小沢一郎夫人の記事については昨日も書いたが、ネット(ツイッター)があまりにも熱いのに比べて、「週刊文春」以外の紙媒体やテレビ、そして各党、各議員は黙殺に近い状態だ。
あれだけ「アンチ小沢」の報道をしまくってきたマスコミが、こんな「格好のネタ」にいったいどうしたのだろうと不思議に思っていたのだが、タブーを破って「東京スポーツ」(6月17日付)が真相をちらりとではあるが述べている。
「東京スポーツ」といえば、小沢一郎徹底否定派の藤本順一氏と、小沢一郎肯定派の上杉隆氏が登場するが、この件に限って言えば、2人とも冷静に合意をみている。
ズバリ、夫人が手紙を書いたのは事実だろうが、「妄想的な話が入っている可能性がある」とのこと。夫人がしばしば精神的に不安定になることまで暴露されており、結論は「よくある夫婦喧嘩」だそうだ。
「言い訳をしない」小沢一郎氏はもとより、他のほとんどの議員もノーコメントだった理由がそれで明らかになった。
要するに小沢一郎夫人の「精神」のことも、以前から他の議員は知っていたのだろう。
テレビの討論会や国会中継では激しく言い争っている各会派の議員も、国会という同じ職場の同僚である。お互いの秘書や配偶者たちのこともベテラン議員同士ならある程度知っている。
それでいて、あえて小沢一郎氏の人格批判に結びつけることを歓迎する、小池百合子という人の悪賢さといったら……
それはともかく、東日本大震災の直後、私はある憲法学者から、小沢一郎氏に会わせて欲しいと頼まれたことがある。
もちろん、私にそんな力はないので、以前、一緒に仕事をさせていただいた側近の平野貞夫氏におつなぎした。
小沢一郎氏が、本当に放射能を怖がっていたのか、野菜を捨てたのかはもちろん私は知らない。
ただそのとき、小沢一郎氏は党員資格を停止されており、比例代表選出の一部議員が会派離脱騒ぎを起こしていた。平野貞夫氏は、新党結成を目指している口ぶりだった。
小沢一郎氏が率先して動いていたかどうかはともかくとして、仲間の議員の意見を聞き、自分の陣地を固めることはしていただろうから、少なくとも議員としては「それどころじゃなかった」時期である。
たとえば、当時の新聞を調べればわかるが、小沢一郎氏は毎日のように、輿石参議院議員会長や鳩山由紀夫前首相、さらに自分の配下の若手議員らといろいろな店で会食をしている事実がある。
放射性物質が怖くて野菜を捨てているなら、その時期、外食なんかおっかなくてできないだろう。
「週刊文春」についても一言しておくと、「週刊文春」はあれだけ派手な記事を書くだけに、記事を巡る名誉毀損裁判がもっとも多い媒体である。その現場を支えているのは文芸春秋社法務部だ。
実は私は、その法務部のトップである某氏を、はじめて表舞台(インタビュー)に引っ張り出したことがある。
つまり、私は「週刊文春」に大きな仕事をさせてもらったことになる。
だから、あまり悪く言いたくないし、げんに同誌は週刊誌ジャーナリズムとしていい仕事もたくさんしてはいるのだが、うわべのセンセーショナリズム狙いで、いい加減な情報にとびつくことがある。
たとえば、BSEパニックの頃、「患者第1号」を報じたのは「週刊文春」である。しかし、その人が医学的にそう認定されたという話は聞かない。
それは報道がウソだっただけでなく、「患者第1号」呼ばわりされた人を傷つけることとなった。
今回の小沢一郎夫人だって同じだ。「東京スポーツ」に妄想癖を暴露されたことで、今後、小沢一郎夫人は世間からそう見られてしまうのだ。
それにしても、支持率30パーセントを切り、党内もまとめきれない人が、引退宣言を繰り返し2度も官僚のポストを投げ出している老人を責任者にして、国家財政の基本である税制に手をつけるというのはどうなのだろうか。犬も食わない夫婦げんかなどよりも、そちらの方がよほどゆゆしき問題だろう。
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- 発売日: 2003/10
- メディア: 単行本
2012-06-18 00:36
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