『男女7人夏物語』が放送されてから、今年でまる30年になります。同作には『男女7人秋物語』という「続編」も作られましたが、前者がトレンディドラマのハイライト、後者が、男女の結びつきの難しさを表現する人間ドラマになりました。どちらも鎌田敏夫氏による名作だと思います。
今日のFacebookで、『男女7人夏物語』と『男女7人秋物語』が話題になっていました。
トレンディードラマのハイライトといえるようなこの2つのドラマは、いまだにネットでは話題になりいろいろなコメントが連なります。それだけインパクトの有るドラマだったんですね。(上の画像はFacebookより)
『男女7人夏物語』とは
『男女7人夏物語』より
『男女7人夏物語』は、旅行代理店のツアーコンダクター・今井良介(明石家さんま)と彼のマンションに酔いつぶれて転がり込んできた、フリーライター・神崎桃子(大竹しのぶ)を中心に物語が進みます。
2人は、それぞれ友人を従えた合コンで再会します。
今井良介(明石家さんま)は、大学・ボクシング部の同級生の野上君章(奥田瑛二)、大沢貞九郎(片岡鶴太郎)と、神崎桃子(大竹しのぶ)は、コンパニオン時代の同僚である浅倉千明(池上季実子)、沢田香里(賀来千香子)、椎名美和子(小川みどり)らのグループでした。
3人対3人ですと、なんとなくカップルが決まったらそれで話は固まってしまいます。
しかし、この設定は3対4で、必ずしもメンバーの全員が恋愛模様を織りなすわけではありません。
だけれど、主人公の今井良介(明石家さんま)をめぐる神崎桃子(大竹しのぶ)と浅倉千明(池上季実子)のさやあてがあり、片思いですがそこに大沢貞九郎(片岡鶴太郎)も絡むという展開です。
結論として、野上君章(奥田瑛二)と沢田香里(賀来千香子)は結ばれます。
浅倉千明(池上季実子)は、神崎桃子(大竹しのぶ)のために今井良介(明石家さんま)を諦め、大沢貞九郎(片岡鶴太郎)を好きになろうとします。
しかし、肝心の神崎桃子(大竹しのぶ)は、マイケルジャクソンの取材をしにアメリカに行くと言い出し、今井良介(明石家さんま)との関係の発展はならず。
ハッピーエンドにはなりませんでした。
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登場人物たちの職業が、みんなトレンドの「かっこよさそうな」仕事ばかり。
たとえば、浅倉千明(池上季実子)はカストマディーラー、沢田香里(賀来千香子)は照明設計室勤務、椎名美和子(小川みどり)はプロ野球のウグイス嬢。野上君章(奥田瑛二)が商社マン、大沢貞九郎(片岡鶴太郎)が結婚式場職員。
大沢貞九郎(片岡鶴太郎)が地味といえば地味ですが、それ以外は、カタカナ職であったり、国際的であったり、メディアに関わりを持ったりなど、「普通の会社員・OL」からすると、華やかであったり、やりがいがありそうだったりします。
必ずしも、官僚だの、一部上場企業だのといった、伝統的な「エリート」ではなく、トレンディーな職業であることがポイントです。
しかも、服装も住宅も食事もトレンディ。同年代の人たちから見たら羨ましい限りです。
まさに、トレンディドラマのハイライトと言ってもいいような設定でした。
そして、感情移入したくなる男女の機微を描けば、人気作品となるのは当然です。
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『男女7人秋物語』とは
一方、『男女7人秋物語』というのは、ストーリーや登場人物は『男女7人夏物語』を継承していますが、ドラマのテイストは、トレンディドラマとしての質が少し変わったような気がしました。
ストーリーは、アメリカからなかなか帰ってくるとの連絡がない神崎桃子(大竹しのぶ)。
今井良介(明石家さんま)は寂しくなり、清州のマンションを引き払い、留守番ということで木更津の先輩の家に住んでいました。
神崎桃子(大竹しのぶ)は連絡できるはずもなく、なぜなら、アメリカで知り合った横山健(柳葉敏郎)と帰国して一緒に暮らしていたからです。
お互いが病気になった時、横山健(柳葉敏郎)と介抱しあい、わかれることができなくなったというのてす。
フェリーで神崎桃子(大竹しのぶ)と再会した今井良介(明石家さんま)は大変なショックを受けました。
しかし、気持ちを取り直し、大沢貞九郎(片岡鶴太郎)、そしてやはりボクシング部の同級生だった高木俊行(山下真司)らと合コンをしたときの相手である釣り船屋「荒三丸」を父親のかわりに経営する沖中美樹(岩崎宏美)、風洞研究所勤務の島村一枝(手塚理美)、チケット販売センター勤務の小泉ひかる(岡安由美子)らとの交際を考えます。
『男女7人秋物語』より
『男女7人夏物語』は、今井良介(明石家さんま)と神崎桃子(大竹しのぶ)の住まいをむすぶ清洲橋が舞台になっていましたが、今回は川崎であり、鶴見であります。
川崎が新しく地下街を作って生まれ変わり、「銀柳街」にかわってチネチッタなど、新しい施設も作られました。
ただし、まだ「海ほたる」や海底トンネルは完成しておらず、川崎から木更津はフェリーを使っており、すなわち変わりつつある川崎や、百万都市横浜らしくない鶴見の国道駅周辺を舞台にしています。
今井良介(明石家さんま)は、沖中美樹(岩崎宏美)との関係が少しずつ進展しますが、男女関係に屈折した思いを抱く島村一枝(手塚理美)が、ジャマをするために横恋慕。
神崎桃子(大竹しのぶ)は、つい断れなくて横山健(柳葉敏郎)と暮らしているものの、今井良介(明石家さんま)を諦めきれず、しばしば電話をしてちょっかいをだします。
今井良介(明石家さんま)は、そのために判断を誤り、島村一枝(手塚理美)といったんは関係してしまいますが、許してくれた沖中美樹(岩崎宏美)のために、こんどこそこの関係を結実させようと決意します。
しかし、今井良介(明石家さんま)と関わっているうちに、すっかり昔を思い出した神崎桃子(大竹しのぶ)は、今井良介(明石家さんま)への思いを隠しきれず、今井良介(明石家さんま)も結局神崎桃子(大竹しのぶ)を
採ります。
そのため、一時期は三角関係でどろどろに。
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『男女7人夏物語』から始まった、今井良介(明石家さんま)と神崎桃子(大竹しのぶ)の関係は、沖中美樹(岩崎宏美)と横山健(柳葉敏郎)を傷つける形で成就します。
誰かを好きになるということは、だれかを傷つける、というテーマが展開ごとにあてはまる、なんとも重いストーリーでした。
しかし、登場人物はみなおとなになり、トレンディートーラマから一歩発展した、大人の心を語るドラマであったと思います。
2016-08-03 18:35
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