戦後史上、救命医療が今こそピンチなときはない、という危機感を筆者は持っている。
今日も静岡の事務所兼住宅で火事があり、女性が１人搬送されたという報道があった。
事務所兼住宅で火事、女性１人搬送 静岡市
日本テレビ系（NNN） 1月11日(水)11時39分配信
１１日朝、静岡市でゴルフ練習場の事務所兼住宅を焼く火事があり、２階にいた女性１人が救助されて病院に運ばれた。
警察と消防によると、１１日午前６時頃、静岡市駿河区のゴルフ練習場の事務所兼住宅で火災報知機が作動し、警備会社から消防に通報があった。火は建物１階の事務所から燃え広がり、１階の事務所約７０平方メートルを焼き、約３０分後に消し止められた。
この火事で２階の居住部分にいたゴルフ練習場経営者・脇谷寿美江さん（７３）が取り残されたが、消防によって救助され、病院に搬送された。脇谷さんは消火の際、水をかぶったが、命に別条はないという。
消防と警察は出火原因を調べている。
「事務所兼住宅で火事」「女性が搬送」というところで、つい自分の経験を重ねてしまった。
「命に別状はない」と報じられているから軽く感じるかもしれないが、それと、後遺症や障害が残らない、という話は別である。
結果的に無事社会復帰できても、その間の意識回復までの思いは経験者でないとわからないだろう。
のっけから何かと思われるかもしれないが、東京都は救急医療を「社会資源」とし、他の資源が限りがあるように、救急車、医療機関、医師や看護士などの数も無限ではない、医療が「限られた資源」であることを理解し、助け合いの気持で利用するよう提言している。
なぜ、わざわざこのような提言を行う必要があったのか。
調べてみると、平成21年中の救急出場件数は約512万件で、平成10年で約370万件だったのが、10年で約30％増加している。
この10年間に、社会の価値観や人々の暮らし方や医療技術は多少はかわったかもしれないが、だからといって救急傷病がそんなに増えるというのは合理的に説明しにくい。
要するにこれは、率直に言ってしまうと、相対的に
救急車を軽く考える人が増えてきた、ということではないか。
その結果、救急隊の現場到着時間は平均7.9分で平成11年の平均6.1分に対し1.8分長くなり、病院収容時間は平成21年において平均36.1分で平成11年の平均27.1分に対し9.0分長くなるなど、遅延傾向にあるという。
何気ない報告文だが、筆者はこの100文字を読むと血の気が引く。
昨年暮れに書いたように、筆者は火災を経験し、妻子3人がすべて意識不明の重体で救急車に担ぎこまれた。
そのうち妻は心肺停止状態だった。救急隊の人からは、「むずかしいですが、全力を尽くします」といわれた。
そして、「全力を尽くし」てもらった結果、3人とも一命を取り留めた。
とくに、心肺停止の妻が、何の後遺症もなく社会復帰できたのは奇跡とも言える。
だが、そのとき、救急車があと5分……、いや、あと3分でも遅れていたら、いや、極端に言えば1秒遅れていても、妻の心肺は停止したままだったかもしれない。
そう考えると、タクシー代わりに救急車を使う人もいる、という指摘にはゾッとするのだ。
と、偉そうなことを書いているが、これが火災を経験する前だったら、多少の憤慨はあっても、自分の心が痛むような深刻さはなかっただろう。
だから、偉そうに何かをいえるような立場ではないが、経験者として、麻薬撲滅や交通事故ゼロを目指すときのように、せめて標語作成や各種キャンペーンなどを行い、その実態の深刻さをもっと積極的に広めてもいいのではないかと思っている。
2012-01-11 18:02
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コメント(4)
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重い病気でなかったら罰金取る位しないと日本人甘えていますよね。
by 楽しく生きよう (2012-01-11 19:02)
道を譲らない運転マナーの悪さも目立ちますよね。
by コンブ (2012-01-12 09:05)
同感です。
消防署のHP等に、救急車を呼ぶ症例かどうか
判断を仰ぐ機関の連絡先が載っています。
急を要しないと思えても、時間外だったり・・・、
そういう時に、相談する機関です。
それをメモしてどこかに貼っておくと良いと思います♪
タクシー代わりに使ってはいけませんよね！
by まほ (2012-01-14 03:04)
沒有醫生的處方
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