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あの政治家はどうして“抹殺”されたのか [政治]

あの政治家、“抹殺”というタイトルで誰を想像しましたか。『週刊大衆 ミステリー増刊 戦慄』という雑誌には、政治・芸能・スポーツなど世間を騒がせた事件についての「今だから言える」真相やエピソードがミステリアスに綴られています。その中でも、『大国・アメリカに“抹殺”された!「極秘リスト」公開』というタイトルの記事が面白かったのでご紹介します。

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記事では、『永田町抹殺指令!嵌められた政治家たち』(双葉社)の著者鈴木文矢氏がこう述べています。

「日本の法律は主権在民を担保していますが、『日本 権力構造の謎』の著者であるオランダ人学者、K・V・ウォルフレンが指摘するように、政治システムの大部分は法的な枠組みを超えています。
 実質的に日本を支配しているのは、永田町の政治家や、霞が関の官僚、そして記者クラブのメディアなどですが、こうした支配層の最上位に君臨しているのが“アメリカ政府”なんです」


日本の戦後史は、アメリカ政府が許す範囲内で国益を追求することを許されてきた。それを超えた独自の政策を進めようとするリーダーが現れると、アメリカはさまざまな手段を使ってその政権を潰しにかかると同誌は指摘、

元外交官・孫崎亨氏の著書『アメリカに潰された政治家たち』(小学館)から引用しています。

「国民の預かり知らぬところで何かが起き、いつの問にか総理の首がすげかえられることが日本ではよくあります。しかも、政権が代わるたびに日本におけるアメリカのプレゼンスが増大しているのです。(中略)そして、そのときに失脚した政治家は、おしなべてアメリカを激怒させる“虎の尾”を踏んでいました」

“虎の尾”を踏んで“抹殺”された政治家として具体的に挙げられているのが、中川一郎、田中角栄、竹下登、橋本龍太郎、鳩山由紀夫、小沢一郎、中川昭一……。

具体的には、こんなことがありました。

田中角栄……石油を国産にすると言ってアメリカを刺激した(中曽根康弘)/日中国交正常化でアメリカに先んじ、日本の自主外交を体現して見せた(孫崎亨)

中川一郎……対ソ利権に深く食い込んでいた

橋本龍太郎……米国債(アメリカの日本に対する際限ない借金)を「売りに出したい」とブラフをかけた

中川昭一……米国債買い増しを拒否(アメリカの際限ない借金をきっぱり断った)し、米国債売却を企てた

小沢一郎……沖縄の在日米軍は必要ないという主旨の発言をした/議員や一般参加者多数と訪中した

鳩山由紀夫……東アジア共同体構想を提唱した

これらの政治家は確かに、1度、もしくは複数回の不可解な「政治生命にかかわる事件」が起こっています。

まあ、鳩山由紀夫氏などを見ると、そういうことに関係なく失脚すべき人だったかもしれませんが、だからといって、もしアメリカの意向があってもそんなことは検証しなくていい、ということではないと思います。

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ところで、失脚した面々は中川父子をのぞくと、田中派→経世会の政治家たちですね。

自由民主党の派閥は、一方では清和政策研究会という“保守本流”や鳩山一郎氏(鳩山由紀夫氏の祖父)ら、いわゆる親米といわれる勢力があり、もう一方に宏池会や田中派などがあるといわれてきました。

親米派と反米派の系譜.png

日本の保守勢力(つまり自由民主党)が、タカ派的思想の一方でアメリカには服従というねじれたイデオロギーをもち、その中心的存在が清和政策研究会(町村派)であることは、政治史や政党史を眺めれば何となくわかってしまうことです。

同誌には、上記の政治家たちを「極秘リスト」などと大仰に書いていますが、一部の研究者やジャーナリストの書籍で、すでに取りざたされてきた面々です。

ただ、そのことに特別興味があるわけではない人までが読む“下世話なカストリ”スキャンダル誌で、取り上げられたところに今回の意義があります。

つまり、アメリカが日本を支配している、アメリカに従順ではない日本の政治家は“消される”という構造を論考することはもはやタブーとはいえない、ということです。

この分野では、『戦後史の正体』を上梓した孫崎享氏がそうした指摘をした識者としておなじみです。

ネットでは、孫崎享氏の名前が出ると、もう反射的といっていいと思いますが、「反日」だの「中国べったり」だのといった悪口が書き込まれます。いわゆるネトウヨにとっては、よほど忌々しい人らしい。

しかし、日本の政治や政治家が、アメリカに生殺与奪を握られているのかどうか、ということが問われているわけですから、孫崎享氏個人の、中国に対する思いを含めた世界観・政治観をとやかくいうことは、論点のすり替えでしかないでしょう。

同誌は、宏池会や田中派を“脱米”としていますが、私はそれは少し大げさだと思っています。

なぜなら、彼らは日本共産党のように、日米安保条約(日米軍事同盟)自体を否定して対等の条約を結びなおせ、と主張しているわけではないからです

今の枠内で、もう少し是々非々でいきましょう、ぐらいのニュアンスではないかと思います。

しかし、アメリカはそれすら許さない、という話です。

さあ、日米がそのような関係なら、TPPの交渉とやらで、日本の意向がアメリカに聞き入れられ、アメリカの意向を日本が拒絶できるのでしょうかねえ。

週刊大衆ミステリー増刊 戦慄 2013年 9/10号 [雑誌]

週刊大衆ミステリー増刊 戦慄 2013年 9/10号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2013/08/09
  • メディア: 雑誌


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