戦後史上、警察と暴力団の対峙はいろいろな出来事がありましたが
昨年10月に施行された「暴力団排除条例」は、
暴力団VS社会という構図を前提に
その
ハザマにくさびを打ち込むことを目的とし
「暴力団と関係ある者(親密交際者)」すなわち、
「暴力団」と「社会」の接着剤的な役割の人に焦点をあてています。
しかし、条例の中身に対しては、
- 「暴力団と関係ある者(親密交際者)」の定義が曖昧であり
- しかもその判断(すなわち責任)を市民に委ねている
- ヤクザも家族があり社会に生きる以上、完全な「ハザマ」など存在しない
といった点が多くの識者に指摘されています。
私も、この条例は
暴力団対策や対応を市民に任せたものであることや、
法律ではなく条例であること自体、警察の本気度も疑わしい
という批判を当ブログで折に触れて行ってきました。
暴力団排除条例とは、日本の地方自治体が制定する条例で、暴力団や暴力団員と関係のある企業・団体・個人を排除することを目的としています。この条例は、暴力団員の排除や暴力団と関係のある業者の排除など、地域社会における暴力団の勢力を弱めることを目的としています。
具体的には、暴力団排除条例は、暴力団員の入退場禁止、暴力団と関係のある企業・団体の契約禁止、暴力団からの資金提供禁止などの規制を定めています。また、暴力団と関係のある企業や団体が排除された場合、代替の業者や団体を見つけるための情報提供や仲介などの支援も行われています。
暴力団排除条例は、暴力団との関係があることが明らかになった企業・団体・個人に対して、自治体が課す処分を定めています。具体的には、法人に対しては罰金や業務停止などの行政処分、個人に対しては公職選挙法違反としての罰則などがあります。
暴力団排除条例は、2008年に施行された暴力団対策法の一環として、全国的に制定されています。自治体ごとに条例の内容は異なりますが、暴力団排除条例を制定することで、地域社会における暴力団の勢力を弱めることが期待されています。
東京都については、「東京都暴力団排除条例」が制定され、平成23年10月1日から施行されました。
都民の安全で平穏な生活を確保し、事業活動の健全な発展に寄与するため、この度、本条例が一部改正され、令和元年10月1日から施行されています。
司忍・山口組組長インタビュー
司忍・山口組組長もその論陣を意識したのか、
施行の日に、産経新聞のインタビューでこう語っています。
「今回の条例は法の下の平等を無視し、法を犯してなくても
当局が反社会的勢力だと認定した者には制裁を科すという一種の身分政策だ。
今は反社会的勢力というのは暴力団が対象だが、今後拡大解釈されていくだろう」
これは、メディアに登場する識者たちが声高に唱えている懸念と全く同じです。
ヤクザを足がかりに市民弾圧につながるという言い分です。
ですが、暴力団に詳しいジャーナリスト・溝口敦氏だけは、
司忍組長らの言い分に対して、一味違うことを関連誌に寄稿しています。
ちょっと長いですが、そのまま引用します。
「実際この通りだろうが、ただ旧左翼的な見解も含まれている感じだ。取り巻きの頭が古いのだろう。
現在『反社会的努力』の代表が暴力団で、それ以外の知能犯的な半グレ集団や不良外国人グループなどはまるで存在しないかのように見過ごされている。警察の彼らに関するデータの蓄積量が暴力団ほど多くなく、警察はデータ面でも扱いやすい暴力団だけを主ターゲットにしているのだ。その意味で今後、暴排条例が『拡大解釈』されるのはむしろ暴力団にとって望ましいはずである。
司組長は『拡大解釈』の先に一般国民を想定して、暴排条例は将来、一般国民にも網をかぶせる危ない条例だと言いたいのだろうが、むしろなぜ暴力団が反社会的勢力の代表にならなければならないのか、と言うべきだろう。警察のご都合主義で、なぜ暴力団だけが割を食わなければならないのか。警察は観織犯罪全体を摘発してこそ、法の下の平等が達せられると言ってもよかったのではないか」
簡単に言うと、
昨今、暴力団取締りの陰で、愚連隊が勝手なことをやっている。
だから暴排条例が「拡大解釈」されて彼らを取り締まるなら
暴力団にとって、むしろいいことじゃないか。
暴力団なんだから、市民への「拡大解釈」の心配をする前に、
暴力団自身の生活権を守るたたかいをしろよ、
と言っているわけです。
この説、全くもっともなんですが、
なぜか、そのような発言は他の識者からは出ていません。
どうしてでしょうか。
制限や取締りの法律=市民の抑圧へ広がる悪法
というロジックにとらわれすぎてしまったのではないでしょうか。
そのような紋切り型の主張と闘争論は、溝口敦氏が指摘するように
従来の左翼運動や労組運動でさんざん言われてきたパターンです。
市民の弾圧につながるものは反対!
と言っていれば、たしかに響きはいいでしょう。
が、それだけでは、
具体的な改善につながる方策は何も提案したことにならないのです。
新自由主義の台頭と、そこに異議を唱える保守、
三極目を作れず影が薄い左翼
……という最近の政治的傾向(左翼退潮)の一因が
そんなところにもあるのかもしれません。
総論で旧来の主張を述べておけばいい、
という消極的な姿勢ではなくて
現代の課題に噛み合う踏み込んだ新しい主張を
していかなければ、いかなるセクトに限らず、旧来の政治的
主張は時代に取り残されてしまうのではないでしょうか。
暴力団 (新潮新書)
- 作者: 溝口敦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/09/16
- メディア: 新書
2012-01-03 22:26
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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
by すもも (2012-01-04 02:35)
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
by pandan (2012-01-04 06:26)
明けまして おめでとうございます
本年も 宜しくお願い申し上げます<(_ _)>
by chunta (2012-01-04 15:05)
明けまして おめでとうございます。
今年も*m_ _)m{{宜しくお願いします。
by 原みつる (2012-01-04 17:50)
私今まで市民弾圧だと思っていました。
今一度考えるべきことですね。
by 楽しく生きよう (2012-01-04 19:04)