暴力団排除条例の関係で、出場者の人選が話題になった今年の『紅白歌合戦』だったが、ふたを開けてみるととくに大きな“意外感”もなかった。
視聴者はそれをどう感じたか。ワイドショーなど芸能ニュースを「はすっぱなもの」とコバカにしながらも、どこかでハプニングやサプライズを楽しむ気持ちはないのだろうか。
2001年1月12日、東京地裁(福士利博裁判官)では、歌手、川中美幸の夫が覚せい剤取締法違反などの罪に問われた事件の初公判が開かれた。
被告は2000年10月8日、東京都渋谷区内の自宅マンション前で覚せい剤と大麻を所持しているところを警察官に職務質問され、警視庁渋谷署に覚醒剤取締法違反、大麻取締法違反で現行犯逮捕された。逮捕の翌日に勤務先のテレビ局を懲戒解雇されている。
被告は罪状認否を「間違いありません」と認め、公判は即日結審。検察側は懲役2年を求刑し、1月27日の判決では懲役2年執行猶予3年が言い渡された。
川中美幸は、夫の逮捕で危ないと言われたNHK「紅白」には出場できたが、途中で大粒の涙を流して歌えなくなる“耐える妻”を表現。
それでいて、この初公判の日は、文化放送のレギュラー番組の収録を理由に傍聴には訪れず、判決の日も地方の仕事を入れていた。
それはそうだろう。夫は彼女が紅白落選中に自転車で新曲をキャンペーンしていた頃に麻薬を覚え、地方巡業のすきをみて銀座ホステスと同棲までしていたといわれるのだから。
要するに、「耐える」ことを売り物にする仮面夫婦といったところか。「大粒の涙」も「どうぞ、ご勝手に」という感じだ。
ところが、案に相違して、川中美幸が「紅白」で歌ったときは瞬間視聴率が48.8%に跳ね上がった。川中美幸の「耐える妻」ぶりを視聴者は好んで見たがったようなのだ。
そんな視聴者がいる限り、芸能人は話題になってナンボ。芸能人が一般人並みのプライバシーを求めることには違和感を抱かざるを得ない。
平成の芸能裁判大全
- 作者: 芸能裁判研究班
- 出版社/メーカー: 鹿砦社
- 発売日: 2003/10
- メディア: 単行本
2011-12-05 13:06
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