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がん保険を疑え! いや従え? [経済]

がん保険を疑え! いや従え?

がん保険、入ってらっしゃいますか。病気もケガも対象とする医療保険が生保からも損保からも発売されているにもかかわらず、がん「だけ」の保険に入る人が少なくありません。それだけがんは怖い病気だから? ただ、それと保険商品としての価値は別問題ですが……。




戦後史上、ここ15年がもっとも大きく業界が動いている、といわれているのが保険業界です。

護送船団方式などと揶揄されたように、同一商品同一保険料を堅持して弱小損保会社が守られていたのは今は昔。

金融ビッグバン以来、大手の保険会社でも合併が当たり前の厳しい時代に入っています。

その保険業界で、生命保険と損害保険双方が扱える商品が医療保険。

中でも注目されているのが、がん保険です。

何が注目かというと、コピーがセンセーショナルだから。

今や、2人に1人ががんになる時代。3人に1人ががんで亡くなる時代 」というのは、誰でも気になるコピーです。

1万人に1人といわれる交通事故に比べて、桁違いに大きな数字です。

ところが、現場の保険募集を行ってきた後田亨氏は、「がん保険を疑え!」という本の中で、その惹句の「トリック」を暴いています。

財団法人がん研究振興財団が発行している「がんの統計07」の中にある「年齢階級別罹患(りかん)リスク」という表によると、50歳よりも前にがんになるのは、男性で2.2%、女性で4.4%に過ぎません。

つまり、50歳以前なら、実はがんは「95%から98%の人が無縁」という統計結果が出ています。

では、どのくらいの年齢になると切実になるのでしょうか。

男性なら、79歳ではまだ3人に1人、84歳までに5人に2人と増え、85歳以降になって、やっと「2人に1人ががん」になります。

同様に女性は、80代前半になって4人に1人を上回りますが、3人に1人になるのは、85歳を超えた人も対象にしてからです。

ですから、「2人に1人が『がん』になる」のは間違ったコピーではありませんが、それは高齢者の話であって、「平均寿命以内なら5人のうち4人はがんにならない」という言い方もできるのです。

がんに「なる」統計の最も多い数字をもとにした言い方と、「ならない」統計の最も高い年齢の数字をもとにした言い方では、同じ統計をもとにしても真逆の物言いができる。

言葉のトリックというのは怖いですね。

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貯蓄していけば『がん以外のリスク』にも備えられる


後田亨氏は、その確率ではがん保険で有り難みを感じることは限定的なケースだから、保険に加入するお金があるのなら、「普通に貯蓄していけば『がん以外のリスク』にも備えられること」と述べています。

要するに、がん保険なんか入るな、という話です。

みなさんはどう思われますか。

私は、記事にしておきながら、この件、自分の中で賛否の結論は出ていません。

統計やそろばん勘定では後田亨氏の言う通りかもしれません。

が、保険は数字だけでなく価値観で入るところもあるので、そもそも後田亨氏の根拠にどのくらいの意味があるのかは、受け取る側によって異なると思うのです。

もとより保険料というのは、保険会社の儲けを含むわけですから、契約者全体にならすと、保険金としてもらう金額が、保険会社の集金する保険料より少ないのは当たり前の話です。

要するに保険もパチンコや宝くじと同じです。

それらも、全体として客の方が損をすることになっているのです。

その意味では、保険料を払うより貯金をしたほうがたしかに堅実です。

しかし、もし自分がその少数の確率であるがん患者になったらどうなのか。

やはり保険金が出ると助かると思います。

がん保険に入ってよかったと思うはずです。

確率というのは、2分の1だろうが1000分の1だろうが、なりたくない人にとっては心配だし、なったらなったでいいや、と腹をくくっている人にとってはあまり気にならないものです。

たとえば、50歳の人が今後10年間にがんになる確率は5%といわれます(がん情報サービス)。

統計的判断では、通常5%というのは無視できる数字です。

しかし、私個人の価値観では、5%は決して無視できる数字ではありません。

私は、妻子が、0.01%の確率で起こる癒着胎盤や、200年に1回といわれる火災を経験したことで、過去の全体の数字から見た確率の大小など、未来への不安を解消するものにはなりえないとの思いをしているからです。

ですから、がん保険は商売としてうまくできている、ということと、入るべきか入らざるべきか、ということは別の次元の話だと私は思ってしまうのです。

まあ、結論が出ないなら、うじうじぐずぐす悩んで年をとってから「やっぱり入っときゃよかった」と後悔するより、保険料がより安いうちに入ってしまったほうが「安心料」にもなるのだろうとは思いますが……。

がん保険を疑え!

がん保険を疑え!

  • 作者: 後田亨
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2011/08/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


タグ:がん保険
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コメント 5

pandan

最近ではネットで購入できる、
価格の手頃なものも出て来たから、
切り替える人も多そうですね。
by pandan (2012-09-11 06:15) 

chima

私は癌家系なのではいろうと思っているのですが、
必要なものに回すので手一杯で癌保険に入れません(>_<)
by chima (2012-09-11 09:29) 

さうざんバー

医療に携わっておきながら、生命保険の事は、からっきし・・・です(^^;) TVで、人は毎日がん細胞を50万ぐらいだったかを作り出し、49.5万を死滅させ、0.4万ぐらいを無力化させているそうです・・・(確か・・・?(^^;)それを、どう考えるかだと思います(^^)
by さうざんバー (2012-09-11 19:58) 

hatumi30331

保険には入ってます。
でも、詳しく知らないし・・・
パパりんは成人病を抱えてるので・・・
大きな保険は入れない。^^:
ま、無駄に多額の掛け金は必要ないと思ってます。
癌系・・・・ちょっと心配〜^^;
でも・・無理やね〜 国民共済保険しか入れません。

by hatumi30331 (2012-09-11 21:50) 

リキマルコ

いっぷくさんおひさしぶりです(*^^)
うちはがん保険入ってないんです、私も旦那もがんに対して「なったらなったときのこと!特別な治療はしない!」みたいな楽観的な考えなもんで・・・(^^;)
それより一人になったときのことを考えて寝たきり保険のほうが入りたいです・・・(´ω`*)
by リキマルコ (2012-09-11 22:11) 

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