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「蓮如物語」訴訟、東本願寺と松方弘樹が和解した日 [芸能]

「蓮如物語」(真宗大谷派(東本願寺)、松プロ、東映動画)とは、1998年に真宗再興の祖、蓮如上人の没後500年を記念して生涯を描いたアニメ映画。原作は五木寛之のベストセラー小説です。松方弘樹が代表を務める「松プロダクション」が制作し東映で上映されましたが、興行収益の配分をめぐり訴訟に。その和解が2003年5月22日に行われました。

蓮如物語
東本願寺と松方さん和解 映画「蓮如物語」訴訟
 浄土真宗中興の祖・蓮如上人の生涯を描いたアニメ映画「蓮如物語」の興行収益の配分をめぐり、真宗大谷派(本山・東本願寺)が俳優松方弘樹さんが代表を務める「松プロダクション」に約7300万円の支払いを求めていた訴訟は22日、松プロ側が2300万円を支払い、京都地裁(山下寛裁判長)で和解した。
 映画に関する文房具などを無断で販売したとして、同派から40万円の損害賠償を求められていた松方さんの元妻で、女優の仁科亜希子さんが代表を務めていた土産物製造販売会社「京彩」も連帯して支払った。
 訴状によると、同派は1997年2月、蓮如上人の500回忌を記念して、映画の製作と配給を松プロと契約。映画は98年4月に公開された。
 同派は、興行収益は約1億4500万円で、契約に基づきその半額は松プロから受け取る権利があるとして、2000年11月に提訴していた。(2003年5月22日更新の『共同通信』から)

「蓮如物語」は真宗本願寺の第八代法主・蓮如上人の生涯を描いたアニメ映画です。

原作は五木寛之のベストセラー小説で、1998年が蓮如上人の没後500年に当たることから、真宗大谷派がこの小説の映画化を企画したといいいます。

制作は松方弘樹の事務所の松プロダクションと東映動画が担当、松方はエグゼクティブプロデユサーをつとめました。

松方弘樹が真宗の門徒ということもあって、この話が実現したと言われます。

松方弘樹はさらに晩年の蓮如の声を担当。ほかにもナレーターに吉永小百合、声優陣に倍賞千恵子、奥田瑛二、古手川裕子、樹木希林などそうそうたる顔ぶれの映画俳優たちが加わっています。

テーマ曲を歌うのは「もののけ姫」の大ヒットで一躍有名になった米良美一。

アニメ映画とはいえ相当力の入ったものだと言えるでしょう。

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映画が公開されたのは1998年4月。

ところが客の入りが今ひとつ。

松桧プロダクションは一億円近い損失を抱え、大谷派からは興行収入分配金を巡って訴えられてしまいます。

この映画の制作にあたり、真宗大谷派と松プロは興行収入から経費を差し引いた収益を折半するという契約を結んでいました。

大谷派は、チケットの販売収益6億6000万円から制作費や必要経費を差し引いた1億5000万円の半分、7300万円を受け取る権利があると主張しました。

同時に、映画タイトル入りの文房具を無断販売したとして、松方弘樹の元妻・仁科亜季子が代表を務める会社「京彩」にも40万円の支払いを求めました。

真宗大谷派にしてみれば、「蓮如物語」は浄土真宗本願寺派、全日本仏教会、日本仏教保育協会、全日本私立幼稚園連合会、全国私立保育園連盟、全国青少年教化協議会、大谷保育協会などの推薦を受けた、蓮如上人500回忌記念映画。大谷派をPRする映画でもあります。

「全国の門徒がチケットの購買に力を注ぐなど、宗門を挙げての事業だった。売上がないでは済まされない」 (石川敏男/公式ホームページ)と言うのももっともな話です。

一方、松プロダクション側では、「大谷派が100万枚のチケット販売を受け持つ約束だったにもかかわらず、実際は44万枚しか売らなかった。100万枚売れば利益配分も可能だった」(「日刊ゲンダイ」7月31日付)として、大谷派を契約不履行で逆提訴すると言い出しました。損害賠償金と、大谷派の求める7300万円を相殺したいということでした。

しかし、これについて世間の目は冷ややかでした。

「大谷派から4億2000万円を出してもらい製作したうえに、チケットの面倒までみてもらっておいて、利益配分できないのは約束通りチケットを売らなかったからはないでしょう。これが豪放森蕗で売った松方かと思うとガッカリ。あまりにも身勝手過ぎてイメージを悪くするだけです」(「日刊ゲンダイ」7月31日付で芸能ライター・塩勢知央氏)

一方、大谷派は、100万枚は目標として設定しただけで、松プロダクションと書面でそうした契約はしていない、と反論。「100万枚の販売が、約束されていなければ映画は作っていなかった」(「サンスポ・コム」2002年8月24日付)とする松プロダクションと平行線をたどることに。

結局、松プロダクションが譲歩して、和解金を支払うことで合意。

松方弘樹自身が騒ぎをこれ以上大きくするのは仕事に差し支えるからと、反訴に消極的だったとも伝えられます。

和解金の金額を巡ってはなかなか結論が出なかったようですが、2003年5月22日、2300円で和解が成立しました。

「松方は大まじめなのだが、どうも映画を製作するたびにトラブルを引っ張ってくる」(芸能ライター・新藤輿二氏)(「日刊ゲンダイ」2002年7月26日付)という声もありますが、松方弘樹はこの失敗にもめげず、2003年3月には、「OKITE/綻」で映画監督デビューしています。

蓮如―われ深き淵より (中公文庫)

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  • 作者: 五木 寛之
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1998/04
  • メディア: 文庫


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コメント 11

やおかずみ

そんなことがあったのですね。知らなかったです。
by やおかずみ (2013-05-15 14:36) 

isoshijimi

私もそんなことがあったとは知りませんでした。
決して悪い話でもないのでしょうに・・・。
by isoshijimi (2013-05-15 21:13) 

uryyyyyy

いっぷく さん、こんばんは。

またまたご無沙汰してしまいました。
今月はブログやる気あったのに
寝てしまったり、ほかのことに気をとられてしまったりです。
by uryyyyyy (2013-05-15 22:15) 

なんだかなぁ〜。横 濱男です。

自分の損得に関わると、言った言わないの世界に陥り終始が着かなくなりますね。
人間の本性が出てきます。
細かいことをきちんと書き残す必要がありますね。
by なんだかなぁ〜。横 濱男です。 (2013-05-15 23:24) 

pandan

そういうトラブルがあったのは
知りませんでした。
by pandan (2013-05-16 04:35) 

山雨 乃兎

五木寛之さんの当該の作品は読んでいませんが、エッセイでも、五木さん、蓮如のことはよく語られていますね。
映画が最初に思ったほど人気が出るかは、後になってみないと分かりませんね。
松方さんも、真宗大谷派も、当時、笑い事ではなかったでしょうね。
その日に起こった時事問題やニュースを採り上げるのは、興味が湧きます。
また、お寄りしますね。(^。^)
by 山雨 乃兎 (2013-05-16 04:38) 

toshi

映画界にも、いろいろなトラブルがあるのですね。
コメント、ありがとうございました。
by toshi (2013-05-16 05:10) 

風太郎

ご訪問ありがとうございます。初耳でした。
by 風太郎 (2013-05-16 06:08) 

サンダーソニア

宗教がらみのアニメでは興業成績が上がるのは
難しかったのでしょうね。
by サンダーソニア (2013-05-16 10:12) 

リキマルコ

この映画があったことも知りませんでした・・(^^;)
金額が大きすぎわけがわからなくなりそうです(笑)
by リキマルコ (2013-05-16 13:02) 

moto_mach

この間見た「柳生一族の陰謀」のラストシーンで
松方弘樹が演じていた徳川家光の首がはねられる
所を思い出してしまいました
by moto_mach (2013-05-16 20:56) 

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