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おばさんの「よそゆきの声」と「自分本来の声」 [社会]

おばさん……。いきなり挑発的な言葉を書いてしまいましたが、惹句とご容赦ください。

みなさんはご自分の声、把握していますか。新年度がスタートし、会社も学校も新しい環境で活動する人も多々おられると思います。新しい集団生活でまず大切なのは第一印象。特別飾る必要はありませんが、きちんと声を出して挨拶するぐらいは最低限行いたいものです。

その際、どんな声であいさつしたらいいでしょうか。

「声」について、先日おもしろい記事を見ました。

電話に出るときや、あまり近しくない間柄の人と話すとき、「少し高めの『よそゆきの声』になる年配の女性が多いのはなぜか」という疑問に迫っている、『夕刊フジ』(3月30日付)の連載記事「知りたくもない!?カラダの不思議」です。
「よそゆきの声」になる年配の女性
「これは、加齢に伴う『低声化』と関係があります。加齢とともに諸筋肉は柔軟性を失います。声も声帯の振動によって出されているので、柔軟性が欠けてくると、振動数が減って、低い声になりがちです。これを、声の老化といいます」(中略)
「低声化していく自分に打ち勝つように、できるだけ高めの声で話そうと励んでいる姿が、つい『よそゆきの声』に聴こえてしまうのでしょう」(『たった5分の裏声トレーニングで歌が【突然】うまくなる』(青春出版社)などの著者・高牧康氏)
男性にももちろん老化はありますが、女性の方が加齢に対する意識の高さが見られるから、よそゆきの声は女性に多くみられる特徴なのだそうです。

“おばさん”がよそゆきの声を出すことは、自らのアンチエイジングとともに、対外的に若く見られたい、というアピールでもあるわけです。

そういえば、俳優の故・石立鉄男さんが、生前最後の仕事となったラジオ番組のインタビューで、ドラマ出演時の「声」について語ったことがありました。

それによると、かつて出演したラブコメディードラマ『おくさまは18歳』(1970~1971年、TBS、大映テレビ)では、コメディータッチの演じ方が必要と考え、『男はつらいよ』で寅次郎をそう演じた渥美清さんを参考にして、意識的に高い声を出したそうです。

高い声、出してましたね。「さくら、おいちゃん!」て。

その後、石立鉄男さんは2枚目半のキャラクターで一世を風靡しますが、コミカルなシーンの高い声と、シリアスなシーンの低い声を使い分けてメリハリのある演技をしました。

でも普段は渥美清さんも石立鉄男さんも、物静かで低い声でした。

“おばさん”のよそゆきの声といい、寅さんの高い声といい、声を変えることで、普段と違う自分を表現したかったわけです。

もちろん、私たちが相手に自分の望むイメージを抱かせるように、日常生活でそうした工夫を凝らすことはあると思いますが、ただ、変化の前提としては、まず自分自身が「自分本来の声」を知っておく必要があるでしょう。

「本来の声」を知っているからこそ、「違う声」も出せるわけですから。

「自分本来の声? そんなもの、普段しゃべってる声に決まってるだろう」

と思われますか。

必ずしもそうとは限らない、というのは、話すことにかけては専門家である、元NHKキャスター・川邊暁美さんです。

自著『「声」と「言葉」で心に響くプロの話し方作法』(明日香出版社)の中で川邊暁美さんは、「自分本来の声」というのは、もっともよく響く声のことであり、日常会話の中では自分らしい音色を活かせていない場合があるそうです。そして、「ベストの声を探す方法」をこう教えてくれています。
基準になるのは、自分の名前を言うときの声の高さです。まず、普段の声であなたの名前を言ってみましょう。目の前の人に話しかけるように「おはようございます。川邊暁美です」と名前を言うときの声の高さが、その人にとってもっとも無理のない自然な声であることが多いのです。
 次に4~5メートル離れた人に話しかける気持ちで、同じように「おはようございます。川邊暁美です」と言ってみてください。先ほどより、声が前に出て、勢いのある明るい声になっているはずです。
 最後に、高さや強さを調整してみます。少し高めの声で、少し低めの声で、少し強い声で、少し弱い声で……と同じフレーズを録音して、客観的に聴き返してみましょう。自然で良く響くあなたのベストな声はどれでしょうか?
同書によると、この方法によって、自分はそれまで低い声だと思い込んでいたのに、実はそうではなかったと気づくことがあるそうです。

自分本来の声……。近くて遠い真実といったところでしょうか。いずれにしても、相手と良好な関係を築けるような「声」を心がけたいものです。

「声」と「言葉」で心に響く プロの話し方作法 (アスカビジネス)

「声」と「言葉」で心に響く プロの話し方作法 (アスカビジネス)

  • 作者: 川邊 暁美
  • 出版社/メーカー: 明日香出版社
  • 発売日: 2013/01/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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ikamasa

こんにちは。自分の声を知ることは大事ですよね。朝はなるべく高い声を出すようにしていますが、顔の表情や腹筋を緩めることも自然に必要になってくる感じです。発声は全身運動なんでしょうね。
by ikamasa (2013-04-01 14:42) 

川鮎くん

話すということは 聞き手という 対象があります
目的があって 話をする訳ですから
対象が 友達とオシャベリする場合もあれば 講義などで大勢の場合もあります
仕事の場合は 目的があり 声が高くなるような気がします
声ばかりでなく 姿勢 表情 身振り手振りにも 気をつけたいものです
by 川鮎くん (2013-04-01 15:16) 

ryuyokaonhachioj

そうだね。年齢と共に声も低くなるんでしょうね。
身振り手振りも考えないと~心得ましょう。
by ryuyokaonhachioj (2013-04-01 16:12) 

川島

初めて自分の声を録音して聞いた時「違う人!」って思いましたw
by 川島 (2013-04-01 16:15) 

K

特に意識はしていませんが、普段と仕事の時、声が違うみたいです。自分本来の声はどっちなんでしょう?
by K (2013-04-01 17:40) 

moto_mach

自分の声を聞くのがちょっと恥ずかしいんですけど
凄く変な声に聞こえて
by moto_mach (2013-04-01 18:00) 

chima

電話でも接客してる時でも緊張するので
喉が細くなって自然と高い声が出ます
10代のころからなのでおばさんだから
若作りしてるって訳じゃないんですよー
と言ってるおばさんがここにいます(笑)
by chima (2013-04-01 18:18) 

ちょんまげ侍金四郎

石立鉄男さん、コメディタッチの言いまわしは本当に声のトーンが高かったですね(笑)
しかし、もう亡くなられてるんですよね。。。
by ちょんまげ侍金四郎 (2013-04-01 18:31) 

ヨッシーパパ

私は若い頃は、緊張すると、声が高くなることがありました。
最近は、図々しくなって、緊張することはなくなりましたが。
by ヨッシーパパ (2013-04-01 18:54) 

ackylacky

私はおばさんではなくて、おじさんですが、普段の話し声は低くてボソボソしてます。
それが、会議で議論になるとだんだん高くなってきて、自分でも可笑しいです。
by ackylacky (2013-04-01 19:17) 

繭

「よそゆき」の声o(*^▽^*)oあはっ♪
母などその典型かもしれません(´艸`)ムププ♪
by 繭 (2013-04-01 19:40) 

Lonesome社っ長ょぉ〜

録音された自分の声が自分のものなのか、と首を傾げる
ことは昔からありますね。だから本当の声とやら、未だ判って
なのかもしれません。
by Lonesome社っ長ょぉ〜 (2013-04-01 20:42) 

ja1nuh

こんばんは、ご訪問ありがとうございました、
声一つでも奥が深いですね。勉強になりました。
by ja1nuh (2013-04-01 20:48) 

isoshijimi

なるほどです。
自分の名前は確かにスムーズに言えそうです。
それをちょっと遠くの人に声をかける、わかりやすいですね。

・・・ただ・・・カラオケとかマイクを通した声が未だに自分の声のように感じられないのですが・・・。
by isoshijimi (2013-04-01 21:28) 

なんだかなぁ〜。横 濱男です。

最近、低いんだよねぇ~。。声が。。。
そっか、4~5m先の人に話しかけるようにしてみよう。。。


by なんだかなぁ〜。横 濱男です。 (2013-04-01 21:44) 

あるまーき

うちの会社の受付Tさん、まだ25~26のはずなのに、電話の声と普段の違いが激しすぎますね。読みながら、彼女の顔が浮かんでしまいました。

それにしても、あの声、こういう「仕組み」だったのですね。なるほどです。
by あるまーき (2013-04-01 22:57) 

フヂ

昔から低い声で、ずっとコンプレックスです。
そのよそいきの声が出せなくて、
すっかり電話嫌いなのでありました…(´-∀-`;)
by フヂ (2013-04-01 23:11) 

みずき

よそいき、という風に意識したことはないんですが
年配の方からの電話だと、わたしの声が低くて
「耳が遠いので聴こえない」と言われるので、気持ち
高めに話してます^^;
by みずき (2013-04-01 23:27) 

さといも野郎

「よそいき」、、、よくわかります(^^;

by さといも野郎 (2013-04-01 23:43) 

真珠

職業柄、作った声で話している人が周囲には多いのですが
自分の本名を言う声の高さが自然というのはなるほど、と
思いました。
本も読んでみたいです。ご紹介ありがとうございます♪
by 真珠 (2013-04-01 23:51) 

chobi

叔母が電話に出るとき驚くような高音になるので
子供の頃、不思議に思って理由を聞いたところ
「改まった感じがするから」
「地声で電話に出ては失礼でしょ」
とのことでした

たしかに叔母は
「目上の人にかわいがられたい」と願っているタイプです
高音=幼児化=目下=へりくだり=尊敬&服従
ということなのかもしれません
私は…あんまり…そういう願望がないので…地声です(^^;
by chobi (2013-04-02 00:25) 

uryyyyyy

いっぷく さん、こんばんは。

電話の声は全く違いますね。
電話していると、言葉を噛むことが多いです。
ああ、全く別の話になってしまいました。
by uryyyyyy (2013-04-02 00:31) 

ナベちはる

電話に出たときの女性の声って本当に違いますよね。
直前に怒っているということがあっても、電話に出るとすぐに「よそゆきの声」に変わるので驚きです。
by ナベちはる (2013-04-02 00:45) 

muk

母がいつも電話に出ると違う人の声でした。理由が分かって面白いです。
石立さんの「チーぼう」はそこから来てたんですね。
人前でしゃべる機会が多いので、自分の普段の高さや声の高さを意識しようと思いました。

by muk (2013-04-02 05:47) 

モッズパンツ

おばさんのよそゆきの声にはそういうメカニズムがあったのですね。おばさんのよそゆきの声は許してあげましょうね。w (´∀`)ノ

(^ー^)ノシ
by モッズパンツ (2013-04-02 06:06) 

ゆうのすけ

”おばさん” と ”おくさまは18歳”のキーワードで
大女優 冨士眞奈美さんを 思い浮かべたのは 私だけ?!^^;
by ゆうのすけ (2013-04-02 06:26) 

pandan

心がけないと〜
by pandan (2013-04-02 07:00) 

orange

日本語の母音は口の前の方から出る音が多いですが、英語やヨーロッパの言語は喉の後ろの方を使う発声法が必要です。
その辺りの筋肉を鍛えないと発音も上手になりません。
仕事柄、毎朝その辺りの”筋トレ”をしています(笑)小顔効果もありますよ^^v
by orange (2013-04-02 09:30) 

やおかずみ

昔テープレコーダーで聴いた自分の声にびっくりしたこと
を憶えています。その後私はよそ行きの声ではなく、地声
で通しています。
by やおかずみ (2013-04-02 09:59) 

macky

声も老化するんですね~
電話で、「お母さんいますか?」とたまに言われます^^;
by macky (2013-04-02 10:11) 

ponnta1351

私は加齢関係なく、昔から低い声です。
最近女子アナのキンキン声の人、気になります。
先日、新聞の身の上相談で、アニメ声の主婦が悩んでいる記事を見ました。↑「お母さん居ますか?」といつも言われるそうです。
アルコールや煙草にやられている女性は嗄れ声ですね。
by ponnta1351 (2013-04-02 11:32) 

Aちゃん

高い声を出した方が心臓への負担が軽いと言う話を某芸能人から聞いた事があります。
by Aちゃん (2013-04-02 12:14) 

utamaroco

よそゆき声で気取るおばさん。
なんか信用できない(笑)
by utamaroco (2013-04-02 12:46) 

昆野誠吾

自分の声って頭(耳)で聞こえているものと
違いますよね~子供の頃録音して聞いてびっくりしました。
妻は普段の声と電話での声が違います。
電話の相手次第ですけど、身内以外には高くなりますね(笑
by 昆野誠吾 (2013-04-02 17:37) 

RuddyCat-Lalah

言葉の使い方、TPOによって使い分けています。対外的に向けて話す時にはゆっくり低めに。OFFでjはしこし高めに。
でも加齢を意識していませんよぉ。
信頼度を持たせるか、親近感を持たせるかで使い分けています。
by RuddyCat-Lalah (2013-04-03 00:24) 

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