戦後史のスタートといえば、昨日は67年目の「終戦の日」でしたが、わがブログ「戦後史の激動」では、毎日○○の戦後史とタイトルをつけて更新し続けているので、とくに振り返ることはしませんでした。
もちろん、だからといって8.15をたんなる1日と捕らえるのではなく、68年目の戦後史のスタートとして、また気持ちを新たに日々の出来事を考えたり、過去のその日にあったことを振り返ったりしたいと思います。
さて、触れようかどうしようか考えてちょうど1ヶ月たってしまいましたが、歌手・桑名正博(現役なので敬称略)が脳幹出血で倒れ、意識不明となったのが7月15日。
長男でミュージシャンの美勇士が、「最初は12時間と宣告され、次に3日、2週間以上持った人は見た事ないと院長から言われ、、、一ヶ月。桑名さんの生命力はナメたらあかんで~」と、医学の常識を超えた父親の健闘を伝えた、と報じられています。
情報が十分ではない部分もありますが、いずれにしても、意識を回復することは難しいと医師が宣告。そんな状況で気管切開を行うのは、ただ心臓を動かすだけの延命でしかないから、それがよかったのかどうか、という話がネットでは出ています。
私はこの点、ちょっと疑問です。
まず、気管切開というのはたんなる酸素の送り方の問題で、それ自体が新たな「延命」ということではないと思いますが、いかがでしょうか。
桑名正博はもともと人工呼吸器で肺に酸素を送っている状態にあり、口からの管は比較的短期間に取り替えなければならないので、それならのどに穴を開けてカニューレから送ろう、という判断を医師がしたのだと思います。
ただ、それは、人工呼吸器を使う期間が今後長期にわたる可能性があると医師が判断した、との解釈もできます。
それは、桑名正博が遷延性意識障害患者として、生き続けるかもしれない、ということです。
桑名正博は脳幹に出血と報じられましたが、一説には脳幹は壊れていないとするものもあり、ではいったいそれは何を根拠としているのか、脳波や画像(MRI)はどうなのか、などいずれにしても細かい情報がありません。
本当に脳幹が壊れていないければ、人としての最低限必要な営み(低次脳)はできるわけですから、遷延性意識障害として今後も生き続けることはできるのかもしれません。
ところが、ネットでは、まるで現在の処置自体が「無駄なことだ」といわんばかりに、「延命は本人も家族もつらいだけだ。はやく楽にしてやれ」などと、利いた風な意見もあります。
たしかに、遷延性意識障害になると、家族が自分の人生をかなり犠牲にして介護することもあると思います。「こんなことなら死んでくれたほうがよかった」という家族の思いは、中身の人間なら、絶対にないとはいいません。
ただ、そういう人ばかりだと思ったら大間違いで、明日は目を覚まして意識を回復してくれるんじゃないか、そういう希望を持って介護している人が圧倒的だと思います。家族にとってはそれが希望となり生きがいとなるのです。
ですから、事情も、家族の気持ちもわからない第三者が知ったかぶって、否定的な言い方をするものではないと思います。
いずれにしても、桑名一家は、前向きな気持ちで患者を見守ってほしいと思います。
2012-08-16 04:54
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医者の言葉って家族にとっては
大きな一言になるんですよね。
母が癌で入院したときに、
何度か経験しました。
by pandan (2012-08-16 05:00)
お医者さん治りますとは言ってくれませんよね…
by chima (2012-08-16 06:56)
兎に角、意識の回復を願うばかりです。
by lamer (2012-08-16 13:05)
家族の「死」ほど受け入れがたいものはないですよね。
ほんのわずかな可能性であっても、
見守っている家族は、その一縷の望みにかけるのでしょう。
桑名さんに奇跡が起きる事を願うばかりです。。。
by 銀狼 (2012-08-16 18:41)
こんばんは。まいど訪問おおきにです。
桑名さんの気管切開はご家族が生還を信じて、歌手として復活するため声を守るためと聴きました。尊厳死については難しい問題ですが、外野がとやかく言う問題ではないと私も思います。本人、ご家族のみそれを論じる事だと思います。
とにかく桑名さんの復活を同じ大阪人として願います。
by オカジュン765 (2012-08-16 21:04)
桑名さんの事は知りませんでした。
切羽詰まった状況の日の希望って、ささやかな明日だったりしますよね。・・・・・そんな時、明日が生きれるかどうかと考えたこともありましたねぇ~。
by mama (2012-08-16 22:39)
私の母も、脳死と言われてから一ヶ月が経過しての死でした。
家族は回復を信じ希望は捨てれません。
今でも、あの時の葛藤は忘れられず、また何か他に出来たのでは!?と苦しむ時があります。
by カリメロ (2012-08-17 02:26)
pandanさん、コメントありがとうございます。
そうですね。今回も医師は厳しいコメントを
発していますが、家族としては結構きつかったと
思います。
by いっぷく (2012-08-17 10:55)
chimaさん、コメントありがとうございます。
そうですね。治るといって治らないと
裁判になっちゃうとか心配しているのかもしれませんね。
by いっぷく (2012-08-17 10:56)
lamerさん、コメントありがとうございます。
そうですね。前向きに考えるしかありません。
by いっぷく (2012-08-17 10:56)
銀狼さん、コメントありがとうございます。
そうですね。少なくとも家族はそういう気持ちだと
思いますので、そこに水を差したくはないですね
by いっぷく (2012-08-17 10:56)
オカジュン765さん、コメントありがとうございます。
そうでしたか。再起の可能性を信じるのは家族としては
当然ですよね。
by いっぷく (2012-08-17 10:57)
mamaさん、コメントありがとうございます。
そうですね。こういうときの家族は
1日1日をすごすことに様々な思いを抱くものです。
by いっぷく (2012-08-17 10:57)
カリメロさん、コメントありがとうございます。
そうでしたか。
私は、火災で上の子どもが遷延性意識障害になってから
回復した経験があるので、こういうケースでは
医師も含めた周囲に対して、
勝手に絶望と決めるな、とつい言いたくなってしまうのです。
by いっぷく (2012-08-17 10:57)