佳那晃子が今年の1月、クモ膜下出血で倒れ、いったんは脳死の危機にあったことを夫の源高志さんが明らかにしました。スポーツ紙や週刊誌が、それを「脳死からの生還」と表現したことについて、医学的に問題があるとネットで批判続出。厚労省も見解を述べています。でも、もしあなたが配偶者の立場だったらそう表現しませんか。
何が問題なのか、要約しますと、佳那晃子がクモ膜下出血で、いったんは「脳死宣告」から手足が反応するまで「回復」した。
しかし、「回復」という言葉を使われると、「脳死」が信用してもらえなくなる。脳死したら生き返ることはない。なのに「脳死から回復」なんていわれたら、脳死による臓器移植に支障をきたしかねない。「回復」と「脳死」の言葉の使い方を気をつけろ、と厚労省は文句を言っているのです。
また、ネットでも、「脳死宣告」という言葉自体に問題がある。「脳死の理解に誤解を招きかねない記事」などという意見もあったといいます。
少し長くなりますが、Jキャストニュースから引用します。この引用、著作権侵害と騒ぎたい方はどうぞ。
翌11日に約10時間の手術を受けて加療を続け、3月に、回復の見込みがほとんどない植物状態だとされた。ところが、4月になって、手を握り返すなどの反応が見られるようになった。6月には、声をかけると目を開けたりするまでになり、県内のリハビリ病院に転院した。現在は、もっと反応がよくなって生命の危機から脱し、まだ話せないものの、1年後に歩いて帰れるようリハビリ生活を送っているという。
こうした病状について、スポーツ紙各紙はサイト記事などで、かなり断定的な見出しで報じた。
スポーツニッポンは、「佳那晃子『脳死』宣告されていた…くも膜下出血から手足動くまで回復」、中日スポーツは、「佳那晃子 脳死宣告受けていた 1月にくも膜下出血 奇跡的に回復」と見出しを打った。さらに、サンケイスポーツは、記事中で「植物状態」には触れず、「『脳死』の宣告を受けた」とだけ書き、見出しは「佳那晃子『脳死』宣告から奇跡的な回復」とうたった。
しかし、これらの報道に接した読者からは、ツイッターなどで臓器移植への不安が漏れるようになっている。「こういうことがあるから、脳死とか全然信用できない」「もうちょい考えなくっちゃかなあ。。」といった声だ。
厚労省の臓器移植対策室では、スポーツ紙各紙の報道について、「誤解される恐れがあり、それは困ります」と取材に答えた。
脳死について、臓器移植を前提として国の判定基準は厳密に決まっており、それに沿って診断したときは、「回復できない不可逆的な変化」という位置づけになっているというのだ。厚労省ではこれまでに、脳死と判定を受けてから回復したというケースは把握していないともしている。
http://www.j-cast.com/2013/09/18184158.html?p=all
ということで、私は今週号の『アサヒ芸能』の夫の手記を読みました。
本文にある問題の件はこうです。担当医はこう言ったとされています。
「出血が多すぎて、手の施しようがありません。残念ですが、このままだと脳死。よくてフラットな植物状態です。覚悟してください……」
「このままだと」と入っています。つまり、医師は現在「脳死」だとは言っていないわけです。
「脳死『
した状態』からの生還」ではなく、「脳死『
にこのままだとなってしまう状態』からの生還」ということでしょう。
これは別に医学的に何も問題ないんじゃないですか。
強いて言えば、見出しをつけた媒体の責任でしょう。
たしかに、同誌の表紙の見出しは「脳死からの生還」となっています。
「脳死危機からの生還」とすべきだったかもしれません。
でもむずかしいところですよね。
医学的には看過できないところかもしれませんが、文芸的には許してほしい。
とくに夫の身になって考えてください。
妻が脳死を覚悟せねばならない段階から一歩回復したというのは、不幸中のせめてもの幸いで、だけれどもすごく大きなことなんです。
だから、その「回復」のすごさや喜びを表現したくて、「脳死危機からの」と書くべきところを端折って「脳死からの」と表現したくなったとしても、私にはその気持はよくわかりますよ。
私の場合は、妻は本当に心肺停止しましたから、心停止からの生還と書いても何ら問題ないと思いますが、脳死危機だったら、う~ん、どうしただろう……
私も「脳死からの」と書いたかもしれないなあ。
みなさんがその立場だったら、どうされますか。
佳那晃子(女優なので敬称略)は、現在リハビリ病院で、手足に反応を示すところまで回復したので、歩けるところまで回復させたいと源高志さんは前向きに結んでいます。
具体的に状態が書かれていませんが、事故から10ヶ月で「手足に反応」程度ですと、社会復帰できるレベルの回復はもしかしたら困難かもしれません。
ただ、はっきりいって、少なくともこういう脳の回復で医師は状態を診るだけで、将来の回復についてはどんな名医だろうが全くわかりません。
ですから、医師が絶望的なことを言ってもそこで諦めず、乱暴に言えば聞き流した方がいいです。
私も、息子さんは人工呼吸器も外れないだの、歩けないだのと、権威ある病院のエリート医師たちからさんざん怖い話をされましたが、長男はそのすべてを覆してくれました。
患者の家族が「もう回復しない」と決めつけてしまったらそれまでなのです。
回復しなかったとしても、それはあくまでも結果であり、とにかく回復を信じてリハビリやトレーニングを重ねるしかありません。
佳那晃子といえば、「間違いだらけの女磨き」(フジテレビ)で、中条静夫の若妻役を演じたのが印象に残っています。
源高志さんが書かれているように、いつか病院から歩いて帰れるようになれたらいいですね。
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