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立川談志が客を許せなかったとき…… [芸能]

立川談志が亡くなった。一昨日、そのまんま東こと東国原英夫前宮崎県知事について触れたが、立川談志はタレント政治家としては先駆者の部類に入るだろう。落語の戦後史上に残る人物の一人だ。

筆者が子供の頃、柳家小ゑんと名乗ってS&B「モナカカレー」のCMに出演していた落語界のプリンスも、もう75歳になっていた。ということは、筆者もそれだけトシをとるわけだ。

もちろん、立川談志が亡くなったことはネットで話題になっている。立川談志の生前の様々なエピソードや落語家、タレント、そして人間としての評価。

落語家・立川談志は平成9年に食道がんを告白し、2年前には声門がん(喉頭がんの一種)を克服したと公表したが、昨年11月に喉頭がんが再発。しかし、声を失わないためにがんを摘出しなかった。

喉頭がん自体は、食道がんに比較すれば一般に予後はよいとも言われる。落語家・立川談志はその食道がんを克服しただけに、惜しいなくなり方という気もする。

そんな立川談志は、だいたい以下のような人物像でまとめられている。

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「歯に衣(きぬ)着せぬ毒舌が世間を騒がせることもあったが、その内には、誰よりも落語を愛す“全身落語家”の魂を宿していた。『落語は人間の業(愚かさ)の肯定』と表現した談志さんは、その芸の追求に生涯をささげた。

毒舌や破天荒な生き方から『反逆児』の印象が強かった談志さんだが、素顔は違い、他人に対してここまで気を使うのかというくらいの気配りをみせる人だった。」(「産経新聞」11月24日付)

「歯に衣(きぬ)着せぬ毒舌が世間を騒がせる」「他人に対してここまで気を使うのかというくらいの気配りをみせる」両面があらわれたのは、下記の事件だろう。

99年4月21日、長野県飯田簡裁(内田義厚裁判官)は、立川談志の独演会で居眠りをして退席させられた同市の会社役員が、「落語を聞く権利を侵害された」と独演会の主催者を相手取り、 10万円の損害賠償を求めた請求を棄却した。

判決によると、98年12月17日夜、飯田市の公民館で行われた独演会で会社役員が開演後、間もなく居眠りを始めた。談志は「お父さん、寝ちゃって大丈夫かい」などと言っていたが、しばらくして「やる気なくなっちゃったよ」と高座を降りてしまった。このため、主催者が会社役員に退出を求めると、「金を払ったんだから何をしてもいいだろう」などと言い帰宅したという。

内田義厚裁判官は、「居眠りは演者の意欲をそぎ、演目の続行に重大な障害になることがある。退出を求めた主催者の行為は社会通念上、相当と認められ、違法性はない」と、会社役員の主張を退けた。会社役員は「事実関係を誤認していて非常に不満だ」と話したという。

立川談志は21日付の「毎日」で次のようにコメントした。

「訴えた人は言語道断。寝たことに怒ったのではなく、お客さんとの空間を壊されたことに腹が立った。裁判長には、客と芸人の空間を大切にしてくれたことに感謝している」

戦後史上の有名人がまた一人、鬼籍に入った。

往生に素懐を遂げられた立川談志さんのご遺徳を偲び、哀悼の意を表したい。


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vega

あるロック系アーティストさんが、こんなことを言っていたことがあります。
コンサートのチケット代は、自分が楽しむための代金であって、
他のお客さんに迷惑をかける代金は含まれていない。
自分の席の空間だけの代金で、他の方の空間を侵害することは許されていない。

お金を払えば何をしても良い…
これは絶対に違いますね…。
by vega (2011-11-27 07:09) 

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