、日本のガソリンが高いカラクリ、交通違反の反則金はアメリカと比べて桁違いなこと、高速道路は距離別料金に一本化したことによって実質値上げのところもあるなど、矛盾を次々指摘しています。
まあ、これだけいろいろ出てくると、「じゃあ、車なんか乗らない方がいい」という話になってしまうかもしれませんね。
実際に、節約評論家のような人が、マイカーをやめてタクシーにすると、いくらいくら浮く、だから車を止めよう、と皮算用を婦人雑誌や夕刊紙などで披露することがあります。
ただ、私はそういう考え方はどうなのかなあと思います。
なぜかというと、それはうわべの数字だけで判断しており、マイカーがあるかないか、の違いで生じる「生活の質の違い」を見ていないからです。
自動車を持っている人と、そうでない人では、最初から生活設計の前提や事情が違うのです。
記事にも出てきましたが、交通事情の悪いところは、自動車は贅沢品ではなく足がわりでもあります。
たとえば東京大田区の海側。羽田を少し外れると、電車の駅もなくバスも1時間に2本。工場地帯なので、のどかに自転車で最寄りの駅まで、というのも厳しいところです。
もし、自動車がないと、いつもタクシーというわけには行きませんから、「1時間に2本」に合わせる生活になります。
東京23区にもそういう場所はあるのです。
それが許せない事情なら、とっとと引っ越せばいい、と思いますか。
でも、世の中には、公共交通機関ではなく、自家用車でなければ移動できない事情の人もいます。
私はやはり、マイカーを持つことを贅沢と見るかどうかの議論よりも、自動車に関する「ぼったくり」を改めることを求めるほうが国民全体の利益にかなった話ではないかと思います。
むしろ、自動車を贅沢品と決めつけることこそが、そうした「ぼったくり」行政の口実にもなっているのではないかという気がするのですが、いかがでしょうか。
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