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若い起業家は「密接交際者」の疑い!? [社会]

戦後史上、もっとも悪名の高い暴力団取締りである東京都暴力団排除条例が施行されて1ヶ月半たった。

「悪名の高い」と書いたが、もちろん、暴力団を排除するからではない。名前ばかりもっともらしくて、実は排除する気がない建前だけのものだからである。

条例は「法律」ではない。また、暴力団は自治体の警察(都道府県)単位で取り締まれるものでもない。つまり、取り締まる側の本気度が感じられない。

何より、暴力団排除条例は暴力団の壊滅でも設立防止でもなく「弱体化」を目指すだけのもので、暴力団そのものではなく「密接交際者」を「排除」するものでしかない。しかも、「密接交際者」の判断は国民にゆだねるというのだから、なんとも曖昧でかつ無責任なものである。

司忍・山口組組長は『産経新聞』におけるインタビューでこう語っていた。
「--全国で暴力団排除条例が施行されるなど暴力団排除の機運が急速に高まっているが、どのように捉えているか

 異様な時代が来たと感じている。やくざといえども、われわれもこの国の住人であり、社会の一員。昭和39年の第1次頂上作戦からこういうことをずっと経験しているが、暴力団排除条例はこれまでとは違う。われわれが法を犯して取り締まられるのは構わないが、われわれにも親がいれば子供もいる、親戚もいる、幼なじみもいる。こうした人たちとお茶を飲んだり、歓談したりするというだけでも周辺者とみなされかねないというのは、やくざは人ではないということなのだろう。しかも一般市民、善良な市民として生活しているそうした人たちがわれわれと同じ枠組みで処罰されるということに異常さを感じている。(中略)

われわれに人権がないといわれているのは知っているが、家族は別ではないか。若い者たちの各家庭では子供たちが学校でいじめにあっていると聞いているが、子を持つ親としてふびんに思う。このままでは将来的に第2の同和問題になると思っている。一般の人はそういう実態を全く知らない。

ただ、山口組というのは窮地に立てば立つほどさらに進化してきた。昭和39年のときもわれわれの業界は終わりだといわれていた。ところがそれから1万人、2万人と増えた。弾圧といえば語弊があるが、厳しい取り締まりになればなるほど、裏に潜っていき、進化していく方法を知っている。」

発言の要旨は、俺たちが弾圧されるのは構わないし、またそれを跳ね返すこともできるが、一般人に対する紋切り型の「周辺者(条例では「密接な関係を有する者」)」扱いはいかがなものか、という話だ。発言の内容は的を射ている。

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で、実際に条例施行から1ヶ月半たち、暴力団の弱体化は奏功しているのか。

『FLASH』(12月6日号)では、「暴力団資金源の根絶」という警察側の成果は「上がりつつあるのかもしれない」が、その対策として闇社会の「変質」が見られるという闇社会関係者座談会記事が出ている。

たとえば、元S会系暴力団員はこう語る。

「暴排条例というけれど、『何をいまさら騒いでんだ』という感がある。山口組をはじめ、主だった組織は、数年前から弁護士を呼んで勉強会を開くなど対策を進めてきた。今のヤクザは組織名の入った名刺を一般人に切ることはまずないし、一般人と仕事をするときは、組織に登録している名前ではなく、ビジネス用の別名を使うのが常識だ」

元闇金融業者もこうコメントする。

「自分の知り合いのヤクザは、有名どころの大学生を集めて、そいつらを看板にして投資家からカネを集め、学生たちに起業させてますね。起業の段階からヤクザが関わっているんだから、そう簡単に排除なんかできるもんじゃないですよ」

IT起業家。学生社長。最近よく聞く話だ。
夢と希望にあふれた話しだ。

が、
実際にはそうはうまくいくわけないことも確かだ。

グーグルだってマイクロソフトだって、こんにちに行き着くためにどれだけのお金とマンパワーを投下しているか。

社会の荒波を経験しない人間を同業他社が相手にするか。したとして、その人たちと丁々発止とやっていけるのか。

そう考えると、若きベンチャー企業の成功者というと、なんか裏があるのだろうと疑ってしまうが、全員がそうではないにしても、やはり暴力団のひも付きという人はいるわけだ。

しかも、その学生自身が「暴力団の雇われ起業家」であることにおそらく気づいていないケースもあるのではないだろうか。

そうなると、「密接交際者」に目を光らせる「条例」など、無力ではないか。むしろ、そうした中途半端な条例が、そうしたわかりにくい「シノギ」にシフトする契機になってしまうのではないだろうか。


六代目山口組 司忍組長 (Bamboo Mook)

六代目山口組 司忍組長 (Bamboo Mook)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2011/04/07
  • メディア: 単行本


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