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野田聖子衆院議員の長男闘病告白をどう見るか [社会]

戦後史は、科学と民主主義が車の両輪で発展した歴史、と言った人がいたが、形式が先行して、人の価値観が追いついていない部分も残念ながら否めない。

現在、厚生労働省が「妊娠しうる年齢」の女性には葉酸摂取を薦めているが、具体的には16~49歳である。

ただし、その年齢なら妊娠がもろ手を挙げて歓迎されるわけではない。

このほどデキ婚した某歌手は、「羊水腐る」というトンデモ発言をしたことがあるが、高齢出産は一般に望ましくないことと思われてる。

その意味では、50歳の直前で人工妊娠した野田聖子衆院議員(自民党)は望ましくない「駆け込み出産」になる。

しかも、生まれた長男が病気がちなことで、「高齢なのに出産するからだ」という中傷がネットにもある。

「女性自身 12月13日0時58分配信」では、その野田聖子衆院議員が生後11カ月長男の闘病を告白している。

「7回手術で右半身マヒに」というタイトルからして壮絶である。

妊娠中から、胎児が臍帯ヘルニアで肝臓が体外に飛び出していう状態だということ、心臓にも異常があることが判明していたが、どんな困難が待ち受けようと、常に前向きに突き進んできた野田議員。しかし“50歳の出産”に続く育児は想定外のことばかりだった。


昨年10月26日。妊娠7カ月で大出血を起こし、即日入院。入院したまま今年1月6日、帝王切開で真輝ちゃんを出産。手術室で対面できたのは、ほんのわずかの時間だった。(中略)


食道閉鎖症の手術や心臓の手術など、わずか11カ月の間に真輝ちゃんは7回もの手術に耐えてきた。さらに脳梗塞の影響で真輝ちゃんの右半身はマヒしてしまった。11カ月で身長は66センチ、体重は5キロ未満。それでも彼女は気丈に前を向きこう語る。


「誰も教えてくれないことを学んでいます。最高のお宝です。息子に会えて、本当に良かった。いつか絶対に必ず退院させて、みんなと同じ外の空気を吸わせたい。そして家で一緒に過ごしたい。だから私は全然、揺るがないですよ」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20111213-00000305-jisin-ent

断っておくと、野田聖子議員の長男の病気のすべてが「高齢出産」に拠るかどうかは明らかではない。

しかし、こういうケースでは、何でもかんでも高齢出産のせいにされる。世間というのはそういうものだ

片親の子弟の失敗やトラブルは、すべて「あの子は親がいないから」という言い草と同じように……

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何より高齢出産は、ほかでもない、しばしば女性識者から袋叩きにされる。

本来なら、同性が支えるべきではないのか。

もちろん、若いうちに生んだほうがいいことは確かだ。出産に限らず、何をするにも年をとれば少なくとも体力面は確実に下降する。

ただし、生むか生まないかはその人の自由であり権利でもあるから、紋切り型に否定するのはいかがなものか。

そもそも高齢出産でなくとも、出産自体が実はリスクの塊のような行為であり、若いから大丈夫、といえるわけでもない。

高齢になるとリスクの確率が上がるだけである。

私事だが、私の妻は40歳過ぎて次男を産んだ。

クアトロテストを受けるべきか、羊水検査を受けるべきかといろいろ迷ったが、生む気持ちに揺るぎはなかったので、検査する意味がないからやめた。

生まれた子どもに染色体異常等の問題はなかった。

だが、今年の5月、我が家では大火災があり、一酸化炭素中毒による低酸素脳症でわが息子は広範に脳の損傷が認められ、植物症の可能性を医師から宣告された。

が、1ヶ月過ぎてから奇跡の回復が始まり、2ヵ月後に事故前と全く変わらない状態で社会復帰した。今では、いたずら盛りで「奇跡の生還」をしたことを忘れて叱ってしまうこともある。

おそらく、脳細胞が完成する前(2歳)だったから回復できたのだろう。医師も予想できなかったことだと率直に告白した。

野田聖子議員も、ご長男がきっとそうなるという希望をもって頑張ってほしい。

医学の常識は書き換えられるものである。自分が書き換えるつもりになればいいのだ。

私は、産みたい

私は、産みたい

  • 作者: 野田 聖子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/12/02
  • メディア: 単行本



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コメント 8

rtfk

とても重いお話です。
我妻も次男はいわゆる高齢出産でした。
日本の社会で高齢出産が増加してゆくのに
歯止めがかけられることは無いのでしょうか。
政治的・社会制度的・生活様式の変化・価値観の多様化など
様々な要因が関係していると思われますし一概に高齢出産を
否定することはないのですが何らかの対策や考慮が必要だと
個人的には思っております。
by rtfk (2011-12-19 15:07) 

いっぷく

>とても重いお話です。
>我妻も次男はいわゆる高齢出産でした。
>日本の社会で高齢出産が増加してゆくのに
>歯止めがかけられることは無いのでしょうか。
>政治的・社会制度的・生活様式の変化・価値観の多様化など
>様々な要因が関係していると思われますし一概に高齢出産を
>否定することはないのですが何らかの対策や考慮が必要だと
>個人的には思っております。
>by rtfk (2011-12-19 15:07)さん

コメントありがとうございます。
「高齢」で生むにはそれぞれ理由はあると思いますが
たとえば、経済的な理由とか、日本文化(家制度・家柄等)が
障害になったことによる晩婚などは、社会の責任もあると思います。
個々の価値観も絡み複雑な問題だなあと思いますね。
by いっぷく (2011-12-20 01:53) 

銀狼

遅まきながらコメントさせて頂きます。
私自身が高齢出産で生まれた者なので、
こういうテーマは、どうしても気になってしまいますね。
といっても、母が私を産んだ当時は30代後半でしたが、
40数年前では所謂「マル高」扱いでした。
母から聞いた話では、私は喉に臍の緒が巻きついて
しまい窒息寸前だったため、帝王切開での出産と
なりました。それこそ「マル高だからだ」と言われた事も
あったようです。医学的には全く関連性がないような
話でも、それに結びつけてしまうんでしょうね。
21世紀の今となっても、同じような見方をされてしまう
風潮というのは、如何なものなんでしょうね・・・

それにしても、大変な事があったのですね。。。
ご子息が大事に至らず、本当に何よりでした。
これからも、お健やかに成長される事を祈っております。
by 銀狼 (2011-12-20 13:56) 

いっぷく

>私自身が高齢出産で生まれた者なので、
>こういうテーマは、どうしても気になってしまいますね。
>といっても、母が私を産んだ当時は30代後半でしたが、

>それにしても、大変な事があったのですね。。。
>ご子息が大事に至らず、本当に何よりでした。
>これからも、お健やかに成長される事を祈っております。
>by 銀狼 (2011-12-20 13:56) さん

コメントありがとうございます。

上の子も妻が38歳の時生んだ(つまり高齢出産)のですが、
そのときは羊水検査とかぜんぜん考えなかったですね。
というのも、全前置胎盤だったもので
それに比べれば、染色体異常のリスクは「小さなこと」ですから。
高齢出産も人それぞれ、立場や事情で、受け止め方も様々なんでしょうね。

大事故を経験してわかったのは、
救急治療は大小どこの病院でもある程度の技術をもっているのですが
リハビリは人材も施設も不十分だなと思いました。
とくに子供用が少ないので、そういうところを
政治家のみなさんには整えてほしいなと感じましたね。
by いっぷく (2011-12-22 02:44) 

MADONNA

私の弟は 母が38才の時に生まれました。「子育て手伝ってよね」と 高齢出産の母には体力的に負担が大きく、私は中・高と子育て支援に忙しく、学生生活の楽しみは記憶がありませんでした。
米国駐在の時、病院でとなりに座った50代のお母さんと30代のお嬢さん・・お嬢さんが妊娠?と思っていたら、お母さんの妊娠にお嬢さんが付き添いでした。
「息子も娘も巣立って、夫と夫婦2人で今後のことを話し合ったとき、私は子育ての時が一番輝いていた!と思ったの・・だから、夫と相談して妊娠することにしたわ・・」と主治医の先生に話した彼女はとても幸せそうだったと・・でも主治医の先生も「これほどの高齢出産は私もはじめてだから、心して診ていくわ」と。
日本人は体力も弱いので 外国の方とは比較できませんが、子育てを苦痛に思うか、エンジョイするかで 考え方は違うんですね・・。
リスクは少ない方が良いと・・私は思います。
覚悟していても、障害のある子供の子育ては 皆さんが思っている以上に大変な事が多いからです。
でも、それも 親の考え方、生き方次第だと 私も思います。
日本は 戦後の急成長で 置き忘れてきた大切なものがたくさんあると思います・・先進国というグループには入っていますが、社会はまだまだ未成熟だと感じています。
長くなって・・すみません・・・。
by MADONNA (2011-12-23 22:02) 

MADONNA

追伸・・野田聖子衆院議員は障害者の支援には とても以前から熱心に取り組まれていた方です。
特別支援教育(障害のある子ども達の教育・福祉)の事でメールをした事がありますが、議員からとても心のこもったお返事を頂きました。

お母さんも大変ですが、本当に 闘っているのは子供です。がんばって生きてほしいと願っています。

by MADONNA (2011-12-23 22:06) 

pikkara

>断っておくと、野田聖子議員の長男の病気のすべてが「高齢出産」に拠るかどうかは明らかではない。

明らかにするべきだと思います。何が何でも。
なんで明らかにしないのですか?
政治家としての影響を考えると絶対明らかにすべきです。
かわいそうなのは子供です。



by pikkara (2012-01-04 15:30) 

Porfirio

Thanks for finally talking about >野田聖子衆院議員の長男闘病告白をどう見るか:戦後史の激動:So-netブログ
<Loved it!
by Porfirio (2021-05-25 01:20) 

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