原辰徳監督の1億円問題。またしても渡邉恒雄会長がしゃしゃり出てきた。記者を前に、「25年前の女性関係、そんなのは時効だ」「清武は球団を辞める前に“原を殺してやる”“スキャンダルをばらしてやる”と（球団関係者の）3人に話している」などとまくしたてたという。
だが、問題になっているのは「25年前」の「関係」ではなく、3年前に怪しい人間に被害届も出さずに1億円払ってしまったことである。それに、情報源の詮索（というより断定）は論点そらしであるだけでなく、よほどしっかりした証拠がなければ名誉毀損になってしまう。
人間は誰しも老いるが、引き時を間違えてはいけないなあと考えさせられる。
それはともかくとして、ヤクザルポを何本も書いてきた溝口敦氏は、これまでの報道や議論とはひと味違う論評を「日刊ゲンダイ」（6月26日付）の連載で行っている。
これは、たとえ今回のことについて、渡邉恒雄氏のように原辰徳監督に同情的な人でも、否定できない内容ではないのか。少し長くなるが引用しよう。
巨人軍・原辰徳監督の一件はなんとも愚かしい。カネがあるなら1億でも何億でも払ったらいいが、原は払う際、日記の書き手であり、持ち主でもある元カノに、払うカネの一部でも渡るのか、と聞かなかったのだろうか。
原が本来、慰謝すべき相手は元カノである。彼女は交際当時おそらく妊娠し、その中絶費用などを原が持ったのだろうが、18年たってなお彼女の日記が持ち回られる。とすれば、原が何より気づかうべきは元カノの18年後の境遇だったはずだ。
週刊文春によれば、元カノー同僚女性ー仮名「山本正志」という山口組系心腹会元組員ーその舎弟の元組員HーHが恐喝事件に引き込んだ東亜会元組員Kの順で日記は移動し、原へとアプローチしていく。（中略）
Kから恐喝を受けたとき、原は言うべきだった。「元カノの日記と言うなら、元カノの意向を聞くのが一番だ。元カノに会わせる。消息不明というなら、おまえが捜してこい。会った上で1億円払うか、払わないか決める。俺の言い分をのめないなら、勝手に消息不明の女の日記とやらを公表しろ」と。
要するに溝口敦氏は、金を払ったことの是非よりも、原辰徳が男としてまず大切にすべきことを間違えたと批判しているのである。
と同時に、ヤクザルポを書いてきた溝口敦氏らしく、巨人の見解も合理的に否定している。
原は公表された場合の世間体の悪さだけに怯え、カネを払った。
組から離脱しても5年間は組員扱いが警察の基準だ。「山本」は組を離れて4年らしいから、巨人軍が「反社扱い」を否定するのは道理に合わない。
つまり、原辰徳が金を渡したのは「元組員」という報道で間違いはない、ということである。
起こったことは仕方がない。こうなったら原辰徳監督および巨人軍は、屁理屈や論点そらしではなく、正直にこの問題について対処して欲しい。
みなさんは、どう思われるだろうか。
巨魁
- 作者: 清武 英利
- 出版社/メーカー: ワック
- 発売日: 2012/03/16
- メディア: 単行本
あまりにも非常識な話で、ただただ呆れております。
読売ジャイアンツのファンがあまりにも可哀想。
読売執行部はどこを目指し、何をしたいのでしょうか。
まったく理解できません。
by song4u (2012-06-26 22:11)
song4uさん、コメントありがとうございます。
渡邉恒雄さんが球団トップになってから
テレビの視聴率も下がり始めたのですが
いろいろ要因はあるのでしょうけど
渡邉恒雄さんのやり方が少なくとも
今の野球ファンには受け入れられなくなっている
ということはいえるかもしれませんね。
by いっぷく (2012-06-27 11:34)
今回の騒動に対するジャイアンツの、
「自分は悪くない」的な対応には
心底ガッカリしました。
何があっても全ては他人のせいなんですね。
溝口敦さんの仰る事、
まさしくその通りだと思います。
ハラさんは、A子さんの事は、
頭の片隅にも無いのでしょうか。
by 青山実花 (2012-06-28 12:55)
青山実花さん、コメントありがとうございます。
そうですね、週刊文春は第2弾の記事を発表していますが
「他の巨人選手も日記に出ているので、
やむなく1億円払った」（原監督）という言い分も
自分に都合のいい言い訳になっていますね。
自分の行為について、他人の名前を出して
言い訳に利用するのは
私たち一般の社会にもありがちな物言いですが
自己正当化のために他人を利用するような態度では、
「元カノ」の気持ちなんて、おもんぱかることは
望めないことなのでしょうね。
by いっぷく (2012-06-29 15:12)