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リクルート事件、「秘書が…」「妻が…」連発! [戦後史]

リクルート事件といえば、「秘書が…」「妻が…」を連発した事件として記憶している方も多いのではないだろうか。カタカナの社名で、広告を主体に、出版、人材紹介、教育など多方面に事業を手掛けた新興勢力だったが、急に事業を拡大するときは、無理が生じるものである。

「リクルート事件」発覚 1988,6,18


「ロッキード事件」「ダグラス・グラマン事件」以来の「大型構造汚職」として話題になったのが、この「リクルート事件」である。

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リクルート社の江副浩正会長が、就職情報誌の規制に便宜をはかってもらう見返りに、未公開株をばらまいた事件であった。

事件は、神奈川県川崎市の小松秀煕助役が、リクルートコスモス社の未公開株譲渡で、約1億円の利益を上げていた事が地元の「朝日」記者の取材で明らかになったことで発覚。川崎市は同助役を解職処分にした。

この事件の背景には、中曽根康弘内閣時代に密接に関係した政治買収の実態があった。

リクルート社が求人雑誌の会社から多角的に事業を拡張するために、首相、官房長官、労働・文部などの族議員(自民党だけで13名)を買収して便宜をはかってもらった。

したがって、この事件の政界中枢に中曽根康弘前首相がいたといえる。

買収は、値上がりが確実視される系列不動産会社「リクルートコスモス」の非公開株を使って、トンネル会社を通じるなどして行われた。

マスコミや他の企業の要人、日本共産党を除く野党議員(4名)にまでまんべんなく買収していた事は、国民に衝撃を与えた。

国会は当然紛糾。証人喚問請求などで審議が中断した。9月5日には、社会民主連合の楢崎弥之助衆議院議員を買収しようとした光景を日本テレビのカメラが密かに撮影し、賛否両論を呼んだ。

この疑惑で、藤波孝生元官房長官と池田克也元公明党衆議院議員の2名が収賄で起訴。加藤孝元労働事務次官、高石邦男元文部事務次官も起訴された。

宮澤喜一副総理は「ノーコメント」でノラリクラリかわしていたが、江副発言がもとで副総理と大蔵大臣を辞職した。

日本社会党上田卓三衆議院議員は議員辞職をした。

森喜朗衆議院議員は、このスキャンダルがもとで清和会の後継領袖の座を三塚博に譲り、「出世」の回り道を余儀なくされた。

その一方で問題の中曽根康弘元総理は、自由民主党離党だけにとどまり逮捕はされなかった。疑惑の人たちは、「秘書が」「妻が」と自分名義ではないことを理由に「潔白」を主張したが、それが改めて国民の怒りを買った。
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