ヒートショックプロテイン(HSP=熱ショックたんぱく)について、このブログで2度ばかり書かせていただきました。HSPは、体のあらゆる細胞(酵素、コラーゲン、筋肉など)を修復するので、怪我、風邪から生活習慣病に至るまで、さまざまな体の不調に効果的であるというものです。
昨日は、温熱効果のある新素材と抗がん剤を組み合わせて、扁平上皮がんを治療できる可能性が報じられました。
貼り付ける新素材…熱と薬で、がんダブル攻撃
読売新聞 6月15日(土)13時40分配信
がんの患部に貼り付け、熱と抗がん剤のダブル攻撃で治療できる可能性のある素材を開発したと、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)が14日、材料科学の専門誌電子版に発表した。
体の組織は、温度が高くなると血流を増やして放熱する。がん組織の血管はその機能が不十分で、正常組織より熱に弱い。加熱しながら抗がん剤などを使うと、効果が高まるとされる。
荏原充宏・同機構主任研究員らは、温度が上がると縮む性質のある高分子に、磁場をかけると温度が上がる物質と抗がん剤を加えて化学反応させ、繊維状に加工した。この繊維に磁場をかけると発熱し、収縮して抗がん剤が外へしみ出す。
培養した皮膚がんの細胞の上にこの繊維を置き、磁場を2回(各5分間)かけて45度まで熱したところ、がん細胞は5日後に27%まで減少した。抗がん剤だけを加えた時は40%までしか減らず、何もしないと2・4倍に増殖した。
研究チームは、皮膚がんのほか、食道など様々な臓器の粘膜に発生する「扁平(へんぺい)上皮がん」の治療に応用できると期待している。
最終更新:6月15日(土)13時40分
こういう報道が、医療現場で実現するまでにはかなりの時間がかかるのですが、とにかく、温めることによる病変部治療が絵空事ではなく、まじめな研究対象であることは分かりました。
今年に入ってからこのブログをご覧になった方もおられるので、重複しますが、改めてヒートショックプロテインについて簡単に書きます。
プロテインといっても、プロレスやボディービル雑誌の広告に出てくる健康食品ではありません。
大腸菌からヒトまでほとんどの生物には、体に対して、熱など程よいストレスが加わることで、あらゆる細胞を修復するタンパク、ヒートショックプロテイン(HSP)を自ら産生することができるといいます。
ショウジョバエからはじめてHSPを発見したのが1962年といいますから、もうずいぶんたつのですね。
研究者の伊藤要子修文大学教授によれば、「程よいストレス」としてもっとも適しているのが、入浴で体を温め体温を上げる「熱ショック」、名付けて「マイルド加温療法」といいます。
「入浴によって体温が38度になるとHSPは約1.5倍、38.5度で2倍に増えたというデータがあります。体内を38度以上にするには、41~42度の熱めの湯に肩までつかり、芯まで温まることが肝心です」(「日刊ゲンダイ」12月17日付でヒートショックプロテインの研究者・伊藤要子修文大学教授)
ヒートショックプロテイン(HSP)の詳細や具体的な入浴法については過去の記事をご参照ください。
>>ヒートショックプロテイン(HSP)の42度入浴で病気予防できる?
>>ヒートショックプロテイン(HSP)入浴法の真相
このような健康法というと、怪しげな印象をもたれやすいのですが、研究者の伊藤要子教授は、もともとハイパーサーミアの研究者ということを聞いて納得しました。
スポンサードリンク↓
ハイパーサーミア(局所温熱療法)というのは、一対の電極の間に病変部をはさみ、電磁波によって熱することで、がん細胞を弱らせる治療です。
ハイパーサーミアと、伊藤要子教授のマイルド加温療法は「熱」の使い方が違うのですが、温熱効果による療法という点では共通しています。
ハイパーサーミアは一般にはなじみがない治療法ですが、民間療法とは違い、保険が効く治療法です。
つまり、放射線科があって機械のある病院なら医師の判断で比較的容易に受けることができる治療です。
通常医療の三大療法(手術、抗がん剤、放射線)とはちがい、侵襲性もない患者に優しい治療です。
しかし、いくつかの問題があり、三大療法を超える治療法にはなっていません。
ひとつは、なかなか内臓のような深奥部にある部分を十分に温めることができないこと
次に、コストの問題から保険診療として医療機関が歓迎できる治療ではないこと
みっつめは、それゆえ、ハイパーサーミアは技術者が育ちにくく臨床例も増えにくいこと
伊藤要子教授は、それらを克服できないかということを考え、全身を温める入浴による温熱(マイルド加温療法)を標榜されているのでしょう。
私もこれを知って以来、お風呂で使える体温計を入手し、昨年暮れから週に1~2度は42度のお風呂に入り体温を測っています。
それから半年ぐらいたちますが、気温自体が上がってきたからかもしれませんが、普段の体温は当初より0.3度ぐらい上がり、入浴時に体温の上がるスピードが以前よりも早くなってきたようです。
マニュアル通り42度に10分入ると、舌下で39度は出るようになりました。
数値で証明しづらい自己申告QOLですが、目覚めがすっきりするようになりました。
伊藤要子教授は、石原結實医師と共著『からだを温めるとなぜ病気が治るか』(ビジネス社)を上梓していますが、同書によるとがん細胞は39.6度で死滅するそうです。
42度に15分入ると、私は少なくとも舌下ではその温度に達します。
ということは、舌がんにはならないか、なっても死滅するんでしょうかね。がん細胞にもHSPは産生されると思うのですが……。
まあ、がん治療はそれほど生易しいものではないと思いますが、少なくともマイルド加温療法による不都合は今のところないし、熱めのお風呂はなかなか気持ちがいいので、もう少し続けてみようと思います。
コメント 0