戦後史上、警察とヤクザの関係は語るべきことが多すぎるが、ここ最近は「暴力団弱体化(撲滅や壊滅ではない)」の方向を見せているようだ。
島田紳助が、ヤクザとの交際を理由に芸能界引退宣言をしてから2ヶ月。暴力団排除条例も施行され、関連報道も続いている。
やはり、島田紳助は暴力団排除条例の「広告塔」になったようだ。
今度は、京都の料亭でも暴排宣言である。
客は誰でも神様ではない…京都料亭が暴排宣言へ
読売新聞 10月31日(月)23時4分配信
京都の料亭などでつくる京都料理組合と府料理生活衛生同業組合は31日、暴力団組員の利用を拒否する「暴排宣言」をし、加盟する計約140店の利用規約に暴力団排除条項を設けることを決めた。
府警によると、料亭の組合による暴排宣言は全国的にも異例という。「吉兆嵐山本店」(京都市右京区)や「なかむら」(同市中京区)(同市中京区)など来年版の「ミシュランガイド」で最高の三つ星を獲得した5店も名を連ねる。府料理生活衛生同業組合の佐竹力総理事長(64)(美濃吉10代目社長)は、「お客様は誰でも神様という時代ではない。組織として毅然と断っていく」と話した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111031-00001150-yom-soci
戦後史上、芸能界と暴力団のつながりがあったことは今更隠せることではないが、飲食店と暴力団だってずいぶん深い関係だっただろうに、今更そんなことできるのだろうか。
だったらどうやって暴力団かそうでないかを見分けるのか、その都度身分証明書を提出させるのか。自営業はどこまで信用してもらえるのか、といった突っ込みはともかくとして、今後は暴力団も冠婚葬祭や盃事など場所探しに苦労しそうだ。
島田紳助と暴力団の今後については、二通りの見解がある。
ひとつは、島田紳助は今後、何の遠慮もなく暴力団とズブズブになるが、結局暴力団に資産を食い潰されてしまうという説だ。
たとえば、『日刊ゲンダイ』に連載する溝口敦氏は、島田紳助は今回の引退宣言で、芸能界よりも暴力団を選択した。しかし、引退して無力になったヤクザの元親分も、他のヤクザに食いつぶされる例がいくらでもあり、島田紳助が組員であろうがなかろうが例外とはいえないというのだ。
もうひとつは、これで完全に島田紳助と暴力団は縁が切れるという説だ。
『週刊大衆』(11月14日号)では、今回の騒動で肩身が狭くなった暴力団は、「疫病神」で任侠の風上にも置けない島田紳助など「絶縁」するだろうと書いている。同誌らしく、現役ヤクザのコメントが出ている。
「そもそも“俺のバックはどこそこの組や”と公言するようなヤツは、信用ならない。つまり、紳助というのはそこまでの男。ただのチンピラということだな」
「(極心連合会の)橋本さんと、紳助がどんな関係にあったのかはよう知らんけど、俺にいわせたら、一人のタレントが勝手にはしゃいで大儲けしたあげく、引退したあとで、山口組の誰それと親しくしとったなんていわれてもな……。迷惑以外の何物でもないわ」
「だいたい俺ら極道というんは、日陰者やからな。“ほっといてくれ”というのが本音。ところが、紳助のせいで注目を浴びてしもうた。そういう意味じゃ、紳助の引き際なんか、最悪やで」
「だいたい、紳助にしろ、中田カウスにしろ、俺ら極道とのつき合いを威張りくさって周囲に吹聴するなんぞ、愚の骨頂というしかないわ。逮捕されんかっただけでも、救われたと思わなあかんやろな。
芸能人の中には、ちょっと言葉を交わしただけで舞い上がる輩がおる。それだけで、さも親密な関係にあるようにいい触らすんやから、たまらんわ」
ただ、同誌がどういう意図で「絶縁」と表現したかはわからないが、ヤクザ組織の世界でいう「絶縁」というのは、たんに付き合わないだけではない。それどころか、事と次第によってはつぶされることを意味する。
ということは、『週刊大衆』は溝口敦氏と同じ結論ということになるが、果たしてどうなるだろうか。戦後史的にも興味深いテーマである。
2011-11-02 04:36
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