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オリンピック東京開催、お大尽遊びか、経済復興か [社会]

オリンピック東京開催はお大尽遊びか経済復興か。いきなり大上段から書きましたが、『アサヒ芸能』(10月3日号)が、「東京五輪と被災地、分かち合えない現実」というタイトルで、安倍総理や滝川クリステルのプレゼンをつっこみ、深刻な被災地の現実をまとめています。

私が今回のオリンピック招致を通して気に入らないのは、上辺の数字だけをなぞった経済効果と、まるで被災地の人々を元気づけるためにやってやるんだといわんばかりの大義です。

インチキくさいのです。

冒頭の「東京五輪と被災地、分かち合えない現実」という記事。内容としては、これまでにもマスコミやネットで書かれてきたことですが、よくまとまっている読み物だと思いました。

内容はざっとこんな感じです。

アサヒ芸能・分かち合えない.png

・安倍総理は、「福島第一原発の港湾内0.3キロ圏内に完全にブロックされています」とプレゼンしたが、放射性物質は、港湾「外」であるわずか150メートルで外洋と直接つながっている排水口から検出されている(横田一氏)←つまり解釈としての賛否の問題ではなく、そもそもプレゼンは事実を述べていない

・東京電力の山下和彦フェローは、安倍総理の「コントロール」論を否定したが、「官邸からきつい“お叱り”を受けた」東京電力は公式サイトで慌てて訂正

・4000世帯が被災したのに「災害公営住宅」はまだ0戸である上、職人たちが五輪需要で東京に持って行かれてしまうので今後の見通しがますますたたなくなった

・サッカーのJヴレッジは福島原発の20キロ圏内にある

・東京は安全な町とタンカをきったことで、警察官を増やして片っ端から職務質問をするなど、東京は不自由な町になってしまうかもしれない(大谷昭宏氏)

・滝川クリステルは、「もし皆様が東京で何かをなくしたならば、ほぼ確実にそれは戻ってきます。実際に昨年、現金3000万ドル(約30億円)以上が落とし物として東京の警察署に届けられました」とプレゼンしたが、実は遺失物の届出はその倍以上の84億円。

同誌には書かれていませんが、経済効果なるもののまやかしも触れて欲しかったです。

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オリンピック歓迎派の人々は公共事業が増えるといいますが、準備にお金が動くところばかり強調して、たとえば造られた器に対するその後のコストはどうなるのでしょうか。つまりプラスばかりでマイナス、しかも長期に渡るものが計算されていないのです。

たとえば、日韓W杯の“残骸”を有効利用したのか。今、そこにどれだけのコストがかかっているのかをどれ位の人が知っているのでしょうか。

あれだけハコモノ行政が叩かれたのです。

今からでも遅くありません。というより、決まったからこそ、その懸念をマスコミは報じることで、きちんと「オリンピック後」のことを考えるべきです。

で、私の意見ですが、オリンピックは国家国民によるお大尽遊びだと思います。

誤解のないように述べておくと、私はお大尽遊びを否定しません。

カラダに悪くても酒やタバコをやめられない人がいるように、妻子を泣かせてもギャンブルと縁が切れない人がいるように、人間というのは美学とか、理性とか道理とか建前とか、そういうものに背きたいことがあるものです。

意図や自覚にかかわらず被災地対策を軽視することになってもオリンピックをやりたいという気持ちは、良し悪しは別として、閉塞された時代を過ごしてきた国民の、なんか楽しいことほしいよ、という切羽詰まった悲鳴という面もあると思うので、一面的に「被災地を考えて我慢しよう」とはいえないのです。

もちろん、逆に、オリンピックを喜ばない奴は非国民だ、などというくだらない暴言も絶対に容認できませんが。

賛成・反対、その意見の違いは、人間の価値観の幅というか多様性であり、豊かさだと私は考えるのです。

ただし、経済復興のために、被災地のためにオリンピックをやるべきだ、などという大義を振りかざす見解だけは、先の実情を見る限り違和感を覚えます。

私の先祖の墓は福島の相馬に近いところにあるのですが、地震で墓地はめちゃくちゃ。おまけに放射能問題で檀家も壊滅状態でした。

まあ今は多少立ち直りましたが、オリンピックについていえば、それどころじゃないという人もいれば、そんな状態でも、オリンピックバンザーイという人もいると思います。

それは繰り返しますが、価値観の多様性です。

ただ、いずれにしても、被災地対策以上の金(今の時点で最低4000億円)をオリンピックにつぎ込むことについては、釈然としないものはあると思いますし、これでまた復興が後景に退けられるのかと不安を感じている人もいると思いますよ。オリンピックが復興に役立ってほしいとは思ってるでしょうけどね。

それほど被災地は深刻なんです。

3月11日になると、ブログではその日だけ、急にしんみりしたことを書く人もいますが、善意は尊重すべきものの、セレモニーや自己満足に陥る可能性があるので、私はあえてそれはしませんでした。

被災地の人達は今の状態が1年中、そしていつまで続くかわからないんです。1日だけしんみりされたってねえ。

地味でも、他人には見えなくても、日常的なものの考え方や行動などにそれを打ち出していくことが大事だと思うんです。

それはともかく、被災地の人々には悪いけど、オリンピックは決まりました。

少なくとも、被災地のためにやってやる、というような思い上がったものいいだけは慎みたいものだと思います。

アサヒ芸能 2013年 10/3号 [雑誌]

アサヒ芸能 2013年 10/3号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2013/09/24
  • メディア: 雑誌


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