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美人女優、57人なら誰を選びますか [芸能]

美人女優といったら、みなさんは誰を思い浮かべますか。『アサヒ芸能』(10月24日号)では、同誌の創刊57周年に合わせて、「絶世の美人女優57人」というタイトルの特集をカラーベージに組んでいます。50~60年代、70年代、80年代、90~00年代に分けて「美人女優」を選んでいるのです。

何をもって「美人」というかは意見がわかれるでしょうが、こういう印刷物に発表するなら、いずれにしても見る者が憧れるヒロインとして実績を積み重ねた人のことでしょうね。

9月26日に、このブログの「ドラマ主題歌、“男たちをたぎらせた”作品一覧」で書いたように、こういう企画は、全世代に万能な人間はいませんから、時代ごとに複数のライターで手分けして書かないと、質の低いものしかできません。

しかし、今回もまた「構成・石田信也」とひとりしか名前がありません。

どうかなあ、と思ってページをめくりましたが、結論から言うと、残念ながら今回はそれ以前の出来でした。

扉ページに選ばれたのは夏目雅子、後藤久美子、吉永小百合。

アサ芸・美人女優.png

彼女たちが、半世紀を通じた美人女優トップ3?

まあ、たしかに「美人」は選ぶ人の価値観だと思いますが、どうなのかなあ。

吉永小百合はわかります。半世紀にわたって、映画、テレビでヒロインとして活躍した実績は、好き嫌いに関わらず認めるべきです。

後藤久美子。美少女として売出し、『男はつらいよ』の最後のほう、渥美清さんの体調に陰りが出て、ストーリーが甥の青春物語に様変わりしましたが、そのときのヒロインとしての仕事はよかったと思います。

でも、あと何に出ていたか、よく覚えていません。あ、『独眼竜正宗』か。それぐらいでしょう。

夏目雅子。松田優作もそうなんですが、早逝すると本人の実績以上に伝説化してしまうんですね。彼女は実働期間が10年ありません。

もっとほかにもいるんじゃない?という気持ちを持ちながら各年代を見ました。

50~60年代は、若尾文子、八千草薫、加賀まりこ、岸恵子、和泉雅子、岩下志麻、鰐淵晴子、内藤洋子、水野久美など。まあわからなくはありません。

しかし、岩下志麻は入っていますが、ライバルだった十朱幸代はなぜか入っていません。

60年代までは日本一の映画会社だった大映からは若尾文子だけで、京マチ子も山本富士子も入っていません。

東映から藤純子が入っていますが、彼女も実働は短いですよね。東映ならお姫様女優がいくらでもいるでしょう。三田佳子や佐久間良子は入れなくていいのでしょうか。ちなみに、東映では端役の中島ゆたかが入っています。

戦後、何十年も「その後」が騒がれている、少なくとも62年までは現役だった原節子もスルーです。

原節子は、『キネマ旬報』の「20世紀の映画スター・日本編」女優部門第1位に輝く戦後ナンバーワンの女優ということになっていますが、石田信也氏にとってはなんの意味もないらしい。

70年代になると、さらに首を傾げざるを得ません。

真理アンヌ、松尾ジーナ、原田美枝子、池上季実子、梶芽衣子、大原麗子、松坂慶子、関根恵子、水原ゆう紀……

真理アンヌ、松尾ジーナ、水原ゆう紀など、彼女たちには失礼ですが、「B級タレント特集」じゃないの、と思える人たちが含まれています。

しかも、真理アンヌと松尾ジーナは、紹介されている順番が1番目と2番目。

アサ芸70年代.png

つまり、真理アンヌが70年代のナンバーワンなのだそうです。

だいたい松尾ジーナなんて、当時から知名度があったわけではないでしょう。なにせ実働1年の「モデル」ですよ。ハイシーのCM、ドラマは『シルバー仮面』だけ。なぜ美人「女優」と呼べるのか理解に苦しみます。

酒井和歌子。一応小さく出ています。この扱いもなあ。彼女、劇団若草から15歳で東宝に入ったときは、後藤久美子のような美少女として売りだされたスターだったんですよ。

私は幼稚園の頃、憧れましたよ(笑)

東宝の酒井和歌子、松竹の島かおり、なんていわれていました。

でも、島かおりは選ばれていません。

東宝の浜美枝、日活の浅丘ルリ子といった、映画でもテレビでも息長く活躍した人たちも全く出てきません。

その人たちをスルーして、真理アンヌと松尾ジーナが大きな扱い……

いくら選者の主観といっても、ちょっと度を超しています(苦笑)ここまでくるともう「ふざけ」のレベルです。

なぜこんな人選になったのか。

内情を察するに、おそらくこれは、石田信也氏、もしくはアサヒ芸能編集部ゆかりの人を選んだのでしょう。

過去にインタビューやクラビアで取り上げたとか、記事で使った写真が残っていたとか。そういうことだと思います。

ヒロイン作品が何本もあるスターが選ばれず、セクシーB級タレントが“抜擢”されているのは、そう考えると腑に落ちます。

ありあわせで記事を作るために、手元に写真のない女優は選べなかったのではないでしょうか。

予算をあまりかけられないときや、アイデアが枯渇した時など、そういうやり方でページを埋めることはありますが、アサヒ芸能という雑誌のマイナーさが現れているようで、何とも哀しい。

もし、私が編集長かデスクなら、むしろ中途半端に本当のスターを入れず、B級セクシータレントだけを選んで、「B級でもキラリと光る美人女優、アサ芸はそんな女たちを見つめてきた」という構成にしたでしょうね。

これまでにもこのブログで取り上げたことがありますが、同誌にはなかなかためになる、考えさせられる価値のある記事もあります。

それだけに、このカラーページの記事ももうちょっと頑張って欲しいなあと思います。

アサヒ芸能 2013年 10/24号 [雑誌]

アサヒ芸能 2013年 10/24号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2013/10/15
  • メディア: 雑誌


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