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カレンダー利権とは何か!ジャニーズ事務所VS週刊女性 [芸能]

ジャニーズ事務所の週刊女性に対する名誉棄損訴訟の判決公判が、8年前の2005年7月15日にありました。

『週刊女性』(2003年9月9日号)の記事で名誉を傷つけられたとして、ジャニーズ事務所と、役員の藤島ジュリー景子さん、藤島メリー泰子(メリー喜多川副社長)さんが、発行元の主婦と生活社にそれぞれ1100万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁はジャニーズ事務所側の請求を棄却しました。

東京地裁.jpg

争われたのは『週刊女性』の「うわさ話」記事でした。

当該記事は、ジャニーズ事務所のメリー喜多川副社長と、実娘で役員である藤島ジュリー景子さんが、高級ブティックで優遇されているとの内容を、常連客のうわさ話の形で記載したのです。

遠山広直裁判長は、「納期などで優遇されていたことを誇張して表現したもので、うわさと記載していることからすると、社会的評価が低下したと認めることはできない」としています。

要するに、記事が誇張であることを認めたうえで、そんなものは有名税のうちだろう、とジャニーズ事務所をたしなめているのです。

ジャニーズ事務所と『週刊女性』との訴訟は、実はこれだけではありません。城島茂や滝沢秀明に関する記事でも激しくやり合っています。

マスコミ各社は、一部の媒体(週刊文春、週刊新潮、東京スポーツ、日刊ゲンダイ、サイゾー)をのぞくと、ジャニーズ事務所には弱腰で、都合の悪いことは書きません。

とくに『週刊女性』(主婦と生活社)といえば、とりわけジャーニーズ事務所とは蜜月関係にありました。

それだけに、『週刊女性』がジャニーズ関連スキャンダルを書くのは、事情を知らない者にとっては「どうした風の吹きまわし?」と驚くべきことで、また訴えるジャニーズ事務所も感情的に見えました。

そんなことでいちいち裁判などしていたら、夕刊紙やスキャンダル雑誌などを相手に何度裁判をしてもキリがないと思うほどのありふれた記事だったからです。

では、なぜジャニーズ事務所と週刊女性の関係は、そんなにこじれてしまったのか。

業界関係者は、それが「カレンダー利権」を巡るトラブルであったと推理しています。

肖像権管理のシビアな同事務所では、「どこの社が誰のカレンダーを発売できるのかは、ジャニーズサイドの恣意的な判断によって決定されることが多い」(『サイゾー』2005年3月号)仕組みで、出版社がジャニーズ事務所所属タレントのカレンダーを「作らせていただく」ことになっていました。

カレンダーは、この出版不況にあってほとんどが完売になるほどの手堅い人気を誇ります。

角川書店やぴあなどは、表紙に所属タレントを起用できるなど利用価値は高く、週刊誌を発行する出版社に対しては、スキャンダル記事抑止に機能すると同誌は指摘しています。

「ちゃんとはからってくれるならカレンダーで儲けさせてあげる。そうでないのならやらせてあげない」と、カレンダーの版権でメディアをコントロールしている訳です。

これが、いわゆる「ジャニーズ・カレンダー利権」です。

主婦と生活社の場合は、まず『JUNON』でトラブルが起こっていました。

『JUNON』が主催する美少年オーディションに、女子中高生向けの歌手グループまで出してしまったために、競合するタレントを抱えるジャニーズ事務所が激怒。

当初は『同じページにジャニーズのタレントを載せない』『ジャニーズの扱いを大きくする』といった微調整で済んでいたのが、そのうちオーディションそのものを中止するよう要求してきたといわれます。

さらに2001年9月号に香取慎吾が登場した企画には、その後ろのページにDA PUMPの広告が載り、ジャニーズ事務所はカレンダーの権利まで引き上げてしまいました。

利権を失った主婦と生活社は、それならもう遠慮しねえよ、といわんばかりに、2000年8月22・29日合併号に突如、「独占スクープ!錦織一清金銭訴訟」と題された記事を皮きりに、これまでの不満も一気に噴き出すような形で、一転して「反ジャニーズ雑誌」になったのです。

現在の『週刊女性』は、是々非々でジャニーズを報じ、またジャニーズ事務所も一頃のようなマスコミに対する高圧的な態度ではなくなり、週刊文春や東京スポーツとは半分和解をしたような関係ですが、それにしてもこの争い、業界が利益を求めて読者不在で動いていることがわかります。

ジャニーズ事務所が「利権」をタテに自社や所属タレントを守るのはわからないではありません。私が社長でもそうするかもしれません。いや、そうするでしょう。

しかし、他社の雑誌の編集権にまで干渉するかのような交渉があったのならそれはやり過ぎです。

『週刊女性』にしたって、急に反ジャニーズといっても、それはペンの正義とは180度異なる魂胆です。感情的な報道は、たとえ裁判にならなくてもミスリードを招く、メディアとしては許されないものです。

何も知らない読者は、業界の駆け引きや利権争いの背景が重いバイアス記事に振り回されているというわけです。

これは、虚実ないまぜのエンタメ情報ですが、たとえ政治や経済のニュースであっても、メディアが報じることついては、送り手側の様々な思惑や背景があるものだ、ということを私たちは心しておくべきなのです。

週刊女性 2013年 7/30号 [雑誌]

週刊女性 2013年 7/30号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 主婦と生活社
  • 発売日: 2013/07/09
  • メディア: 雑誌


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