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直筆がいいというけれど、ネット時代はもっといい!? [社会]

戦後史上、価値観が変わったものはいろいろあるが、個人情報や個人の法的な権利(人権)などは確実に保護される方向に進んでいる。それをもって、「昔はおおらかでよかった。それに比べて今は窮屈だ」という意見もあるが、窮屈さが私たちの生活の安心と安全に資しているとすれば、それはやむを得ないことではないのだろうか。

1993年6月23日、東京の某市にある三浦友和宅に、国税庁を名乗る背広姿の男が押し入り、外へ逃げようとした妻の百恵さんともみ合い軽傷を負わせた。

警察官に取り押さえられた犯人は、持っていた登山ナイフで首の左右を切り自殺を図った。全治2週間。

この事件、懲役2年6ヶ月の判決が下っている。

犯人は土地勘がある人間ではなかった。それでも三浦友和邸を知っていた。

私も、特別ファンというわけではないが、三浦友和邸がどこにあるかは知っている。

いくら有名人夫婦だからといって、なぜ家まで知られているのか。

1980年代ぐらいまでは、芸能人からスポーツ選手、政・財界人、マスコミ文化人など400人以上の地図付き自宅情報が書かれている本が、堂々と書店で販売されていたのだ。

一部を引用しよう

たとえば、三浦友和邸などは「○○駅から歩いて20分、○○から10分ほどの郵便局と消防署が近くにある」「鉄筋2階建ての黒っぽい色の豪邸」などと、最寄り駅からの地図や外観のスケッチまでご丁寧に掲載してある。(もちろん、その本は○○ではなく実際の駅名が書かれている)

「1階にはリビング、ダイニング、キッチン、そして和室の部屋。(中略)2階は友和さんと百恵さんのメインルーム。その隣に○○○クン、○○クンそれぞれの子ども部屋と、予備の部屋。テラスに向けてサブ・ベッド・ルームもある」(もちろん、その本は○○ではなく子どもの実名が書かれている)とまで書かれているのだから、頭の中で三浦友和邸をしっかりと想像できる。

芸能人だけではない。

プロ野球名鑑も、選手の自宅住所が書かれていた。

私はよく、往復はがきを使って、選手に質問とサインを求めた。

巨人の長嶋茂雄名誉監督の広報をしていた小俣進氏の復信はがきは最近まで持っていた。

なぜ、現役時代一流選手とはいえなかった小俣進氏に出したかというと、当時、新聞報道では契約更改でもめ、「自由契約にしてくれ」とだだをこねてロッテにトレードされたかのような記事が出ていたので、本当かどうか確かめたくてはがきを出したら、本人が直筆で答えてくれたのだ。

私は学生時代から、自覚なしに取材活動をしていたわけだ。

今なら、こんなことは絶対にあり得ないだろう。

ただ、今はネットの時代なので、ブログやツイッター、フェイスブックなどでそうした有名人が直接相手をしてくれることがあるかもしれない。

それでも、直筆で個人vs個人のやりとりできる昔の方がネットの現代よりもよい、という人もいるかもしれないが、それこそネットの時代だからこそ、価値観が多様化し、行動力もエスカレートする。個人情報が守れるならその方がいいと思うが、どうだろうか。

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Jupiter

インターネットの発展が島国の日本のグローバル化に拍車をかけた。我々はその中で暮らしている。無料であらゆる情報がネットから即座に得られ今や辞典は殆ど必要性をなくした。
仰る通り個人情報のリークさえ無くなれば(無くならないだろうが)、多少の事には目を瞑ってでも先進の生活は不可欠だ。
直筆はひとつの選択肢であって、用途はケースバイケース、個人の判断に任せる、で良いのでは。常識も価値も世の中の変化に対応し変わるものである。
by Jupiter (2012-07-05 20:40) 

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