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加山雄三の『お嫁においで』とモズライトギター騒動

加山雄三の『お嫁においで』という歌がリリースされたのは、今から47年前の1966年6月15日です。加山雄三は70歳すぎた現在もまだ現役で、「若大将のゆうゆう散歩」(テレビ朝日)に出演しています。2年前には、デビュー50周年を記念して作られた「モズライトギター」が思わぬ騒動に発展しました。戦後史の激動、今日はこの件を振り返ってみます

お嫁においで
『お嫁においで』は、加山雄三8枚目のシングルです。

この歌は、当時流行していたハワイアン音楽のひとつです。イントロから流れるウクレレの音色が眩しい太陽を連想します。

裏ジャケットでは、水着姿の加山が浜辺でウクレレを掲げています。まさに夏の歌です。映画はすでに若大将シリーズという看板作品もあり、歌う俳優としてのポジションも定着した絶頂期でした。

大橋節夫とハニー・アイランダースが演奏を担当しています。

歌をもとに、松山善三が書き下ろした同年11月封切りの同名の映画では、沢井桂子がヒロインをつとめ、その友人役で、現夫人の松本めぐみが出演しました。

作詞は岩谷時子。越路吹雪のマネージャーを務め、青春学園ドラマシリーズの主題歌など数多くのヒット曲を生み出してきた作詞家として知られていてますが、当時の本職は東宝の文芸部員でした。

作曲は弾厚作。歌う加山雄三自身のペンネームです。尊敬している囲伊玖磨と山田耕作を足して2で割った名前といいます。この歌は2001年(4月1日)、井上陽水がカヴァーしています。

加山雄三は往年の名優、上原謙と小桜葉子(岩倉具視の玄孫)の息子として生まれ、慶応義塾高校には優秀な成績で合格。大学は法学部政治学科を卒業し、その翌々月の60年5月に東宝と専属契約。三船敏郎主演の映画『男対男』(8月14日封切り)で俳優デビューしました。

歌の方は同年7月に『夜の太陽』をリリース。65年12月には『君といつまでも』が大ヒットし、レコード大賞特別賞を受賞しています。

加山雄三というと、そうした華やかな出自や経歴から、苦労知らずのぼんぼんのようにみられてしまい、「若大将のゆうゆう散歩」(テレビ朝日)でも、前任者の地井武男のような庶民的なところがない“大名散歩”だ、などと揶揄されました。

しかし、私はそのような批評には必ずしも賛成ではありません。

そもそも地井武男と加山雄三とでは、俳優になるいきさつもキャラクターもリアルな人格も全く別なのですから、『ちい散歩』の継承者のような目で見ること自体、間違いであり、加山雄三の俳優としての矜持を踏みにじるものだと思います。

だいたい、苦労知らずのぼんぼんどころか、父親とともに役員だった観光会社「パシフィック・パーク・ジャパン」の倒産で庶民では見当もつかない莫大な借金(25億円)を抱え、そのさなかに大けがをし、さらに同棲相手との関係解消や松本めぐみとの結婚などを経験するなど、逆境に全くめげないしたたかさを持ち合わせている芸能界でも有数のスキャンダル男です。

ちょうどそのころ、加山雄三は『高校教師』(東宝、テレビ東京)というドラマに出演していたのですが、役柄は、勤務先の出版社が倒産してデモシカ教師に。最初は嫌々勤めていたが、生徒とのかかわりの中で次第に教師らしい自覚を持つようになっていくものでした。

以後、映画の若大将を卒業して、テレビドラマの仕事を積極的にこなしていく加山雄三の俳優人生のような設定です。

演技そのものが、最初の頃の棒読みに近いセリフから、最終回に近づくに従って熱のこもった演技に変わっていくように……私には見えました。

加山雄三は、もともと興味のないもの、なかったものにはトンチンカンな人ですが、いったん凝りだすと形を作ってくるしたたかさがあると私は思うのです。

このデンで、「若大将のゆうゆう散歩」も、「大名」から次第に「庶民」に変わる……かもしれない加山雄三を見届けてやるのも一つの興趣ですし、たとえ大名のままでも、丹波哲郎の横柄キャラのように、確立すればそれはそれでいいのではないでしょうか。

スキャンダルといえば、最近では、2010年の「モズライトギター騒動」というのもありました。

加山雄三が自らの芸能生活50周年を祝うために、加山プロモーションとフィルモア楽器というメーカーで、受注販売の「モズライト加山雄三50thアニバーサリー・シグネチャーリミテッドモデル」というギターを1本55万円で作りました。

ギターは完売。ところが、それは本家モズライトギターの無断コピーであると、亡くなったモズライトの創始者セミー・モズレー氏の正式な継承者とされる4人目の妻および「被害者の会」より、「詐欺および不正競争防止法第2条1項(不正競争防止法違反)」に当たるとして京都府警に告訴状が出されたのです。

「中には1人で2000万円近く買っているマニアもいる。訴訟額は億単位になる」(「日刊ゲンダイ」2010年9月21日付)などと書きたてられました。

「紅白に加山が出場したんで、被害者の会が加山の事務所に紅白に50周年記念モデルの偽モズライト使用禁止の通達。NHKには、使用させた場合は不正競争防止法違反のほう助に当たると警告書を送りつけたんですが、双方とも無視されました」(同紙で被害者の会)

モズライトブランドを製造していた会社自体は倒産しており、その商標権をめぐり数社が自社製品を本物と主張していたさなかでの出来事だったため、その刑事告訴の行方が注目されましたが、加山雄三は結局逮捕されていません。

この件では、「若大将ではなくサギ大将だ」などと揶揄した書籍もありましたが、少なくとも刑事訴訟法上、起訴に値するようなことはないという結論だったわけです。

加山雄三本人はこう語りました。

「モズライト社はもうない。俺のモズライトモデルは違う名前と違うメーカーで企画したもので、(ピックアップの)コイルの巻き方を工夫して音を似せたけど、根本的に変えてある。実はモズレーさんには奥さんが4人いたらしくてね。その4番目の奥さんが金になるからと(警察に)駆け込んだらしい。俺の名前があるから、記事にすれば話題になるってことだよ」

いずれにしても、そのような騒動になること自体、まだまだ加山雄三は現役ということでしょう。

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