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綾瀬女子高生コンクリート詰め事件の「今」……

綾瀬女子高生コンクリート詰め事件、グリコ・森永事件、東京・埼玉連続幼女誘拐事件などの「今」を追う特集が『週刊女性』(2013年 5月14・21合併号)にある、ということを一昨日書きました。書店やコンビニにはもう新しい号が並んでいますが、今日はその記事のことを書いてみたいと思います。



『週刊女性』(2013年 5月14・21合併号)

公序良俗に反する現象をあらわす言葉は、グーグルでNGワードとされています。

一部なら伏字でいいのですが、複数箇所に渡る場合、伏せてばかりというわけにもいかないので、それらの文字列を「数値実体参照」というものに変換する作業が必要だったため、この記事は発表が遅れてしまいました。

「80年代、あの事件・騒動の気になるその後」というタイトルで、文字通り80年代に起こった事件・騒動を枚挙し、そのうちいくつかについては指揮者の談話などを交えて振り返るという企画ものの記事です。

全部で13の事件・騒動を詳しく振り返っていますが、主なものをご紹介すると、まずは、グリコ・森永事件から。「キツネ目」の事件ですね。

結局犯人を捕まえることはできませんでした。ジャーナリストの大谷昭宏氏は、今振り返っても「捜査の誤り」との見方をもっています。

「捜査の失敗です。似顔絵が公開された“キツネ目の男”の身柄を確保するチャンスがあったのに、すぐに捕まえず尾行して逃した。(中略)捜査サイドは劇場型犯罪に不慣れだった。ターゲット企業が広がり、捜査戦線を拡大してしまった。21面相はとことんツイていたんです」

しかし、初動捜査の誤りが犯人をとりのがし、さらに傷口を広げてしまったというのは、今もあります。ということは、警察はグリコ・森永事件に何も学ばなかったということでしょうか。

中野富士見中学いじめ自殺事件。「葬式ごっこ」を教師ぐるみで行ったことを学校が隠ぺいしようとし、結果として校長以下、4人の教師が定年間近で退職・免職となりました。むごい事件でしたね。

現役の先生方はこの見解に不満かもしれませんが、これまでいじめ事件があると、学校側が隠ぺいしたり不作為で調べることを怠ったりすることで、事件の解明を困難にしてきた印象があります。同誌で厳しく指摘するのは尾木ママこと尾木直樹氏です。

「ひどいと思いました。遺書からは生徒の悲痛な心の叫びがひしひしと伝わってきました。遺書からは生徒の悲痛な心の叫びがひしひしと伝わってきましたね。そうしたいじめられる側の気持ちもわからずに、いじめていた生徒たちはまだしも、担任の先生まで加担していたんです。何をやっているのかと思いましたよ」

「日本は子どもの個性の尊重や人権感覚は異常に遅れた国なんですよ。体罰や躾といって虐待しているでしょう。それからGDP比における教育費は先進34か国中、最下位ですから」

いじめの現場となった富士見中学は、今は廃校になったそうです。

東京・埼玉連続幼女誘拐事件。「今」改めて述べられているのは、犯人の家庭が祖父母も両親も不仲でけんかが絶えず、両親には父性も母性もなかったこと。そこから「ビデオなどにのめりこんでいった」(国選弁護人・鈴木淳二氏)といいます。

人の親として考えさせられる話です。

が、「家庭に恵まれないこと」や「ビデオなどにのめりこ」むことが即犯罪に結びつくわけではなく、そこには様々な交絡因子があるはずで、いまさら過去を振り返る記事であるなら、そのへんにも論考する踏み込みがほしかったと思います。

親に恵まれないという点では、「綾瀬女子高生コンクリート詰め殺人事件」に触れないわけにはいかないですね。

1989年、都内足立区綾瀬で16~18歳の少年4人が女子高生を監禁。40日間にわたり性的虐待とリンチを加えて殺害。挙句ドラム缶の中にコンクリート詰めにされ遺棄。発見時、被害女性の両目・日・鼻は陥没していたという「わが国犯罪史上においてもまれに見る凶悪犯罪」「人の仮面をかぶった鬼畜の所業」(公判で検察)は、いまだにネットで取りざたされていてます。

「約2年半に及んだ裁判で少年らは、ひとまず正気を取り戻した」(同誌)かのように見えたとか。

わいせつ誘拐・略取、監禁、強姦、死体遺棄、傷害、窃盗

これだけ容疑が積み重なっても無期懲役にすらならなかったのは、その「正気」が情状酌量につながった、彼らの「勝訴」だったのかもしれません。

が、そんなものは彼らのためにもならず、結局準主犯格Bは、満期出所から5年後に監禁致死容疑で実刑1年。09年に満期出所した主犯Aも今年1月に振り込め詐欺で逮捕されました。

当時、現場だった家を提供したCの両親が日本共産党員だったことから、機関誌の「赤旗」が事件を取材。

それによると、Cの両親は決してCに対して放任ではなく、むしろ、「問答無用のしつけと納得欠いた体罰」で管理し、それが「主観的にどうだったかは別にして、父親の行動が機械的で子どもの納得を無視したものであった」ことを指摘しています。

「子ども」のしつけというのはなかなか難しいもので、正解を簡単には語れませんが、少なくともいえることは、ここでもまた、「体罰」が「誤り」のキーワードになっているということです。

ネットにおける一部意見では、この事件についてルポを書いた藤井誠二氏(『少年の街』教育史料出版会)もやり玉に挙げられていますが、藤井誠二氏は同誌で、なぜ主犯格らは出所後も再犯して立ち直れなかったのかについて談話を発表しています。

「更生教育による改善を見越して『少年法』はありますが、少年院の中では、被害者とどう向き合えばいいのかは、具体的にはほとんど教えられていない。97年、児童連続殺傷事件の酒鬼薔薇少年が出所した際、特例でサポートチームができましたが、あれを制度化して、人命にかかわる事件の加害者については、サポートと事実上の監視の両方をやるべきです

凶悪事件があると、ネットは犯人断罪に興奮するのですが、「じゃ、どうすればいいの?」という建設的な提案がありません。

私は、この事件を深く調べた経験がないので、なぜネットの書き込みの一部で藤井誠二氏が批判されているのか知りませんが、少なくとも、藤井誠二氏は「今」、上記の提案を行っています。

一方、ネットはいまだに、犯人の個人情報を晒して罵倒し溜飲を下げたりおもしろがったりしています。

たしかに、そういう人が近所にいたら困る、という一般市民としての不安は否定しません。しかし、元犯罪者に犯罪行為(名誉棄損)で「報復」するのが今のネットの使い方なのだとしたら、それも怖い話です。

言論の世界では、真実に肉薄するために、従来の価値(法律)を切り崩し、ときには踏み越えてでも前に進まなければならないことがあるのも認めます。それでも、人殺しはいけないが、名誉棄損なら大義さえあれば無条件に許される、という考え方に私は賛成できません。大義があろうがなかろうが、不法行為を犯した事実があれば、その責任から免れられるものではないからです。言論無罪などという概念は今の法律では存在しません。

結論として、私はこの事件、犯人は許しがたいですが、かといってネットの一連の書き込みも容認することはできません。

私は、個人情報を執拗にコピペしまくるよりも、私たちの生活の見直し、子育てのことや、藤井誠二氏がいうところの「サポートと事実上の監視」を具体的にどうすればいいのかについて知恵を出し合ったほうがよほど建設的ではないかと思うのですがいかがでしょうか。

話を戻すと、記事は他にもダイアナ妃結婚、戸塚ヨットスクール事件、三原山噴火、ホテルニュージャパン火災、松山ホステス殺害など、それぞれの事件でひと記事書くべきことが他にもたくさん載っています。

今日は長くなりましたので、それらの記事についてもまた、機会があれば記事で取り上げてみたいと思います。

週刊女性 2013年 5/14・21合併号 [雑誌]

週刊女性 2013年 5/14・21合併号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 主婦と生活社
  • 発売日: 2013/04/30
  • メディア: 雑誌


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コメント 10

moto_mach

中々重くてコメントしずらいですけど
忘れてはいけない数々の事件ですね
by moto_mach (2013-05-09 23:50) 

くまら

個人的な意見ですが
ネットの世界は、未だ無法地帯だと思います。
確かに犯罪を犯した人、またその家族がバッシングを受ける事は致し方ないとは思いますが、罪を受け入れ、償い社会復帰する方々に、この国は冷たすぎるとも思います。
個人的に家族は関係ないと思いますが
どーしても犯罪者を生んだ家というレッテルは剥がれないと思います。
この記事をかいつまんで読ませていただきましたが
いじめは、根本的に学力を重視した国の方針のしわ寄せのようにも感じるのは私だけだろうか?
短絡的なコメですいません
by くまら (2013-05-09 23:56) 

toshi

凶悪事件、あとをたちませんね。
コメント、ありがとうございました。
by toshi (2013-05-10 07:55) 

katakiyo

難しい問題ですね、ネットの世界は捕らえようも無い
犯罪を生む要素を沢山持っているように感じます。
これからの時代を生きるのは大変です。
by katakiyo (2013-05-10 09:03) 

alba0101

ご訪問&コメントありがとうございます^^

覚えています...殺しても足りないほどの憎悪を感じます

虐待をしている人の多くは虐待だと思っていないのです..
ねじ曲げられた心も自分のせいではないと...
腐っています...許せません
by alba0101 (2013-05-10 11:11) 

さきしなのてるりん

藤井誠二氏の「サポートチームを制度化して、人命にかかわる事件の加害者については、サポートと事実上の監視の両方をやるべき」の論に賛成です。以前、加害者が障碍者という裁判に専門家をと記事を書いたのですが論拠は同じです。加害者を人間として、しっかり支えるということだと思います。それは人的資源を安易に切り捨てない。どんな可能性を持っているか、もっと希望を持って対応してほしいと思うからです。
by さきしなのてるりん (2013-05-10 22:55) 

レイコ

事件があるとよく育った環境がよくなかった、
親がよくなかったと言われますが
それを本人が知ることで自分のしたことを
養育環境のせいにしてしまうことはないんでしょうか。
ここまで残虐なことができる、しかも犯罪を繰り返すというのは
明らかに本人の問題で、そうした資質を持っている、一種の障害ではないのかと思います。
サポートと監視、実にそのとおりと思います。
準主犯格は監禁致死容疑だなんて、被害者の遺族にしてみたら
一度これだけの犯罪をおかしているのになぜ防げなかったのかという
思いが強くあるだろうと思うからです。

by レイコ (2013-05-11 00:58) 

自称隊長

環境が虐待を連鎖させる、という話は正しいのでしょうが、だからといってやったことが許されるわけではないですよね。最初に「許されない人権侵害」があった時点で、環境がどうだろうと反省をしていようと、犯した罪に見合った処罰を与えなければ同じことを繰り返すに決まっていると思います。そういう意味で、民意を反映させやすい裁判員制度で、民間の声が直接判定に反映される機会が増えると……と思いつつ、一方で裁判員に選ばれた人の人権もきっちり守れるのか、厳しい判定を下したことを逆恨みして大きな事件につながったりしないかも心配です。でも、犯した犯罪の大きさに見合った責任の果たし方→刑事罰?を与えられる社会でないと安心して生活できないですね
by 自称隊長 (2013-05-11 10:16) 

青山実花

猟奇殺人にはとても興味があり、
よく読んでいるのですが、
この事件だけはどうしても駄目です。
外国や、日本の過去の話なら他人事のように
思えるのでしょうが、
あまりにもリアルすぎて、
そして、聞きたくなくても耳に入ってくる残虐性に、
胸が悪くなりそうで。
正直、なぜ犯人が死刑にならなかったのか、
そこらあたりにも怒りを感じます。


by 青山実花 (2013-05-11 20:51) 

non_0101

このコンクリート詰め事件は本当に惨い事件ですね。
数々の事件が起きていますけど、恐らく一番ショックを受けて
忘れられない事件です。
10代の少年が人に対してこんなにひどいことが出来て、
しかも家の人が気づかない訳は無いのに見過ごして
死に至ってしまったということが本当にショックでした。
by non_0101 (2013-05-12 14:52) 

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