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恵庭事件 [戦後史]

恵庭事件(えにわじけん)とは、自衛隊恵庭基地に隣接した農地(北海道千歳郡恵庭町=現恵庭市)で酪農を営む農民兄弟が、自衛隊の演習に牛乳生産量が落ちると抗議。「境界付近での射撃訓練については事前に連絡する」とすることを自衛隊と確約していた。しかし、自衛隊にその確約を破られたことから、1962年12月に自衛隊の砲撃指令用の通信線を切断。自衛隊法違反に問われた事件である。

検察は、通信回線は自衛隊法第121以上の「その他の防衛の用に供する物」に該当するとして、防衛器物の損害(自衛隊法第121条)で起訴した。被告の酪農家兄弟は、自衛隊法そのものが違憲であるとして争った。

さすれば、この問題の大きな争点は、罰する法律が自衛隊法である以上、自衛隊が合憲か違憲かということが問題になるべき事件だった。

第一審の札幌地方裁判所判決では、通信回線は自衛隊法「その他の防衛の用に供する物」に該当しないとして、被告人に無罪を言い渡した。

では自衛隊の憲法判断はどうかというと、被告人の行為が無罪である以上、憲法判断を行うべきではないとして、「自衛隊法」の判断は回避された。

検察も上訴しなかったため、無罪が確定してこの事件は終わった。

この判決については、当初は「自衛隊違憲」という裁きがでるものというマスコミの予測もあった。しかし、判決文は1週間前に書き換えられ「自衛隊違憲」は削除された。そのため「肩すかし判決」として有名。戦後史上、判例のミステリーとされている。 
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